第25話

俺達はバレンシアガという店に入った。楓は驚いていたが、天とるんは特に高いという反応は示さず普通に店内に入った。まぁこの二人は火星ですから普通にブランド物を買うから気にならないんだろう。一応かなりのハイブランドなんだが。やはりというか店にいる人たちはどこか上品な雰囲気を醸し出している。


「薫先輩がこの店を知っていることに驚きました。ブランドものには興味はなさそうだったんで」


「興味はないぞ、だが調べたらここが出てきたからここに来ただけだ」


それにしても俺が触るのを憚れるほどの高級感溢れた服や鞄が置いてある。入るだけで緊張してしまう。るんは鼻唄を歌っている。たぶん櫻坂の曲だろう。


俺はとりあえずバックを思い出し似合いそうなものを選んだ。この色とかいいかもな。ハイブランドで試着できるんだろうか?高いからできないとかあるのかな。


「ニュースイングシャツですか。しかも私好みのピンク。センスの塊ですね。それじゃこれにします」


「即決で決めていいのか、試着はしないでいいのか?」


「薫先輩が選んだ服ですから外れはないですよ。それに薫先輩が選んだ服を着たいんです」


何それキュンときた。俺な選んだものを着たいなんて言われたこと無いぞ。めちゃくちゃ嬉しいわ。思わず抱き締めたくなるほどに。だが俺は天が好きだからそれは許されない。好きな人がいるのに抱きつくとは相手に失礼だからだ。だから理性で我慢する。


「そうか、それならいいが。今度でかけるときそれを着てきてくれ」


実際に着てみるところも見てみたいからな。絶対に可愛いだろしな。これにスカートとかだと足も見れて最高だろう。それにおしゃれに着こなしてくれるだろうしな。


「いいですよー。今度のデートでこれ着ますね」


「薫って人の選ぶものにたいしてはセンスあるよね。自分のは合わないの持ってきたりするのに」


そりゃ合わせれると考えずに自分好みのやつを買うからな。合わないのは当たり前だろう。結局天に酷評されるから買わないで天が選んだものを買うんだが。


「そりゃまぁ似合う似合わないとか考えないで選んでいるからな」


「自分のものも似合うかどうかで選びなよ。センスはあるんだから。そうすればもっとカッコよくなれるよ。顔立ちは整っているんだから」


え?俺って顔立ち整っているの?幼馴染みの気遣いか?まぁでも雰囲気イケメンくらいにはなるか。だが肝心の天が振り向いてくれないからなぁー。まぁねるに誉められるだけでも満足だからこれからは気を付けるか。おしゃれになって損はないし。そのためには髪も切らないとな。


「分かったそれで選らんでみるわ。それでこの後アニメイト行きたいんだがいいか?」


「八幡グッツが柏で入荷したと出てきたんで、兄様の意見には賛成です」


「私もグッツには興味あるのでいいですよ」


「私もいいよー」


「決まりだな。アニメイトでいろはのグッツを買うのが楽しみだ」


千葉だとすぐに売りきれるからな。それだけ人気なんだよな。まぁモデルになった地だし、人気なのはむしろ当たり前というレベルだが。それに面白いし。特にラノベは心情模写が秀逸で読んでいて楽しい。それだけの魅力を兼ね備えている。俺達は高島屋をでてアニメイトに向かった。


「八幡、八幡、あのかっこいい顔がドアップのポスターがあればいいです」


限定ポスターか。あれなかなか見つからないらしいな。八幡は女子に大人気だからな。主要都市のアニメイトは人が集まる分売りきれるだろう。いろはもそこそこ売れてるらしい。いろはは男からの人気が高い。まぁあざと可愛ければそうなるだろう。


「あるといいな。柏だったらワンチャンあるかもな。俺もいろはのポスター探すかー」


楓はピョンピョンと擬音がつきそうな感じで、スキップをしながら前を歩く。そのご機嫌な仕草に多くの男が振り向いて楓を見ている。まぁにこにこしてたら楓の容姿なら二度みするよな。楓はよくモテる。ぼっちにも話しかけて勘違いされるくらい。だがぼっちをバカにせず、ちゃんと向き合って返事返すからもっとぞっこんにしちゃうんだよなぁー。


「楓ちゃんご機嫌だね」


「八幡のこと大好きだからな。告白も好きな人がいるって言って断るくらい好きだからな」


「そういえば薫もこの前告白されてたよね?」


するとるんの表情がピクッとした。俺が告白されたことに驚いているのか?大丈夫俺も驚いてるから。まさか学園の妹と呼ばれるからくらいの美少女から告白されるとは思っていなかったから。あれが始めて告白された日だ。まぁ断ったけど。だけど諦めないと言っていたな。


「へ、返事はどうしたんですか?」


なぜかるんは少し動揺をしていた。きっと唯一の先輩が妹みたいのに取られるのが怖かったんだろう。他の男は下心ありでしか近づいてこないからな。


「断った。俺には好きな人がいるからな。いくら美少女でも好きじゃないやつとは付き合えない」


「そうですか、それならいいですけど」


そんなことを話してるうちにアニメイトの入っているビルに着いた。下はドンキーなのか、まぁ買うものはないけど。俺達は店に入った。そのときに念のため式神を侍らせといた。式神が睨みを効かせてナンパをしてくるやつはいないだろう。強面だしな。





















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