第3話 ペット

数日後、ペット屋店主のブリストルは領主邸の応接室にキャットゲージを持って待っていた。


コンッコンッコンッ、ノックの音がする。黒い執事服の男性が扉を開けると体格の良い優しそうな男性が入ってきた。


「やぁ、待たせたかね。アレックスだ。今日は市井で話題のペットについて聞きたい。」


「滅相もございません、領主様にお声掛けいただきありがたく思っております。ペット並びに関連する商品を販売しておりますブリストルと申します。以後お見知りおきを。」と商人らしく礼をするブリストル。


ブリストルは領主アレックスにペットと猟犬などの働く動物との違いを説明していく、馬や牛などは労働に鶏は鶏卵を取る為に、使えなくなれば潰して肉になり人々の食卓を彩る、猟犬は死ぬまで猟犬のままだ。この世界では動物を愛でる行いは無かった、労働力か食糧か。人に懐く動物や人の言葉を覚えるオウムなどの鳥やペットに向く動物向かない動物などは話していく。

ペットの有用性を力説して満足なブリストルにアレックスが問い掛ける。


「子供でも飼育できるのか?世話ができるものか?」と。


「子供でも充分世話はできます、食事の用意や排泄物の片付けなど愛情を持って接する事で動物のみならず相手の事を考え行動し理解する事ができるでしょう。

お子様に御検討ですね。」


「ほぼ屋敷か…部屋から出ないが、話し相手にもなるかね?」


「話し相手もご要望ですと猫などはいかがでしょう、部屋を工夫すれば散歩の頻度も少なくなりますので、今日連れて来ましたのは此処より東方に生息しています三毛猫にございます、その中でもオスは珍しく貴重であります。家猫には最適です。」


アレックスは執事のセバスにメリーアンを呼びに行かせた。



「お呼びでしょうか?旦那様。」


「前に話していたアリスのペットの件だ、この三毛猫がオススメらしいがメリーアンから見てどうだ?」


「そうですね…ずいぶん大人しいですね、周りを気にしなくてマイペースなのも猫らしいですが落ち着きすぎてませんか?」


「この仔猫は先月生まれて躾も終わっており、穏やかな性格であまり鳴きませんのでお子様も世話がしやすいかと、特にこの仔猫は此方の話しが理解できるのか聞き分けが良いのです。」 


「ブリストルの掌で少々気に入らんが、珍しい毛並みとこれだけ騒がしくとも動じない獣はなかなかおらんな。他に兄弟猫はおらんのか?」


「恐れ入ります。他はメスが3匹生まれましたが既に貰われていきました、オスは希少故にこちらで育てる予定でしたので残しておきました。」


「商売人だな、まぁ良い。この仔猫と飼育道具を一式用意しておいてくれ、いついける?」


「はい、3日あれば。」


「2日で頼むぞ!」

「はっ、ありがとうございます。直ぐに準備致します。」


アリスの心が少しでも前向きになればとアレックスは願う。

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