第369話 腰蓑《こしみの》と蔓籠《つるかご》

「シロ先生、薬草みへ行きましょうにゃう」


 キャリコにさそわれて、一緒に薬草みをすることになった。


 ぼくは薬草を探すついでに、キノコりもしている。


 最近、毬栗いがぐりが落ち始めたから見つけては拾っている。


 これで、キノコ汁と焼き栗が食べられるぞ。


 ぐりにしても、美味おいしいかもしれない。


 そんなことを考えていると、キャリコがうれしそうに話し出す。


「シロ先生が教えて下さったハーブティーを作ったら、みんな水を飲んでくれるようになりましたにゃう」


 キャリコの話によると、季節きせつの変わりになると、体調が悪くなる猫がたくさんいたそうだ。


 春から夏、夏から秋になる時、気温や気圧の変化が激しくなる。


 季節の気温の変化に体がついていけなくて、体調をくずす猫は多い。


 それに猫は、ちょっとしたことですぐ水を飲まなくなる。


 水が冷たいとか、水の味がいやとか、容器が気に入らないとか、場所が気に入らないとか、飲みたい気分じゃないとか。


 水を飲まないと、脱水症状だっすいしょうじょう腎不全じんふぜん下部尿路疾患かぶにょうろしっかん尿結石にょうけっせき膀胱炎ぼうこうえん)、便秘べんぴなどになってしまう。


 ハーブティーを作ったら、猫たちはよろこんで水を飲むようになったらしい。


 その結果、病気の猫は少なくなったという。


「特にイヌハッカが人気で、作っても作ってもりませんにゃう。最近は、イヌハッカのハーブティーばっかり作っていますにゃう」


 キャリコは困ったように、苦笑にがわらいした。


 話しながら、れた手付てつきで薬草をみ、細長ほそながい葉で薬草のたばを作っている。


 腰にいた腰紐こしひもに、薬草のたばを結び付けていく。


 キャリコがだんだんと、腰蓑こしみの穿いた猫になっていく。


 それはそれで可愛いけど、そのやり方だと時間と手間てまが掛かる。


 そうだ、キャリコにも背負せおかごを作ってあげよう。


 このあたりにも、サルナシの木がえている。


 アグチ先生からもらったかご参考さんこうにして、見よう見まねでかごんでみよう。


 まずは、太めのつるを縦2本、横2本で十字になるようにかさねて縦糸たていとにする。


 次に、細めのつる横糸よこいとにして、縦糸たていとにぐるぐるき付けるようにみ込んでいく。


 う~ん、なかなかむずかしいな。


 どうにかそれっぽいかごは出来たけど、デコボコした不格好ぶかっこうな形なってしまった。


 初めてだから、こんなものか。


 たくさん練習して、アグチ先生みたいに綺麗きれいな形のかごめるようになりたい。


「ミャ」


 キャリコさん、もし良かったらこのかごを使って下さい。


 ぼくが作ったので見た目は悪いですけど、たくさん薬草が入るはずですよ。


「シロ先生が作ってくれたのですにゃうっ? ありがとうございますにゃうっ!」 


 キャリコは、大喜おおよろこびでかごを受け取ってくれた。


 こんなによろこんでくれるなら、次はもっと綺麗きれいかごを作ってあげたいな。

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