第18話 判決
「サンドルア王国への工作をカタレーが全て話したぞ。サンドルア王国からゴウヨの身柄引き渡し要求が来ておる。」
「カタレーがあまりにも大きな罪なのでわしを巻き込もうとしておるのだと思います。サンドルア王国の惨状は取調の時に聞きましたがわしの采配ではございません。」
「さようか。あと、ファラント王国、メロルビン王国、シャレオ王国の三国へのバジリスク、コカトリスを利用した石化事件への関与も証言されておる。」
「誰がそんなでたらめを。」
「海賊の中に混じっておった、ロゼリアナ王国ゆかりの者が全て供述した。フェンダル王国へのスタンピード攻撃未遂も供述しておる。」
「なんだってその男がわしと関係があると言うのか?ロゼリアナ王国の問題であって一商会のわしには関係無い。」
「そうだな、ロゼリアナ王国の問題ではあるが、フォベルト殿がゴウヨと共謀して、フェンダル王国への工作を実施したと供述しておる。」
「フォベルトがあまりの責任に耐えかねて、わしに責をなすりつけようとしめおるだけでは?」
「あと、フェンダル王国の内乱を主導したアウリーパとケルーノを調べたところ、魔道具により記憶を消されておった。」
「それではなんの証拠にもならないではありませんか?」
「そうだな、その魔道具による痕跡を調べてな、裏社会をくまなく調べた。見つけ出したよ。ゴウヨにその記憶消去の魔道具と傀儡の魔道具を売った者をな。王家に手を出し安穏と暮らしていけると思う方が間違いじゃ。」
「そのような、裏社会の者の言うことを信じられますので?助かりたい一心でそちらのみなさんの望む答えをしたのではないですか?わしは知りません。」
「裏付け捜査は十分できておる。こちらもフォベルト殿が供述されておる。なかなかに往生際が悪いがここ数年の統一商業ギルドの私物化も罪に問われている。」
「うーん、もはや、これまでですな。おさらばです。」
と言ってゴウヨは何かの魔道具を作動させるが何も発動しない。焦った顔のゴウヨに
「悪いな、前もってその魔道具は発動しないように魔素を抜いておいた。」
と櫂渡が伝える。
「くそっ!これではどうだ!」
「どれもこれも使えないよ。遺跡で発掘したやつも、裏社会で購った物も。」
「もう、それらの魔道具を持っていることで、関与を否定できまい。さらばだゴウヨ。もう会うことは無いであろう。連れていけ!」
とキシンドルが冷たく言い放ち連れ去られて行くゴウヨ。この後、各国合同で厳しい取調が待っているだろう。
国際的な企みの為、各国からの追求が厳しい物になるだろう。広い範囲の裏社会の関与も確認されており、どの国にもはびこっている裏社会もある程度は浄化されるだろう。
この裏社会というのはどんな社会でも蔓延るもので、きれいにしても、姿を変え何度でも現れる存在だ。
人々に日が当たり、風通しが良くなっていれば少なく小さくはなっていく物ではあるが。
ゴウヨはこの裏社会のネットワークを巧みに育て利用したようだ。ゴウヨの失脚で一旦は一掃される。
ゴウヨへの尋問が終わり、ロゼリアナ王国の王位継承の話へ移る。
ここから、キシンドルはある意味当事者の為、司会はマイラーロが行う。
ロゼリアナの貴族の多くがフォベルトでは持たないとカノーペル王国へ亡命していた元第二王子を立てようと画策していた。その王子の名をノリウトと言う。
その動きを察知したゴウヨがロゼリアナ王国への人の出入りを遮断し、南へ軍を寄せていた。この寄せていた軍でサンドルア王国へ攻めて来たのだ。
フォベルトは全ての責任を負わされる運命の為、ロゼリアナ王国の次代の王は、病弱な第一王子か浪費癖の為、幽閉されている第三王子か、他国へ逃げていた第二王子になる。
元々の先王の遺言が第二王子だったこともあり、順当であればこの第二王子のノリウトになるのだが、一部貴族に、国難時に海外へ逃亡していた者を王とするのはいかがなものか?と疑問の声も一部ではあったようである。
それと、カノーペル王国に一定期間住んでいたため、カノーペル王国の傀儡になってしまうのでは無いかと危惧をする、他国の意見もあったことはある。
この為に、この国際会議の場で反対意見があれば聞いておこうと言うことになっている。さて、反対意見は出るだろうか?
事前情報では反対意見が出るのではと思われていたが、反対意見も出ずにノリウトに決まった。
「それではこの会議での結論はロゼリアナ国王はノリウトとする。ただし、ロゼリアナ王国の法に則りロゼリアナ王国の責任で最終決定する事」
とマイラーロが告げた。
今回はあくまでも各国がお墨付きを与えたにすぎない。決定権のある当の貴族たちは誰も参加してないのだから。
とは言え、この国際会議の結果を覆す事は無いだろう。
ロゼリアナ国内貴族内で、今回の事が起こる前から、ノリウトを立てようとしていた貴族が過半数を占めているらしい。
ノリウトは暫定としてこの会議にロゼリアナ国王として最後の議題に参加する。
最後の議題はいよいよ櫂渡の建国に対する決議である。
櫂渡の国、ウミノワズリを承認するかどうかの決議であるから議論はせず採決を取る。
結果、満場一致での採択され、ウミノワズリは国として認められた。
「ちょっと待って下さい!」
しかし、ここで意見を言う者が出てきた。聖女ソフィアだ。
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