第6話 麦茶
魚を食べた翌朝、麦藁を敷き詰めた寝台が思った以上に快適だったのか、起きて外の台所へ出てきた時すっかり日が高くなっていた。
「すっかり寝坊したな。時間がよく分からないしたくさん寝たのかそうでも無いのかよくわからないけど。」
「この世界に来て3日目かぁ、、もっといた気がする。1日が長いのかな」
櫂渡はここの世界の1日の長さや1年の長さは分かっていない。収納魔法がものすごく役にたつから1日でできる作業量がものすごく多くて充実してるってのもある。
「グータラしてても誰かに叱られるわけでもなし、飢える心配もほぼ無くなったし、もっとスローライフして楽しんでもいいのかなぁ。とりあえず、朝ご飯にするか!」
昨日作ってあったパンを2つ取り出す。時間停止だからいつでも焼きたてだ。
「ハード系のパンだからカフェオレなんてのみたいなぁ」
「飲料事情を少し改善するのにせめて麦茶でも作るか」
そんなわけで、小麦とライ麦を品種改良した方法で大麦を品種改良する。
結果として
麦茶用、麦飯用、麦味噌用、ビール用3種、焼酎用、ウイスキー用2種類
の9種類を準備した。アルコール用の6種はどれを使っても風味が変わったりする。
必ずこれ使わなくちゃってのは無いから作れるようになったらいろいろ試すのも楽しそう。
「ウイスキーこそ時間経過のある収納向きだよね。だけど、蒸留器やモルティングしたりの設備の準備ができる気がしなあなぁ。」
櫂渡は雑誌とかで見た銅製でピカピカなスワンネックの銅製の蒸留器に憧れがありいつかは実現出来ないかなぁと思っている。
「酒造りは永遠の憧れだよなぁ。どういう手順でウイスキー造りの設備が準備できるか想像出来ないけども…とりあえず今日は麦茶だね。まず麦の焙煎からだなぁ。とりあえずこれも魔法だよりかな。」
櫂渡はまず、ピザ焼くような石釜を作った。
「ピザもそのうち焼く日がくるかな?とりあえず今日は麦茶ね」
薪で石釜全体を熱くしていく。石の鍋を石釜に入れてこれも熱く熱する。
「麦茶の焙煎はコーヒーと違い均質にするよりも程よくムラがある方がいいって聞いたことあるな。」
とりあえず物体操作で麦を石鍋に投入、火魔法と風魔法を組み合わせた超高温を石釜の入り口から送り込む物体操作で石鍋を揺らし、熱風で大麦を舞わせる。
途中何回かに分けて麦を投入していき、いろんな焙煎状態で焙煎にムラのある麦にする。出来上がったら、麦を物体操作で外にある器に入れる。
せっかく釜を熱くしてあるので続けて何回か同じ作業を繰り返し大量の麦茶のもとを作ってまだ熱々の煎りたてを時間停止の収納に入れる
大きな鍋にお湯を沸かして焙煎した麦茶を入れて3分ほど沸かす。常温であら熱がとれるまで20~30分かけてゆっくりさます。あら熱がとれたら麦を取り出して冷蔵温度で冷やす。これも収納を使い超時短でやりきる。
そしてよく冷えた麦茶をいただく櫂渡。
「!?うますぎる!むちゃくちゃうまい水を使っているけど、これまた最高過ぎる。今まで知ってる麦茶ってなんだったんだろ。」
「たくさん保存して冷えたら時間停止に移行すれば良いから大量に作っておこう。そして冬用にあら熱とったあと大麦抜いて再加熱したホット麦茶作って時間停止入れとこっと。」
「ここまで旨いのは、水がすごいのと麦の品種が麦茶向きにできたのと、オレの焙煎技術?」
最後のは調子に乗りすぎだなと思いながらも有頂天になる櫂渡。勢いに乗ってビール作ってしまえって思い
「ビール向きの大麦あるしね、酵母もなんとかなる気がするし、今日の夕食に予定しているものはビールに合うはず!」
パン酵母作りで味をしめた櫂渡は勢いで
酵母を育てたり突然変異を促したりしてラガー用の酵母3種エール用の酵母2種類とついでにウイスキー用3種類作った。
「さて、手順確認して・・鑑定さん任せだけど・・?!ホップ?!ホップは無い。」
藪からとってきた草木の中にはホップはもちろんホップに進化させられそうな原種とか近縁種もなかった。
「ホップってわりと北の方だよな。この島には無いかもな。ホップなくともホップの近縁種とか魔改造する元になる植物無いかな…」
「先走ってビール用の大麦や酵母を準備してしまったけどビールが日の目を見る日が来るだろうか。設備さえ作れればウイスキーの方が先になるか。」
残念な気持ちを堪えきれずその場にへたり込んでしまう櫂渡。
「落ち込んだらお腹すいた昼飯にしよっと。」
切替ははやい。昨日とほぼ同じ昼ご飯だけども、今日は麦茶がある。
「干物もうまくできたなー。普通に塩焼きよりいいかもな。うどんのダシにバリエーションほしいな。昆布探すか…」
「それよりは醤油ほしいから大豆さがすかー。大豆たくさんあれば油もとれる。アジ(もどき)フライとビールサイコーの組み合わせじゃない?・・ビールは無いけども」
そんなこんなで崖下のぞくと干潮のようなので昨日夜なべして作った大きな籠を持って岩場へ降りていった
「ソリャー!」
ビール飲めない鬱憤を晴らすように、かけ声一発、海水を溜まった水たまりだけでなく岩場辺り一帯の海水持ち上げたらけっこうな量の海水が持ち上がって水がなくなった部分に一気に海水が寄せてきて盛大に海水をかぶった。
「このあたりけっこう深いんだ。びっくり!ひどい目にあったな・・」
予想外のハプニングがあったが、
自分の持ち上げた海水の多さに驚きながらも、ものすごく大きい海水が球状になって空中に維持されてる。
「おれこんな事できるんだ。これを物体操作で動かせるかな?」
海の上で大きな海水の玉を上下左右に動かせて遊ぶ。
「このまま上に持って行ってもいいか、、こんなに海水いらないな、それに小さい奴も」
と言うと、大きな海水の玉から海水と小さそうな魚たちを海に返す。
玉はかなり小さくなり魚たちで超過密状態になる。そのまま櫂渡は崖の上に登り玉を一緒につれてくる。
大きな鍋も水桶もサイズが全然足りない。
「収納に生き物入れられないの不便だな・・どこに置こう?」
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