第2章 許してはいけない

捜査難航

最近こんなうわさがあるらしい


『この辺りで家族単位での失踪が多発している、もしかしたら・・・』


正かい、よく気付いたね

ただ困るなあ、そんなうさわ流されたら

行動しにくくなるでしょ


さっき、何人かの警察とすれちがった

というかそこら辺をうろうろしては通行人に何かを聞いている

警察もあせってるんだろう

だってそんなぶっそうなうわさ、流れてたら警察のい信にかかわるもんね


こんなうわさ、ぼくにとっても警察にとってもデメリット

でもぼくには一つ特別なアドバンテージがある

それは、完全なしょうこいんめつ


「家にぼくのDNAを1個すら落とさないようにしんちょうに行動してるからね」


長そで・長ズボン・手ぶくろ、ニットぼうしも被り、その上に変装の衣服も着る

もちろん暑いし動きにくいけどそれはしょうがない

これも、一人残らず殺すためだから


そのせいで、何個も何個も現場は残っているのに

ぼくは完全なはん人とはうたがわれない

今日もきっとぼくの手によって1家族が消えるだろう


もちろん、むりはしない

ただゆっくりもしない

ぼくの人生をこわしたやつらがのうのうと生きることをぼくはゆるさない


ただ、最近ミートチョッパーの受け皿が入りきらなくなってきた

正直あの量のにくのしょりには困っている

骨をこなごなにしてからりゅうさんに漬けるとか?

ただ、そもそもりゅうさんがどこに売っているのか分からない

まあ、今はいい


おっと、警察がこっちに向かってきた

きっとぼくは声をかけられるんだろう


「すみません、この辺りで怪しい人物を見かけませんでしたか?」


ほら、声をかけてきた

でも大丈夫。

ぼくはつかまらない


ぼくのりょう親を殺したあいつらと同じ道はたどらない、絶対に


〇●〇●〇●○


捜査が始まったのは良いものの

どうにもこうにも証拠が集まらない

いや、違う


なにもない


何か一つ、指紋・髪の毛・血液

何でもいいから何かあればいいのだが

見つかるのは少し汚れている床だけ


その上に汚れも色々な物に付着していてもともと何処に付いていたか分からない事

現場証拠があまりにもなさすぎる


だがしかし物色され、実際にモノを持っていかれた形跡があるところはどこも

現金や銀行通帳の入っている場所、刃物類のあるキッチンなどと、統一している

まあこれが分かったところで事件の解決につながるかと言われれば絶対に違うが

この事件が偶然の物ではなく、犯人がいるということはこれで分かった

犯人がいるとわかったところで犯人自体は分からないのだが・・・


だが諦めることはない。事件を解決に導くには現場捜査ももちろん大事だ

しかしそれ以上に最初は聞き込み調査が大切なのだ

特に今回のように巧妙な犯人は過去に何度か事例がある

そのような事件はほとんどの場合、最初は聞き込み調査から始まっている


そこにいる人にも聞いてみるとしよう

何か情報を落としてくれるといいのだが


「すみません、この辺りで怪しい人物を見かけませんでしたか?」

「ん~全然分からないですね」

「なんでもいいです。例えばですが、周りの目を気にしてそうだった人とか」

「ごめんなさい、分からないです」

「そうでしたか。ご協力ありがとうございました」

「いえ、こちらこそなんかすみません。なんも情報を提供できなくて」


しかし全くもう、聞き込みをしているものの何も進展がない

これで何人目だろうか、裕に二桁は超えているだろう

正直自分も※相勤の奴も疲れてきている


「少し休むか」

「あぁ、そうだな」

「何日か聞き込みしたが、収穫は限りなくゼロに近いな」

「もしかしたら本当に199じゃないんじゃないか?」


199というのは殺人事件の隠語だ

警察は一般人にあらぬ誤解と心配を与えないよう、事件のことを公共の場で話す時

このように隠語を良く使う


だがしかし、あまりにも情報が得られなさすぎる

だけれど明らかにおかしいんだ。こうやって警察が動いているこの1週間弱の間にも失踪している家族が増えている


「今のところ完全な※馬の爪なんだぞ」

「だけど、幽霊の仕業でもない限り※199の可能性は高いだろ。もしくは※グニゴム状態の可能性も大いにある」

「そうだな。だけど過去に※アヒルに悪霊がついていたとかあるらしいぞ」

「面白い話だな、今度詳しく聞かせてくれ」

「いや、でも199だからな。※サッチョウではなくて霊媒師が解決したらしい」

「本当なのか?興味深いな」


弁当も食べ終わったことだし、調査再開でもするか

とはいってもまた、失踪したらしいから明日は家に入って調査をするらしい

何か収穫を得られるといいんだが・・・


捜査は難航している


※相勤…捜査における相棒

※199…殺人事件

※馬の爪…犯人が分かっていないこと

※グニゴム…人質

※アヒル…警察官

※サッチョウ…警察庁

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る