第11話 神様達は大わらわ

「えっと、テイム?従魔にするって事?うーんなんか従えるって性に合わんな。でも、テイムしたら一緒にいてもらえるのか…家族みたいなものと思えばいいか。四日目だけど、人恋しくて人恋しくて、家族になってくれるか」


 テイムすれば乗せてもらえるので空から人のいるところに連れて行ってもらえる可能性があることにまったく思いいたってない。


「名前か…」

 はてと考える

「ガルディッシュイーグル・・ガルディッシュ・・ガルディ・・。ガルダみたいな名前だな。ガルダはガルーダとも言われる鳥の姿をしたインドの神様。」


「ガルダは、インドから中国に入った時に鳳凰と同一視されてたって聞いた事ある。仏教へ入った後は迦楼羅天って八部衆の一柱だったよね。仏教に取り入れられている今となっては鳳凰とは完全別物みたいなだけど。」


 中学生の頃に上野の美術館に興福寺の八部衆が特別展示された時に見に行った。あまりに有名な阿修羅像推しの展示だったけれど、一柱だけ鳥顔でどこかユーモラスな神様で親近感をもった記憶がある。


「鳳凰から雛鳥の二羽はホウとオウ。鳳はオス、凰はメスっていうけど、ガルディッシュイーグルは雄雌は関係ないらしいから、ホウとオウにしよう。鳳凰が生長すると鸞と言うらしいから、親鳥はランに決まり。」

 そしてどっちをホウでどっちをオウにしようかなと二羽を観察する。

「コッチの頭がスパイクヘアみたいにツンツンして動きがやんちゃな雛はホウ、側頭部に白い線の入っているおっとりしてる雛がオウだな。」


 そう名前を決めて、

ラン、ホウ、オウをそれぞれテイムした。

テイムすると言葉は通じないけれど何を考えているか分かるようになった。


「はいはい、ホウとオウはお腹すいたのね~さっき満足そうにしてたじゃん。もうお腹減ったのか。」


「成長がむっちゃ速いって言うからな、のべつくまなしに食べないとならんのかな?」


 また、ヘビとウサギを出してやる。ちっこい体のどこに入るんだ??

 自分よりでかい蛇やウサギどうやってたべてるんだろ?


 「また、藪を刈ればヘビやウサギまた穫れるかな?あ、大丈夫なのか?雨があがればランが取りに行ける?そもそもすぐホウとオウも自分でとれるようになる?なるほど!ホウとオウは今日明日は無理だろうけどもラン頼んだ!」


 さて、櫂渡がラン、ホウ、オウをテイムしている頃、ところ変わってここは神界。


 櫂渡が召喚された世界の神様、ヘイリー、が、自分より上位の他の神様たちに、


「例のイレギュラー召喚者がガルディッシュイーグルをテイムしちゃいました。もう世界の崩壊まで待ったなしですぅ…」


と弱々しく助けて欲しくて、どこか媚びるように告げる。


「もういっそ、この世界滅んでもいいのではないか?もうめんどくさくなった。」


 とヘイリーの上司っぽいカレルが言う


「そんなに冷たくしないで、助けて上げなさい。」


 さらにその上司っぽいゴルドルが言う。


「もう、あの召喚された人にお願いするしかないよね。消えてくださいって。」


ヘイリーが物騒なことを言う


「滅多なこと言うものじゃない。消えてしまったら、どうなるか分からんぞ。」 


とゴルドル。


「でも、お願いは必要ですね。だれ行く?」


とカレル


「誰もそんなヒマ無いですぅ」


とヘイリー


「お遣いを送るか。」


とゴルドル


「お遣い作る魔力残って無いですよ~」


ヘイリー


「ガルディッシュイーグルの子が卵の時にお遣いに仕立てれば良かったのぉ。惜しい事をした。彼らは神獣として良いものだ。生まれたあとはお遣いの能力与えるのはタイヘンだからな」


とゴルドル


「やりましたよ。魔力がカスほどしか残ってなくて、足りなくて不完全なんで、いつ神託がとどけられるようになるかわかりません。」


とヘイリー


「どっちのガルディッシュイーグルだ?」

とカレル


「両方ですよ!」


とヘイリーがキレ気味に


「片っぽなら魔力足りたんではないか?」


と冷たくカレルが言う


「ん?ああー?!」

ヘイリーが頭を抱えて、すっかり壊れた。


「まぁよい、どれどれ?おーどちらも完成しつつあるようじゃの。あとは時間が立てば、神託伝えられるようになるじゃろうて。ようやったの。こちらからの神託が通じるように完成するのには10日もあれば大丈夫だぞい。」


ゴルドルがホウとオウを観察し、告げる。


「10日もあったら世界がほろべるのに十分な期間ありますね。」


とカレル


「残りカスの魔力でなんとかお遣いを創りますよ。いや、カス程も残ってないからムリか、なら、私行ってまいります。自分の世界ですものね。行くので、当分何もできないから、この世界の神様業務と監視お願いしま~す。」


と言うやヘイリーは叫ぶと飛び出ていった。


「さっきまで、だれもそんな暇はないですって言ってたよな。おい、こら、仕事を投げ出すなーおーい」


仕事を押しつけられたカイルがヘイリーの背中に声をかけるも虚しく、すでにそこにヘイリーはいなかった。


 神界でよく分からないどたばたの会話が繰り広げられているなか、ところ戻って翌日の櫂渡の拠点。


 昨晩はひっきりなしに餌をやった。その結果でかくなった、成鳥になってしまった。サイズ変えられるらしいけど、鑑定で成鳥!ってなってたので、間違いなく成鳥になりましたよ。


 雛鳥→幼鳥→成鳥の変化が一晩であるって思わないじゃん。あーかわいい雛鳥もっと愛でていたかった。


 昨日は餌やりに忙しかったが、餌やりしてただけじゃなくちゃんと植物作りしましたよ綿、麻、亜麻完成しました。


 とりあえず油は少量だけ採取しました。何せ拠点がせまいので、ベランダガーデニング程度用のプランターしか置けなかったから大量には作れなかった。


「雨はあがったかな~」


昨日とは違って水の栓を開ける。最初の方は雨水だよなと思い別の桶で受ける。


開けた栓から外を見ると雨は上がっているよう。

「樋に蓋をしないとな。」

と思う櫂渡だった。





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