第4話 収納魔法?②

「さて料理にかかろう」


 といっても焼くか煮るかしかないよね

「味付けどうしよう?海水から塩取れるかな?」


 そんな独り言を言いながら崖の方へ歩く。土魔法で下に降りられる階段を作る。


「土魔法の土ってどこからやってくるんだろう?魔法の理屈をいろいろ考えても仕方ないかな」


 現在潮は満ちている状態。とりあえず海水を鑑定し成分は地球とほぼ同じであることを確認し、とりあえずおおきな石鍋を取り出して海水を汲み拠点へ戻る。


 魔法で塩を分離して、小さい鍋にできた塩を移す。


「まずは、味見・・しょっぺー」

 塩なので当たり前と言えば当たり前だけども、とりあえずできた塩を鑑定してみる


 鑑定:

 塩化ナトリウム

 純粋な塩




「あ、しょっぱいだけの塩かぁ。あ、そうだ!」


 思い立ってもう一度海水をくみにいく。鍋を収納へ入れる。 


 条件は湿度低め。高温、空気の流れあり、時間1万倍


 鍋を収納に入れては取り出す。そのうち塩の結晶が現れたのでそれを掬ってこして、こし布に残った結晶を小鍋に移す。小鍋をさっきの条件の収納にしまう

「今回はこし布に煮沸したハンカチ使ったけど、布も自製出来るようにしないとなぁ」


 少したって取り出すと塩ができてた。

 鑑定すると


 鑑定:

 美味しい塩

 ミネラルを多く含んでいる美味しい塩


 なめてみるとさっきの塩よりも角がとれてて美味しい気がする。塩なのでしょっぱいに違いはないけれど。


 塩焼きでウサギ食べるかな。


 石板は少し前から薪を使って熱してありすっかり熱くなっている。石版は一度熱すると食材置いてもさめにくいのでとても良い反面熱伝導率が悪かった。


「使った石材が調理プレートにするには向いて無かったかな。やっぱり鉄が欲しい。」


 鉄は男のロマンだと思う櫂渡である。

 

 ウサギを塩で焼くけれど、塩だけじゃ寂しいなぁと思って藪で刈ったものの中から何か香草みたいに使えるものは無いかと探してみる。 


 あまり細かな指示を与えていなかったけれど、収納に入った藪の草木たちは程よく乾燥された状況で時間停止に移行していた。しかも分類整理された状態になってた。


「優秀!」

 思わず叫ぶ


 探すとローズマリーとほぼ同種のものがあった。他にも興味ある植物が見つかったがとりあえず後回し朝ご飯も食べて無いからハラペコだ。


 早速石板の上で塩をふったウサギ肉を『ほぼ』ローズマリーを添えて焼く。里芋と蓮根を付け合わせ用に少しだけを蒸し焼に設定した収納に移す。


 ウサギ肉が程よく焼けたところで里芋と蓮根をつけあわせに出す。


 うまい!ウサギは生まれて初めて食べたけど旨味がギュッとなってておいしいな。


 里芋はホクホク、レンコンはシャキシャキした歯ごたえで美味しい。昨日の釜飯ぶりの食事はたいへん満足できた。


 ローズマリーを探す時に藪から採ってきた植物の中に大麦と小麦を見つけた。地球で主流の品種よりもだいぶ原種プリミティブなようで一つの穂につく粒の数も多くはない。


 とりあえず拠点の野球グラウンド程度の庭に土魔法で巨大プランター(巨大すぎるだろ?)を作り同じく土魔法でプランターを土で満たす。小麦をまき巨大プランターごと収納に入れる。季節は秋から始まり夏前まで。脱穀は風魔法でした。それを収納で早回しをして収穫時期になったら外に出し風魔法で収穫、脱穀を繰り返す。20年分が4~5時間でできてしまうこの収納スゴすぎる。


 種を蒔くときにランダムで品種改変突然変異が起きるように魔法をかける。品種改変をかけて一度育てると一回につき5~6種類ぐらいの突然変異種があらわれる。


鑑定を使い有望なやつを選んでまた一年を収納の中で過ごさせる。容量制限が無いのを良いことに複数平行して育成する。 


 麦の仲間は自家受粉だから種まいたら収穫まで放置でいいのは助かる。そうじゃなければ花が咲くタイミングで受粉して戻して次の日まで進めて新しく咲いた花に受粉してを繰り返さなくてはならなくて忙しい。


 品種改変促進は木魔法に分類されるものだろうか。成長自体を魔法で促す事もできそうで、一度収納の外でやってみて鑑定してみたが日持ちしなかったり次世代の生育があんまり良くなかったりしていたので収納で小麦に時間経過を経験させた小麦の方が良さそうだった。


だから、品種改変のみ魔法を使ってやっている。いちいち実食する時間は無いので鑑定を使って、うどん向き、パスタ向き、パン向き、ピザ向き、お好み焼き向きなど○○向きなど20種類程度をとても美味しいっていう品種が出来たところで小麦は完了とする。


「小麦使って何つくろ?今のところ、砂糖も卵も牛乳ももちろんバターも無いから作られるもの限られるな。パン焼けると朝食にいいんだけどな・・酵母・・いるな」


 藪からとってきたものを保管してある収納を覗き(実際には脳内に展開し)こみ、パン向きの酵母を探す。


「これだけの種類植物があれば完璧なものでなくてもパン向きの酵母がいるはず。」

 探し物をするときはどうやら収納と鑑定が連携してくれるようでパン向きの酵母を教えてくれた。結果、、ライ麦でした。ライ麦の酵母を小麦に移していくんだっけ?


 ライ麦を小麦の時と同様に品種改良しますか、ライ麦パンもそのうち作るとしましょう。ライ麦も小麦の時とほぼ同じ工程で品種改良完成。


 今のところライ麦パンぐらいしか思い当たらないのでライ麦パン専用ライ麦が出来たところで終了。小麦よりもだいぶ年数少なくてすみました。

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