高校1年 慎二編 元彼女の異変

Error Error


プログラムに異常が発生。対処します。

✖️✖️✖️

対処できませんでした。ストーリーに異変が現れる可能性あり。

このまま、続きを再生しますか?


▶︎はい

 いいえ


ピッ


_________________________________________







次の日、僕はいつもより早めに登校した。


昨日はギリギリに教室に入ったが、いつもはSHRの30分前には着いている。今回はそれより早めに出たため、1時間という余裕があった。こんなに時間に余裕があればいろんな事ができるように思えた。


でも僕には友達といえる存在がないため、友達と話して時間を潰すということもできずにいた。今読んでいる本は残り30分くらいで読み終わるので、今の時間はやる事がない。


暇だったから僕は少しの間静かな教室をぼーっと眺めていた。この時間帯に来ている人はほとんどの人が自習するためか朝練だったので、教室の中に人はあまりいなかった。


実際、教室にいる数人のクラスメイトたちはひたすらにペンを動かしている。カリカリというペンを動かしている音だけが教室の中でなっていた。喋り声など一切聞こえなかった。


こういう真面目な生徒の姿を見ていると少し焦るよなぁ。なんか何もやってない僕は後々マズいのではないかと不安になる。


なら勉強すればいいといってくる人は結構な数いるだろう。でもやる気が出ない。そして僕はやる気のないものをやっても記憶には残らないのだ。中学の頃必死こいて覚えた英単語も今では半分くらいしか覚えてない。つまり興味のないものを僕の脳は受け付けてくれない。この脳には僕も困っている。


逆に興味のあるものに対する僕の熱意と記憶力は凄いと思う。最近ハマっているオープンワールドゲームの話だが、そのゲームのアプデで追加された新しい国のマップをわずか3日目にして探索度100%にしてしまった。コレには自分でも驚いていた。この熱意が勉強に行ってくれたらなと何度思った事か....



 

なんてくだらないことを自分の頭の中で考えていたら、いつのまにか15分が経過していた。残り45分なら、30分で読み終わる本をんっくり読めばやり過ごせるかもしれない。


そう思って本を開いたその時だった。

教室の扉がバンっと強引に開かれた。あまりにもうるさかったのか、ちらっと見に来る生徒もいた。


もちろん僕のクラスにいた人は、僕を含めてうるさい音に視線をやっていた。誰がこんな事をするんだと、みんながその扉に注目していた。そして、そこに立っていたのはのは

"僕の元カノ"だった。


あんなに静かだった教室は少しばかりうるさくなった。でもそうなるのも当然だ。あのクラスの人気者である遥がこんなに周りに迷惑をかける登場の仕方をするなんて誰が予想できただろうか。中学の頃からの知り合いである僕でさえ今こうして驚いている。


そんな周りの目を彼女は何も気にせず、カバンを置きもしないでまっすぐと僕のところまで来た。今の彼女は言葉には表せないようなすごい迫力があった。何をされるのかとビクビクしている僕に彼女の手が伸びてきた。




昨日の投げ飛ばしたことへの八つ当たりでもされるのだろうと心の中で覚悟した。



パシッ




特に痛みを感じなかった僕は恐る恐る目を開ける。僕は新崎さんに腕を掴まれていた。何がしたいのか分からなかった僕は顔をのぞいてみた。そしてまた驚くことになった。


遥の表情は"無"そのものだったのだ。目には光がない。深淵を彷彿とさせるようなそんな瞳をしていた。体が震える。人間にここまで恐怖心を覚えたのは今日が初めてだった。



グイッ





遥はなにも言わずに僕の腕を引っ張ってきた。何も言ってはこないがどこかへ連れて行こうとしていることだけは分かった。でも今の彼女は何をしてくるかも分からない得体の知れないものとかしていた。そんなやつについていったら何されるか分からない。だから僕は必死に抵抗した。


(遥にこんな力あったか?)


彼女は今まででは考えられないほどの力で引っ張ってきた。引っ張られている腕が悲鳴を上げてるのが分かった。このままでは腕が外れるのではないか心配するレベルで力が強かかった...


(とりあえずやめさせないと...)


そう思ったので話すことになった。最低限しか話さないと決めたのに、その次の日に遥に話しかけることになったのは覚悟が揺らいでしまいそうで少し嫌だった。でも止めないで放置していると、彼女からの攻撃がエスカレートする可能性もあった。だから仕方がなく話した。



「はる....新崎さん。やめてくれませんか?」



「ッ!?」



名前で呼ぶのもやめ、なるべく他人行儀に接した。そんな僕の態度に驚いたのか、少し引っ張る力が弱まった。でもやめてはくれない。もう直ぐ多くの生徒が登校してくる。今の量の生徒に見られるだけならダメージは小くらいだけど、こんな状況を多くのクラスメイトに見られて、多くの視線を向けられたら僕は精神を保っていられるか分からない。


(とりあえず早く止めないとヤバい!)


「やめろって言ってるだろ!?いい加減にしろよ、新崎さん。これ以上やるなら君でも僕は一生許さないからな...」


早く止めないといけない焦りもあってか、気づいたら強めに新崎さんに注意していた。最初の方は声を荒げてしまったが、残りは静かに淡々と圧をかけることに成功した。


こんな僕を遥は見たことはなかった。明らかな拒絶をしたことなんてなかったから知っているはずがない。遥は、少し悲しそうな顔をした後、僕の腕を離し、自分の席に戻って行った。






それ以外に今日一日で近づいてくることはなかった。







「ふぅ...」


学校が終わり、家に帰ってきた僕はベットに倒れ込む。最近はいつもより疲れることが多いため、家に帰ってきたらベッドで寝るのが習慣になっていた。


「っ、」



遥に引っ張られた腕がまだ痛い。どんだけ力入れて引っ張りやがったんだアイツ。






....今日の遥はいつもと明らかに違っていた。

いつも通りに休み時間に彼女の席に人が集まっていったが、彼女は誰のことも見ずにただただ無言で弁当を食べ、誰の話も聞かずに寝ていた。授業の間の10分休憩でも同じように寝て過ごしていた。


明らかに周りを拒絶していたんだ。全員を警戒していたようにも思えた。

 他にも遥が変わったことはいくつかあった。そのひとつとして、授業中にこちらに視線を送ってくることが増えた。付き合ってる頃はたまに視線を感じる程度だったが、今日は明らかにずっと見られていた。正直めっちゃ怖かった....


何よりも変わってしまったことは、表情の変化が起きなくなったことだ。今日一日の中で変化があったのは僕が明確な拒絶を示した時だけだった。


それ以外の彼女の表情は死んでいた。死んだ表情の仮面をつけてるのではないかと疑ってしまうくらい顔の筋肉が動かなかった。


周りもそんな危ない彼女の異変を察してか、学校が終わる頃には遥の周りには誰もいなくなっていた....










明らかに彼女は変わってしまった。

しかも悪い方向に。




(何か嫌な予感がするな...)



僕は、嫌な事を想像をした。

もしかしたら明日殺されるかもしれない...

そんな想像もしてしまった。


(どうか僕の予感が当たりませんように...)




自分の嫌な予感があたらないことを願いながら僕は眠りについた....


















***


「..うーん...」



目が覚めた僕はボヤけた目でスマホを探した。手探りでさがす。見つけたスマホを手に取り、時刻を確認する。時刻は20時と表示されていた。


(ご飯食べて風呂入って戸締りして寝る。)


やる事を確認して、ひとつひとつこなした。ご飯はコンビニ弁当で済ませて、風呂に入った。

そして出た後に、戸締りするために窓のところへ行った。戸締りついでに、風呂で長居してしまってのぼせていたので、どうせならベランダで少し涼もうと思って外へ出た。








ジーッ






誰かからのヌルっとした視線を感じた。

慌てて下を見る。でもそこには誰もいなかった。周囲を見渡しても見た。でも誰もいない。


このことから考えることは一つだけだった。









(あ、終わった。コレ幽霊だ。防ぎようがない奴だ。僕死ぬのかな?あの世連れてかれちゃう?連れて行くなら天国がいいな...幽霊さんお願いしますね。)



そう、考えることなんて幽霊が僕を襲いにきたということだけだった。現実を受け止められない僕は、心の中で幽霊にせめて優しくしてねと頼み事をした。急いで部屋に入り、シャッターを下ろす事を忘れたまま、布団にくるまって震えながら寝た....











???「フフッ寝顔可愛い...ねぇシン君。アイシテル。逃がさないからね♡」














この時の僕には家の中の侵入者に気づくことなんてできるはずがなかった...











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