第一部 島開拓編
第一章 衣食住
第1話 衣食住をなんとかしたい
櫂渡はこの場所の鑑定の結果無人島であることを知りまた頭をかかえていた。
テレビのクイズだかなぞなぞだかで人が絶対に行くことができない場所ってので答えが無人島って言うのがあったなぁって思い出す。
「人が行った時点でその島は無人ではなくなるっていうのがその問題の解説だったかなぁ。うろ覚えだけど。」
「晴れて、俺が来たことでここは無人島ではなくなった!ざまぁ見ろ!」
って誰に向かって言ってるかは不明だなとは思ってても、なんかしゃべってないと心が落ち着かない。
そんなどうでも良いこと考えている暇があったらなんか行動しなきゃなぁって思うけど、、
何から手をつければいい?
まずは衣食住だよね。
「衣はとりあえず旅行向けに一週間分の着替えが入ってるからちょっとの間はもつな。」
沖縄旅行向けの着替えで軽装中心だから寒い季節までには他の服も考えないとならない。
多少雨降ったりして少し肌寒い時用に長袖の羽織るものもある事はあるので少し肌寒いぐらいならなんとかなりそうである。
「いろんな気候考えて若干多めの種類と量を持ってきてよかったなぁ。友達にはいつも荷物デカっ旅行下手かっていじられてたけど、今回は持っててよかった大荷物って感じだよ。」
「洗濯できる川とか探さなきゃなあ。」
緑あふれる森があるし、山が見えているから川はきっとあるだろうと想像する。いまいる場所も山頂は見えないものの山の入口である
「なかったら湧き水の下に何か桶みたいなの作って水ためられるようにしてもいいな。」
水はここのあたりのあちこちでわきだしているけれど、岩場の隙間に落ちてしまい川になったり水溜まりになったりはしていない。
飲み水はこの湧き水で良さそう。生活拠点が別の方が都合がよければそこのそばに飲み水の場所を探さないとならなくなるだろうけど。
「食は、一番どうにかせねばならん事だよなぁ。飲料水はとりあえずなんとかなった。」
動物捕まえて食べるとか、イメージ湧かない櫂渡
「ナイフとかもないから捌くこともできんもんな。なんか山菜的なの探すしかないか、、」
沖縄でバーベキューする予定だったからお気に入りのバーベキュー道具持って行こうと友達に話したら、やめておけって言われたんだった…
持ってきてたら包丁とか薪を割る為の鉈もあったのになぁマルチツールになるナイフぐらいはキャリーバッグに入れておけばよかったなぁ。
飛行機乗るときは荷物預ければいいよね。そもそも飛行機乗ってないけど。
「あ、釜飯あるんだ。」
キャリーバッグではなくて手持ちのバッグ、リュックにもなるしキャリーバッグのハンドルに固定もできるやつに入れておいたんだった。時間たちすぎると悪くなっちゃうからなぁ。なんだかんだで5,6時間は最低たってるよな。
「いったん食べながら今後の事を考えるか。」
湧き水のそばにちょうど腰掛けられそうな岩があったのでそこに腰掛ける。
「お茶を買おうと思ってたけど、、買えなかったな、水でいいか。湧き水たくさんあるから補充はできるし。」
ほとんど残ってなかった水を飲みきり、湧き水をペットボトルへ新たに汲む。
釜飯の包みを開き食べ始める。
釜飯はゴミ削減の目的に最近は紙パッケージのものもあるが、今日のはちゃんと素焼きの器。
「コレなら、小さいかまど作れば山菜とか見つけたら茹でるのに何とかなるかな…だいぶ小さいけど」
食材の確保だけでなく、食器や調理器具も何とか確保しなきゃなと思うのであった。
「とりあえず食べよう。」
一口釜飯を食べる。
「うまい!」
そして一口湧き水を
「!?!?!?うまい!うますぎる!鑑定でおいしい水とはでてたけど、、うまい!相乗効果で釜飯もめちゃくちゃうまい!」
あまりの美味しさに釜飯をかき込みそうになるが、これ食べ終えたら、お米を一生食べられないかもと思い直し一口ずつ時間をかけて食べる。食べ終わった時に涙がボロボロ溢れていた。
この生では最後の米かもという感慨というよりも、この水と釜飯のマリアージュ?が最高すぎてうますぎて。
旨すぎると人は涙が流れるのを初めて知った櫂渡であった。
お腹が落ちついたのでこの場所をあらためて見回してみる。
大きな岩が平らに広く広がって行る場所で、更に岩と岩の間は土が堆積しているのか広く平らな土地になってる。少し歩いて崖の方へ行くと、その下は先ほど魚が浅い水溜まりに取り残されてた場所のようにも思えた。
潮が満ちているのかさっき魚が取り残されてた場所は海の下なのか見えないけれど大きな岩は海面から出ていて見覚えのある形の岩もあった。だいぶ海面に隠されているので自信は無いけど。
そういえば岩肌からある程度の水が落ちていたなぁと思い腹ばいになって下をのぞき込むと湧き水が海へとながれ落ちている場所があってここがさっき岩場から見えていた場所だと確信がもてた。
縄ばしごみたいなの作って下に降りられるようにしたら閉じこめられた魚捕まえても良いかもなぁ。
「あのぐらいの大きさの魚なら串、、は無いから枝に刺していろりみたいな感じで焼けば食べられるかも」
と独り言を言いながら背後の岩場を振り返って眺める。
「ちょうどよく雨風しのげる洞窟なんて無いよなぁ…」
ここの広さは多少のでこぼこはあるものの野球場のグランドの広さぐらいある。拠点を作るにはちょうど良さそうだ。飲み水もあるし。
ただ雨風しのげる場所が無い。
「魔法使えたりしないかな、、鑑定使えるし。岩を扱うなら土魔法?それとも岩を切り出すのでウォーターカッター?ウインドカッター?」
「地球でも水で石を加工してたよね。テレビで見たことある。使えるかどうか知らんが…」
「ウォーターカッター!」
一辺が3メートルの立方体をイメージしながら唱えてみる。
「おおー!なんか切断しとる!」
ウォーターカッターらしきものが発動し上下左右に切り込みが入っていくのが分かる。
上下左右が切り終わったあと背面を切り離しているようだ。
「さすが魔法!背面なんて普通は切り離せないよなぁ」
切り離しが完了した感覚があった。
「コレどうやって出せるかな?せっかく大きな立方体にしたけど持てるぐらいに小さくしないとならないかなぁ」
はて?と考えこんで重力操作と物体操作を試してみることに
「魔法はイメージっていうもんな。」
「操作!」
イメージさえあればかけ声は何でもいいんだろうっておもって唱えてみる。
結果はうまくいった。
イメージは立方体を1mmの何分の一かだけ浮かせてそのままの姿勢で外ににゅるっと出すイメージ
若干天井部分にぶつけたり横をこすったりしたけど初めてにしてはうまくいったのではないかと自我自賛する櫂渡であった。
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