第14話

起きたら病院特有の薬品の匂いがした。おれはたしか刺されて神様に会ったんだよな。それで生かしてくれたんだよな確か。とりあえずナースコールでも押すか。ナースコールを押すと、ピピッと音がした。ナースコールってこんな感じなんだな。するとすぐに医者がやってきた。


「奇跡だ。まさか目覚めるとはこのまま目覚めないで死ぬ可能性の方が高かったのに」


まぁ本来は死ぬはずだったからね。驚きはしないよ。だが次死んだら転生って言っていたし、病気で死んでも同じなのか?だとすると天国でゆっくりはできなさそうだ。


「せ、先生天達をよ、呼ぶことはできますか?後水ください」


のどが渇きすぎて痛い。天達は心配しているだろうから早く俺の起きた姿をみせて、安心させたい。特にるんは自分のせいで刺されたと思っているだろからな。精神面が心配だ。


「分かったよ。それじゃ電話を美月さんしてきて」


「分かりました。それじゃすぐに天さん達が来れるようにしますね」


「お願いします」


そう言って看護婦さんは足早に病室を後にした。あの看護婦さんどこかで見たことがあるような気がするんだよな。姉妹にアイドルとかいたりして。るんに聞けば分かるかな?


「それじゃ検査をするよ」


俺はそれから色々な検査をしたが心臓付近にナイフを刺された以外外傷はなく。脳にも尋常はなかった。とりあえずひと安心か。血を流しすぎたのが一番危なくて、倒れるときに頭も打っていたらしい。それが昏睡状態の原因らしかった。神様が治してくれたのか?


「異常はなし。それでは天さん達が来てるから行っておいで」


分かりました。俺は素早く病室に戻ると、涙を浮かべた天達がいた。妹の楓もいる。


「薫先輩!よかった本当に!私のせいで死んじゃうかと思ったんです。無事で本当によかったです」


「薫よかったよ。生きていて。本当に心配したんだからね」


「兄様は無茶をしすぎです。中学生の頃も強盗に自ら標的になって、刺されたんですから。自らを犠牲にするのはやめてください」


三者三様の様子だった。共通してるのは無事でよかったという点だろうか。もうあんな無茶はしないがな。俺の大切な人になにかない限り。大切な人のためならこの命ためらわず投げ出すだろう。それだけ俺は大切な人を守りたいんだよ。


「状況によるが、できるだけやらないようにする」


確約はできないからな。俺がもっと強くなればそれでいいんだが。呪術は使えないから身体能力と動体視力をあげるしかないか。


「それでるんあの強盗はどうなったんだ?」


「意識を失ったまま警察に連行されて逮捕されましたよ。どうやら空き巣にも入っていたらしいので」


問題はいつでてくるかだな。逆恨みなんかされたらなにをしてくるか分からないし。やっぱ体を鍛えておくか。あとは体術を習得しよう。古武術を学ぶか。陰陽師に弟子入りするのもありか。呪術が使えれば事が起きる前に対応できる。


「そうか、それなら俺は知り合いに呪術を教えてもらえるように頼むか。呪術が使えれば気づいたらすぐに攻撃できるし、遠距離からの攻撃もできるしな」

 


「薫大切な幼馴染みなんだから死ぬことだけはないようにお願いね。もし死んだら悲しいどころの話じゃないよ」


「死ぬようなことはないようにするぞ。そのために呪術を学ぶんだから」


どうにかして呪術を習得するからな。遠距離から使えれば気づいた瞬間に終わらせられる。呪術は存在しないっていわれてるから法律もないし。まぁ政治家はあることを知っているんだろうが。むしろ相手を呪ったりしてるのに使っているだろう。


「まぁそれならいいけど。呪術もたぶん大変だよ?」


霊を鎮圧したり、妖怪と戦ったりするからな。まぁ大変だろう。だがこれも天達のためだと思えば頑張れる。それに俺は大切な人を失いたくない。だからもっと強くなる。


「それは知ってる。悪霊に出くわして、なんとか解決したのを見ていたからな」


だがそれでも、俺は呪術を学び大切な人は誰も傷つけたくない。まぁ呪術がどこまでできるのかは分からないが。アニメの流行によって間違っている部分もあるだろうし。その辺はあまり期待しないでおこう。とりあえず守れればそれでいい。


「それじゃ私からいうことはないよ。頑張ってね」


まぁあいつならしっかりと教えてくれるだろう。むしろ我のことを師匠と思ってもらえるなんて感激だとかいいそうだしな。式神の作り方も学ぶか。


「ああ、それでるんは鹿島神刀流って代々受け次いだのか?」


「はい本家が代々受け次いでいて、私の家は本家から独立したので千葉で教えようとなったのです」


代々武士の家だったんだな。俺の家も先祖は華族だが、家柄がいいわけではない。明治維新の時に功をあげたから華族になっただけだし。元々は下級貴族だったからな。


「そうなのか、是非神刀流を学びたいな」


「薫先輩なら大歓迎です。いつでもうちに来てください。お父さんも喜びますよ」


「退院したら教えてもらうか」


「それよりかばってもらったお礼がしたいんですが」


「それはいらないぞ。俺もかばってもらったし、むしろ俺がお礼したいくらいだ」


あそこでるんがいなかったら今ごろ点はどうなっていたか分からないし。俺も死んでいただろう。


「それならデートに行って私がおごりますよ色々と。それなら互いにいいんじゃないでしょうか」

 

俺はチラッと天をみる。点はそれはいいねという顔をしている。やっぱり天は俺のことを大切な幼馴染みとしか見てないみたいだ。残念だが好意はないらしいな。


「分かった。そうしよう。デートはそっちが行きたい場所を決めてくれ。こいうのあまり得意じゃないし、お金を出してもらう立場だからな」


そんなことを話していると面会終了時間になったので、天達はバイバイと言って病室をでた。

デートか、天以外だと初かもな。無意識に楽しみにしている俺がいた。



















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る