第2話 過去
夢を見ていた。自分がまだ小さい子どもだった時の夢だ。小さく生まれた僕は、優しい父と母に育てられた。5歳になると元国軍の父の教えで武術を学んだ。父は、
「強くなって、いい『
と毎日のように僕に言った。母も傷だらけの僕の体を拭きながら、
「強くて偉い人になって、父さんと母さんを楽させてね。」
と毎日言った。母がその後に「父さんは『
「
父さんのスキルは武術系「
母さんのスキルは魔術系「
10年にも及ぶ長い鍛錬を積み、背が伸びて少し体つきも良くなったが、父さんは満足いってなかったようだ。
「頑張れよ!お前なら絶対にいい
「カイト!結果楽しみにしてるわね!」
両親の期待を一心に背負い、誇らしい気持ちで僕は中央にある大聖堂に向かった。
大聖堂に着くと、それはもうたくさんの人がいた。この全員が
「うおっ!すいません!」
「いや、こちらもボーッとしていたので…」
振り返ると随分体の大きい少年が立っていた。しかし、大柄な体の割に所作が丁寧で、ただ者ではない感じがする。
「僕はカイト。君は?」
「あ、俺はエストって言います。16っす。」
「僕も16だ。君も
「そうっす!軍人の息子として、ぜひとも良い
なるほど、道理でしっかりしていると思った。
「僕も同じだよ。今日はお互い良い日になるといいね。」
「そうっすね!…あ!そろそろ集まるみたいっすよ!」
気がつくと大聖堂の門が開き、少年少女がぞろぞろと入っていっていた。
「(いよいよか…)」
期待に胸を膨らませ、僕は一歩を踏み出した。
―この先に待つ、悲劇も知らずに。
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