第2話 住環境を整えよう

 3m四方の大きな立方体のすべて出し切ることはせず少し重ねた状態にしておく。切断面の隙間は土魔法で固める。


 使えましたよ。土魔法も。切り出した立方体が水平を保てるように土魔法で立方体の下を整える。


 今度は立方体の中をくりぬき部屋にしていくが、切り出したものであとでいろいろ加工できるようにある程度サイズを保てるように切り出す。


 まずは入り口は引き戸にする。いくらそれなりに薄くしてあるとはいえ大きな石の塊だから工夫を施す。敷居に掘った溝はしっかり平らに滑らかにし。


 戸にする石で作った板の下には土魔法で固めたビー玉サイズのコロを埋め込む。だんだん加工が楽しくなり、水魔法での操作もだんだん細かな細工も出来るように上達してきた。


 魔法ってすごいね。


 同じように立方体と切り出した穴との間にも引き戸を作り一端完了。切り出した穴へ入っていく。当たり前だけども中は真っ暗。


 光魔法を試してみる。部屋の中が明るくなる。


「この世界の魔法は属性とか関係なくイメージできれば何でも使えるのかな?」


 などと、とんでもない勘違いをしている。櫂渡はたしかに属性関係なくイメージした魔法はほとんど使う事が出来る。


 しかし、この世界の魔法は適正が与えられている属性の魔法のみ使える場合がほとんどであるが、この勘違いが分かるのはだいぶ先の事。


 また、余談となるが、高校生3人が魔力が満ちてなくて魔法が使えないどころか魔素が体内を巡ってすらいないのに櫂渡がポンポンと属性関係なく魔法が使えるのには理由がある。


 それが明らかになるのも少し先のお話。


 櫂渡は部屋の中で更に石の壁を削り棚や寝台などを作っていく。一旦、この寝室が出来上がったので、キャリーバッグ、リュックなどを持ち込む。荷ほどきをし棚にそれぞれ収納する。


「ハンガー欲しいな。近い内に森へ行き木製品用に都合の良さそうなの探すかな。どちらにしても食べられるもの探しに明日は森へ行かないとならないかな」


 今日は森から平坦な方へ行こうかなと思ったけれど思いのほか、藪が茂っていて荷物を持ったまま藪を払って進むのが面倒だったので木や草の少ない岩の方を登ってきたのであった。


「まだ外は少し明るいからもう少し作業をしようかな?」


 独り言を言いながら外に出てきた。


 先ほど立方体の中から切り出した石材を使っていろいろ作ってみた。


 まずは湧き水が出ている所の下に石で桶を作る。


「そう言えば、石切り出した所は水はわかなかったなぁ」


 そう思いそそり立つ岩肌を見る。

 よくよく見ると掘った所と水がでてる所の地質というか、岩石の質はことなるよう。


「何も考えてなかったけどあっちに近い方掘ると美味しい水飲めなくなる可能性もあったな、、アブね~」


 まぁ水を育んでいるのはこの崖より奥にそびえ立つそこそこの標高の山だからまぁ、掘っててもおそらく大丈夫だったと思われるが、それよりそっち掘っちゃったら寝るところに水がポチャポチャ湧いてたいへんだったかも。結果オーライでした。


「気を取り直して、、」


 桶から更に樋を石で作り建物の中に引き込む。建物に置いた桶があふれないように一定の水位を超えたらそとに流す。


 また、ここに雨が降って大量の水が流れて来ないよう湧き水から来る入口を止められるように工夫する。


「樋とかに蓋つけたり、湧き水の桶や湧き水が出る所に屋根つけた方が良いなぁ、いつか考えよう」


 炊事場と決めた場所にも湧き水から樋を通して桶に水が溜まるようにした。


 竈も作り、石で鍋もいくつかサイズ違いを作った。さすがに釜飯の入れ物だと小さいからね~


 思いのほか水魔法で石の加工の細かい所が出来たので、ナイフのようなものや鏃というか銛の先につけるようなものを作ってみた。


「銛というよりか槍なのかもなぁ…魚を突く目的で作ったから銛っていってるけど完成予想図は槍だよなぁ…まぁどっちでもいいやっ。浅瀬に取り残されてる魚を突ければなんでもいいや。とりあえず明日木の枝を探して銛を完成させよう。」


「ナイフも持ち手になりそうな木を探そう。刃渡りはどうしてもだいぶ短いから柄は必要だなぁ。」


「金属の刃物作りたいなぁ。鍛冶場作りたい。この島そこそこ広いから鉄が採掘できたりしないものかな。鍛冶は男のロマン!鉄鉱石からでも魔法で鉄だけ分離できる気がする」


 日も暮れてきたので寝る事にする。


 入口には先ほど作った桶に水が溜まっている。思いのほか水量が多い。石で作ったコップに水をくみ喉を潤す。 


「お腹がすいているせいもあるけどこの水やっぱりむちゃくちゃ美味しい。」


 今日は出かける前に朝ご飯として食べたパンとコーヒーとヨーグルト、そしてこっちの世界に来て食べた釜飯の二食だけだから空腹気味


「あれ?、今朝高校生に会ったんだよなぁ。長い1日だった。魔法が使えたおかげで寝るところもなんとかなったけど、、地球で遭難して無人島に流れついたら今頃は砂浜でもっとお腹すかせてたな…高校生達は無事だろうか」


 荷のなかに少しだけ飴やグミやチョコレートやその他のお菓子が入っているが、、それらには手をつけない。何も食べられなかった時に手をつけよう。封を開けてないからまだまだ日持ちもするしね。


 今日はもう寝ることにする。寝台といっても石を切り出しただけなので固い。とにかく固い。


 ビーチで使う用のレジャーシートやバスタオルを二枚引いてタオルを枕にして寝ることにした。


「レジャーシートペラペラで意味があるかどうか分からないけども…」


 と言いながらも相当疲れていたのかすぐ眠りに落ちた。

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