第370話 大きな鍋を作るには?

 旅の間は、4匹しかいなかったから、葉っぱで作ったなべで間に合ったけど。


 イチモツの集落しゅうらくには、30匹くらいの猫がいる。


 キノコ汁やハーブティーを作ろうとしたら、大きななべが必要となる。


 やっぱり、鍋用なべよう土器どきを作った方がいいのかな?


 土器どきはどうやって作ればいいのか、教えて『走査そうさ


縄文式土器じょうもんしきどきの作り方:①粘土層ねんどそうから粘土ねんど採取さいしゅする』


『②採取さいしゅした粘土ねんどに、土、砂、有機物ゆうきぶつなどをぜ、3日ほど寝かせてなじませる』


『③②で、土器どきそこを作る』


『④②ではば1~2cm、長さ15~20cmのひもを10~15本作る』


『⑤③で作ったそこの上に、④の粘土紐ねんどひもにしてかさね、土器どきの形にしていく』


『⑥粘土紐ねんどひもつなめるように、粘土ねんどらしながら形をととのえる』


『⑦日陰ひかげに1ヶ月程度ていど置き、乾燥かんそうさせる』


野焼のやき:⑧地面の上にまきめ、⑦をく』 


『⑨⑧をおおかくすように、枯葉かれは枯草かれくさをかぶせる。まきかさね、灰をかぶせる』


『⑩⑨に火をけて2時間ほど焼き、荒熱あらねつが取れるまでそのまま放置ほうちすれば、完成』


 土器どきつくるって、そんなに大変なのっ?


 作ってみたい気持ちはあるけど、めちゃくちゃ時間が掛かるし、すごむずかしそう。


 猫にとっての1ヶ月は、とても長い。


 陰干かげぼししている間に、猫たちがイタズラしそうだから無理かな。


 別の手を考えてみるか。


『火で良く焼いた石を、水を入れたなべに入れれば、なべを火に掛けなくても調理可能ちょうりかのう


 焼いた石を入れる?


 そんな方法は、思い付かなかったな。


 なるほど、それならすぐ出来そう。


 ためしに、焼き石でお湯を作ってみよう。


 河原かわらで、ぼくの手くらいの大きさの石を5つ拾って、川の水で綺麗きれいに洗う。


 まきひらたくめて、その上に石を置いて、さらにその上にまきむ。


 枯葉かれは枯草かれくさをかぶせて、火をける。


 それで、石はどのくらい焼けばいいの?


『石が赤くなるまで、30~1時間ほど焼く』


 石を焼くって、そんなに掛かるんだ? 


 それだけ時間が掛かるんだったら、焼いている間に木のうつわが作れるな。


 だったらついでに、焼き栗も作っちゃおう。


 焼き栗は、栗に切れ目を入れて、毬栗いがぐりごと焚火たきびに放り込むだけで出来る。


 切れ目を入れておかないと、栗にふくまれる水分が沸騰ふっとうして爆発ばくはつするらしいよ。


 焼き石と焼き栗の様子ようすを見ながら、石のナイフで木をって器を作る。


 木の器を作る時に出た木屑きくずも、燃料ねんりょうとして火に入れる。


 美味おいしそうなにおいがしてきたところで、焼き栗を取り出してます。


 大きな木の器が出来たら、川の水で綺麗きれいに洗って、水を入れておく。


 かなり時間は掛かったけど、ようやく焼き石が出来た。


 枝ではさんで焼き石を取り出して、軽く灰を落とした後、木の器に放り込む。


 途端とたんに、「ジューッ!」という大きな音とともに、大量の湯気ゆげが立ちのぼって、あっという間に水が沸騰ふっとうした。


 物凄ものすご迫力はくりょくで、ぼくも周りにいた猫たちもび上がるほどビックリした。

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