第2話

東側の日本はというと、アラスカの方からアメリカ軍が南下してきて、弱まったロシアに付け入って樺太や北方領土を奪還、占領してしまった。もうロシアはぐうの音も出ないのだが、核兵器は持っていた。しかしそれを使えば本国が終わってしまう。そういうヤケになりそうなプーチンの一派は雲隠れしてしまった。ロシアという国も可哀そうな国だ。かつては世界を2分するアメリカとのにらみ合いができる国であったが、国力の低下は免れなかった。その傷跡を少しでも残そうとしたプーチンは病死してしまった。それからというもの、ウクライナの辛勝で幕引きとなった。


 この戦争で学んだことは、核を持っていても使えないということだ。使った時の報復やその大惨事を考えるとまったく良いことは何もない。死体の山と不毛の地帯を生むだけだからだ。


 ここでまた日本に戻ると、西側の中国は最新の核兵器をもっている。しかしそれに対抗できるものを東側は生み出した。それがPlasma Sphere EMPというものだ。これは高速に近寄る物体を検知すると各基地から発射され、空中を漂う。そして物体が近寄ったら弾けて電子系統を不能にさせるというものである。音速で来る核弾頭でもEMPで電子機器で狂わせてそのまま太平洋までポチャンといった感じになる。 これにより原始的な低空飛行の制御のない核弾頭しか打ち込めなくなった。しかしこれは諸刃の剣でどこに命中するかも分からず、ただやみくもに放射能をばらまくものとなるのであった。侵略後に放射能が残ったら意味がないので、よって中国側はこの核弾頭を使うことができなくなった。


 東日本はアメリカ合衆国、日本自治領となった。かつてから日本はアメリカ領日本州と呼ばれていることもあったが、まさにそうなった。だが、それでも西日本と比べると自由のきく所ではあった。分断国家で面白いことなのだが、互いに日本人同士で争いたくないため西と東で戦争に赴く日本人はいないことだ。無論、西側の日本では日本人に対してプロパガンダを叩きこむが、それでもその本心を知っているためまともに相手はしない。ただ、幼い子供たちはその餌食にされている。しかし、その本心を親が諭して真実を教えるということになっている。昔の朝鮮学校に通う北朝鮮の朝鮮人のようにメディアでは北朝鮮を称える事を言うが、内心はそう思ってないことと一緒である。かつていた中帰連のような洗脳を受ける人も少なくもないが、市民はシラーっとしている。自分たちに火の粉が降りかからないように日本人特有の排他的な協調性が働いているのである。

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