第12話 鷹狩り

 水の樋の蓋やその他拠点改造の為石材を用意する事にした。


 拠点の中で石材を採掘する。樋用とその他もろもろ用の石材を採取した。最初に掘った時のように大きなサイズではなく利用するものの目的によって切り出している。


 二回目以降で一番大きく掘ったのは寝台であるが今日は目的のためそのときよりも大きめの石材を出入口を通過させられるギリギリで切り出していく。

 

 採取するときは鑑定さんに安全な場所を教えてもらってから掘っているが、今のところこの石がとても堅くて頑丈なのか、ここ掘ったら危険という場所は無い。

 

 水を染み出させている層との栄え目を掘ると拠点に水が流れてくるところは注意している。


 石材を少しずつ切り出しているため、拠点の中は少しずつ広くなっている。今日の採掘でかなり広くなった。


 採掘した石を拠点から外に出したところで朝食にする。代わり映えしないパンと麦茶だが、ランホウオウがいるので和む。


 このあたりは岩場で止まり木になる木が無いから、木材を使い仮設で止まり木を造るとそこに止まってる。その様子がなんか神々しいなと思いながら眺める。


 ランホウオウには魚をやった。ある種の猛禽類は自分で海中に飛び込み魚をとるものもあるが、ガルディッシュイーグルはそういう事はしない。魚を自らとったりはしないが、昨日魚をあげたら気に入ったようで美味しそうに食べる。


 朝食を終え、石材を削り樋に蓋をしていく。蓋をして土魔法で作った土で隙間を埋める。


 湧き水の所にも石造りの建屋をつくり囲んで土魔法で密閉した。


「水周りはこれでいいな。」


 次にランホウオウが魚も食べるので魚を確保しておくことにした。崖から海を見ると嵐の影響なのかかなり荒れているし、潮が満ちているのか浅瀬も見えない。


「まぁ、海ごと集めるから満潮でもいいかな。」 


 この前大きな海水の玉をつくって一旦大きな桶に入れて一匹ずつナイフでシメるのはまぁまぁ時間がかかったので複数の魔法をスクリプト化してみた。


「まずはお試しだな」


 今回は最初から崖の上から魔法をかける。これで海水を浴びなくて済むかと思われる。魔法のスクリプトの順番は海水を塊でとりあげ、水球をつくり、水を減らして魚が密集した水球にする。


 一匹ずつ空中に放り出しサーチで魚の状態を調べる。幼体であったり、同じ種類の魚の平均より小さいものは物体移動で静かに海へ帰す。


 育っているものはサーチの時にマークしておいた急所にエアニードルを打ち込み収納に格納庫する。それを超高速で行うので、あっというまに魚のストックが増えた。


 ウインドスフィアは貫通するイメージでエアニードルは必要な部分まで錐上のものを打ち込むイメージ。貫通させちゃうと身の部分にも穴が開くのでエアニードルを作ってみた。


 今回は前回より要領よくできたし、最初に集める水球が大きかったのでかなりの量がストック出来た。ランホウオウ達の食べる量にもよるけど当分大丈夫だろう。


 また、やるとすると欲しい魚を狙い撃ちにする場合はするかな。カツオ節作りたいからカツオ探そうかな。


 サーチは特定の物体の基本情報を得る為に使ってる。広い範囲で欲しいもの探すのにも使えるかなと思って、海に向かってカツオを求めてサーチをかけてみた。


 残念ながらサーチで特定の物を指定して出来る範囲は櫂渡を中心に2キロメートル程度の球体のようだけど、その範囲にはカツオはいなかった。


 単純に地形や何かあるとか何か生き物がいるかとかならば100キロぐらい分かりそう。サーチしてみたらほぼこの島の形が分かった。結構広い。


「ごく一部だけが活動範囲だったんだなぁ。形は例えるなら佐渡島。」


 大きな二つの山が平行に並んでその間が平地になっている形。佐渡島と同じような作りの島だけど、異なるのはどちら側の山も三連山となっているところ。平地部分もだいぶ広い。


「面積は佐渡島の三倍ですか。なるほどルクセンブルクと同じぐらいなんだ。鑑定さんなんでそんな事も分かるんやろ。一つの国と同じなんて一国の主になった気…ないない。国民はいないしな。」


 さて、気を取り直してウサギがほとんど無くなったから取りに行こう。


「また、藪を払うか。」


 藪の方へ向かう。お供にオウがついてきた。小さいサイズになって肩の上にチョコンと乗っている。


 ランは狩りに行くようで、やんちゃざかりなホウは狩りについて行くようだ。新たな狩り場を発見してもらうと嬉しい。活動範囲も広がるしね。


 前回の場所から少し離れた場所を前回と同様に、ウインドカッターで藪を200メートル幅で払いながら進む。


 今回は少し魔法を改良した。魚と同じように逃げたり向かってきたりする獲物を一瞬でサーチして急所をこちら向きに物体操作で向けてエアニードルで穿ち収納へ送る。


 前回のようにウインドスフィアで槍衾ヤリブスマ的に撃つと穴がたくさん開く。小さい穴で気にするほどではないが穴は少ない方がウサギの革を活用する場合はより良いと思われた。


 鷹狩りなら、鷹に獲物を持ってきてもらったり鷹自体に狩りしてもらうのだが、ウインドカッターでの狩りは狩ってすぐ収納に収めるためオウにはやることが無い。


 そのせいか、だいぶ離れた場所で自分で自由に狩りをしていた。前回藪を刈って広くなってる場所に狩った獲物を引きずりだしてくつろぎながら食べている。

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