第12話 ソフィアとシルビア
不思議そうに、している櫂渡をよそに
「覚えていたのね。久しぶりソフィア。」
とシルビアは意外そうに、それでも親しみを込めて答える。
「そりゃ日本の記憶があるっていう、変人の事は覚えてますよ。」
「二人はもともとの知り合いなのか?」
話が見えなくて櫂渡が二人に質問する。
「ええ、私の育った村に子供の頃に元勇者パーティーのメンバーがいてその方にシルビアが会いにきていて知り合ったの。」
もう、ソフィアも昔なじみだから敬称もつけず親しく話す。
「元勇者が地球人だって聞いたから話を聞きたくてね。ソフィアの村はサンジオ王国だったわよね。お父様に駄々こねて半年ほど滞在したのよ。ソフィアも勇者様の所によく来ていたから知り合ったの。」
「実は日本人だった前世の記憶は私も持っているのです。だから、自由に前世の記憶があるってふるまっているシルビアが羨ましかったり妬ましかったり。」
「え?記憶あるの?どこ出身?私は埼玉!昔会ってた頃にソフィアも日本人の記憶があるって教えてくれても良かったのに。」
「私は福岡よ。聖女に選ばれたし、変なことは言ってはいけないって思ったのよ。」
「あら、変なこと?かしら?」
「あなた、変人扱いされてたの忘れたの?私の生まれた村はすごい小国のすごく小さな村で聖女がいることで村が街になったりしたの。」
「そうよね。私が滞在しはじめた頃はまだ長閑な村だったわ。そのうち、あちこち工事がはじまって賑やかになったりし始めたけど。」
「そんな村が急速に発展していく様子を見ていたら、私がこけると街がこける国がこけるっていうプレッシャーがあったのよ。」
「苦労したのね。聖女の方が王女より前世の記憶あります。しかも勇者と同じ日本ですって話が盛り上がりそうだけど。」
「いや、先に前世の記憶がありますって言っていたシルビアを変人扱いする世間をみたら言えなくなるわよ。」
と会話をしていると
「初めましてシルビア様。私は遥香。勇者です。こちらが小夜で賢者。こっちが英雄で剣聖。」
と遥香が自己紹介と仲間の紹介をシルビアにする。一通りくつろぐ場所の準備ができた櫂渡は
「じゃあ、ちょっと飲み物とか軽食とか用意してくるよ。」
と言って、席を外す。
櫂渡が食べ物や飲み物を持ったゴーレムたちと一緒にオアシスに戻ってくると、ヨーセルと英雄だけがいた。英雄は海パン一丁だった。
「英雄泳ぐのか?」
「そりゃ泳ぐでしょ!」
と言っていたら女性陣がやってきた。全員水着を着ている。
一応上にパーカーを羽織って前も途中まで閉めているがシルビアとソフィアが少し恥ずかしそうだ。遥香と小夜は最近まで日本にいたのであまり抵抗ないのかパーカーは羽織っているが前を閉めずに着ている。
フェリルはパーカーも羽織らず控えめな胸をはって先頭を歩いている。
「カイトどうかな?思い切って水着を着てみた。前世の記憶があるけど恥ずかしいね。こっちの世界はこんなの着てたら痴女だし。いくら私が変わり者でも…ちょうど日本の記憶のある人とフェリルちゃんしかいないからいいかなって。」
シルビアが真っ赤になりながら聞いてくる。櫂渡はシルビアのあまりのかわいさとスタイルの良さに櫂渡も真っ赤になりがら
「すごいかわいい。水着やらパーカーやらはヨーセルが用意したんだな。」
というのがやっとだった。
「櫂渡さん私たちのも見て!」
と小夜が積極的だ。ソフィアも、開き直ったのか
「カイト様、聖女の水着姿はいかがですか?こういう機会でもないとこの世界ではこんなオープンな恰好できないですから。」
と聞いてくる。と、後ろから、遥香がソフィアのパーカーを開いて、
「ソフィアちゃん無茶苦茶ナイスバディーでしょう?いつも聖女服きてるからわからないけど!」
という。ソフィアが真っ赤になって、
「なにすんのよー!」
っていいながら、遥香のパーカーを剥がしてオアシスに放り込む。
「やったわねー」
って遥香がソフィアを水の中に引っ張り込んだが、何とか落ちないように耐えようと小夜の手をつかんだせいで小夜も一緒に水の中に落ちていった。
「みんなずりぃー」
っていいながら英雄が水に飛び込む。
櫂渡はとりあえず、バナナの形をしたビニールのボートとかアヒルの形のやつとかを錬成してやり水の中に放り込んでやった。英雄はそれらのボートの引き役でこき使われていた。
フェリルが水の中に入りすごい勢いで走るので、さながら流れるプールのようになっていた。
そんな様子を見ながら、櫂渡とシルビアはデッキチェアーに座ってフローズンダイキリを飲んでいたら、小夜とソフィアの魔法で水をバシャーとかけられた。
「ストロー二本さして櫂渡さんのエッチー!」
「いや、これは氷詰まりの時の予備だからな。何恥ずかしい間違いしているんだー」
大量の水を浴びせられて、フローズンダイキリを台無しにされてしまった櫂渡は大量の水をオアシスの上に落として仕返しをするのだった。みんな櫂渡の滝のような水を浴びて水中できりもみ状態になったが、水着は無事だった。さすがヨーセル謹製水着。
「えー、あんな状態でもラッキースケベは無しか…」
と、英雄が残念がった。
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