高校1年 遥編 気持ちと行動の矛盾
シンくんと付き合ってからの中学校生活は本当に楽しかった。学校のある日は、休み時間のたびに会いに行き、昼休みの時には一緒に屋上でお弁当を食べたり、お昼寝をしたりした。
休みの日は、まあまあな頻度でデートに行った。水族館やら遊園地やら、いろんなところを彼と一緒に回った。
いろんな思い出ができていくたびに、彼は自分の感情を表によく出すようになっていった。辛いものを食べた時はベロを出して辛いアピールをしてきたし、嬉しい時は、飛び跳ねて喜ぶことが増えていた。シンくんが、私に気を許してくれてるのだと思うと、とても嬉しかった。
でも、だからこそ、彼が時々見せる、辛そうな、不安そうな表情が気になっていた...
そういう不安な点が出てくるたびに、私は母に相談していた。母は、私にとって、唯一同性で相談に乗ってくれる存在だし、運命の人と出会うことを言い当ててるのもあって信頼している存在だった。
私は彼氏を作るのが初めてで、分からないことだらけだったので、母に色んなことを相談した。その度に、母はきちんとアドバイスをくれた。そしてそのアドバイスのたびに同じ言葉を最後に言われた。
「いい?相手の気持ちを尊重するのが大事。相手が話したくなさそうなら黙ってそばにいてあげるの。相手が助けて欲しそうなら助けてあげるの。相手がして欲しそうなことを考えて行動するのよ。そうすればきっと上手くいくわ。だって貴方達は運命結ばれたのだから。」
それは、いままで人と関わる機会がなかった私には難しいことだった。だから、それを言われるたびに私は少し顔をしかめた。やれるならやってるなんて心の中で文句を言ったりしてた。
中学卒業式の前日、私は母に最後の相談として、彼のために身だしなみに気を遣った方がいいのかという質問を投げていた。その時にも、母は最後にいつもの言葉を言ってきた。そして、いつも通り私が顔をしかめていると、母は、何かを察し、いつものアドバイスに一個追加してきた....
「たとえ、運命の人同時が付き合えたとしても、別れてしまう時があるの。実際、お母さんは、お父さんと一度別れてるの。だからね、もし別れちゃった時に、もう一度やり直せる方法を教えてあげる。それは.....」
私は、その方法を聞いて、思わず唾を飲み込んだ。その方法は、いつも優しい母から出てきたものだとは到底思えないものだった....
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高校入学式の日、私は多くの人からの視線を感じながらシンくんと一緒に教室に入った。
結局、私は、シンくんに綺麗になるべきかと聞き、彼の返答から身だしなみに気をつけるよう努力をすることにしたのだ。
その結果は、いまこうして感じる周りの視線からも分かる通り、成功だった。なんなら少し成功しすぎなくらいだ。鏡の前に立った時、自分だってわかっていても、ついつい誰?と思ってしまうくらい綺麗に変わったと自負している。
だから、新しい私を見たら彼もきっと喜んでくれると思って、新しい学校に向かう前に、シンくんの家に自分の姿を見せに行った。
彼は、私を見た時、目を大きく開いて驚いていたけどニコリと笑ってかわいいと言ってくれた。
そんな言葉を好きな人に言われて嬉しくないなんてことはなく、私は心の中で発狂しながら喜んだ。飛び跳ねて喜びたいという気持ちになっていた私は、一瞬見えた、彼の寂しそうな表情など気にしなかった...
コレで、これから先の高校生活で、もっとシンくんとイチャイチャできると思いながら高校入学式にのぞんだ。
でも....
現実は違かった。
学校生活が始まってから、私の周りには、彼以外の人ばかりが寄るようになり、シンくんは近づいてきてくれなくなっていた。話しかけようと思った時にはもういなくなっていたり、寝ていたりして、学校内で話をしたり、一緒にいられる時間は無くなっていった。
そこで、普通なら頑張ってシンくんに近づいて一緒にいようとするのが普通なのだろう。でも私は、そういうことはしなかった。
今まで1人で話す人がいなかった私にとって、誰かから話しかけられることは貴重であり、嬉しいことだった。それに、シンくんと一緒にいる時間はいつでも作れると思ってた。だから、学校で彼と無理に関わる必要はないと思い、友達と話すことを選んでいた。
多分、新しくなった自分に浮かれてたんだと思う。彼氏と彼女がろくに関わることをやめたらどうなるか、その結果は考えなくても分かるはずだったのに、運命という楽観的な考えで、何も気にせずにのんびり生活してた。
そのようにして、シンくんと一緒にいる時間は、少し、また少しと減っていき、いつしかデートにもいかないようになっていった。
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入学式から数ヶ月が経ち、私は"久しぶり"にシンくんと一緒に帰っていた。ここ最近、友達と帰りにどこかに寄ることが増えて、彼と帰ることはあまり無くなっていたため、久しぶりの一緒になる時間に、心はウキウキしてた。
でも...
「.......」
「.......」
シンくんと私の2人っきりで帰っているというのに、彼も、私も何も喋らない。カップルだとは思えない空気が私たちを包んでいる。
...こんなことがずっと続いていた。いつからか、お互いの話が合わなくなっていき、気まずくなる瞬間が増えていった。そしてついに、最近は話そうとすらしなくなってしまった。
お互い無言でただ帰る。私は、彼と一緒にいられるだけでもいいのだが、それでも彼の優しい声が聞きたかった。
だけど、母に前に言われていた「相手の気持ちを尊重する」というアドバイスを参考にして、彼が無言である間は話しかけるのはやめていた。ただただ私の欲望を封印して、彼と一緒にいるこの瞬間を噛み締めながら帰ってた。
でも、我慢する分、私の彼への気持ちは膨れ上がっていった。デートにも行ってないのもあり、宇宙みたいに私の気持ちは膨れ上がった。
シンくんとと話したい。
でも彼は話したくなさそう....
シンくんの温もりを感じたい。
でも彼は触れられたくなさそう....
シンくんと一緒にいたい。
でも、彼と一緒にいると気まずくなっちゃうし、友達との時間もある....
心の中で、いろんな気持ちが交差する。
気持ち同士での戦いでは、彼と話したいとかそういう気持ちが勝っていた。
でも、私が友達を優先してしまったのも悪いから、自分の気持ちを押し付けるなんてことはしなかった。そうすると当然、その分、自分の中で、彼と話したいとか、彼と触れたいと言った気持ちがたまっていった。
そしてついに...
その気持ちは爆発した。
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ある日の放課後。
私は、ある瞬間を今か今かと待ち続けていた。その間、私の中で、こんなことしていいのかという不安と、バレてしまわないかというドキドキが暴れ回っていた。
(ッ!?来た!)
そう思った瞬間、急いである机のところに駆け寄って、そこにかけてある鞄を手に取った。そして、周りを警戒しながら、鞄を漁り、目的のものを探した。
焦っていたのもあって、一度見つけたのにまた鞄の中に落としてしまうというミスもしたが、なんとか誰にも見られずに手に入れることができた。
その後は、急いで自分の鞄を手に取り、ダッシュで学校を出て、自分の家に向かった。追いかけられてる訳がないのに、家に着いたら真っ先に鍵を閉めた。
ゼェゼェといっている息を整えながら、今日の成果をニマニマと眺めた。
「コレが、コレがあれば!シンくんには気づかれずに彼の近くに行くことができる!」
今日のやることを成し遂げた私には、焦りやら、不安、罪悪感なんてものは残ってなくて、やり遂げたという達成感や嬉しいという気持ちだけが私の中を支配していた。
私のまぶしいくらい明るくなっていた気持ちに反応したのか、眺めているものもギラリと輝いたように見えた...
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投稿遅くなりすみません。
なかなか書いてみても上手くいかなくて...
最近、インフルが流行ってますね。僕のクラスは学級閉鎖になってしまいました。僕は今の所大丈夫ですが、弟は来週修学旅行だし、姉は受験生だしで、病気にかからないように気をつけなくてはなりません。皆さんも体調には気をつけてください!
さて、今まで僕はコメントに返信をしてましたが、コレからは無しにしようと思います。理由としては、皆さんの考察の邪魔をしたくないという点と、ネタバレをしてしまうかもという点があるからです。
ありがとうなどの一言なら返すと思います。
なので、コレから先は、返信はせず、来たコメントをニコニコと眺めたいなと思います。
考察などを見て楽しみたいので、コメントはどんどん送って欲しいです!
最後に、誤字あったら教えてくれると助かります。面白いと思ったら、ハート、星、お願いします!←YouTuberみたいな事やって見たか
っただけ。
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