第4話 巨大なる滅亡

「統制官の命令で派遣されました。」


軍服を着た男がエリドゥのアヌの自宅を訪れた。


「ご苦労様です。まあどんな奴が見て下さい。」


アヌと軍人は軍用車両に乗り込んだ。街を抜け、草原を走行した。


やがて恐竜が姿を現した。


「こ、これは…..!」

軍人が驚愕する。


「肉食獣もいます。仲間が襲われかけました。」


軍人は溜め息をついた。車に戻り軍人はタブレットを起動させた。画面は地球である。


「我が軍で地表面を調査しましたが、北極と南極が氷に覆われています。核で氷を溶かして洪水を発生させると言う方法もあります。」


「水性生物もいるかもしれませんよ。」


「うーん。ならば、彗星を破壊して破片を地表面にぶつける方法が適当かもしれません。こちらに向かう途中、地球に接近している彗星がある事を発見しました。このままでは地球に衝突します。その彗星を破壊します。」


軍人が提案した。


「なら、地下シェルターが必要になりませんか?」


アヌが尋ねる。


「それがベストです。工兵部隊に地下シェルターを作らせます。ところで人口は?」


「30人です。我々アヌンナキのみです。」


「アヌンナキ?とは?」



「アヌンナキというのは我々の自称です。」


「なるほど。ではアヌンナキの皆さんにとっての最適なシェルターを建設しますよ。」


シェルターの建設が始まった。ニビル軍工兵部隊が建設用車両を動員して作業を進めた。

やがて地下にシェルターが完成し、アヌンナキはそこに移動した。



宇宙空間で待機するニビル軍太陽系艦隊の駆逐船が地球に接近する彗星に核ミサイルを発射した。


彗星は爆発し、数個の破片が地球に激突した。地表は激突による塵に覆われた。太陽光が届かなくなり、大気の温度が急激に下がった。


「巨大生物が次々に死んでいます。しばらくすると滅亡するでしょう。」



こうして地球を我が物顔で支配してきた恐竜が絶滅した。



「小型生物が生き残っている可能性があります。」


軍人はアヌに報告した。


「残っていたほうが良い。」


アヌは軍人を労う為の宴会を開いた。その席で統制官から1人につき30万リゲルが支払われた。


軍はニビルに帰還した。

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