第368話 冬支度

 旅の土産話みやげばなしを話し終わると、集落しゅうらくの猫たちから質問攻しつもんぜめにされた。


「旅の間、何を見たか?」とか、「何を食べたか?」とか、くわしく聞かれた。


 質問しつもんにひとつずつ答えると、猫たちは感心かんしんした顔でうなづいて、満足まんぞくげにはなれていった。


 やっと終わった。


 話し疲れて、のどがカラカラだ。


 水飲み場へ行くと、ぼくが旅立つ前に作った木の器がそのまま置いてあった。


 中には、水が入っていて、茶葉ちゃばたばけてある。


 においをいで、イヌハッカのハーブティーだと分かった。


 イヌハッカは、ミントのにおいと味がして、美味おいしい。


 イヌハッカのハーブティーは、抗菌作用こうきんさようこうウィルス作用さよう鎮静作用リラックス抗酸化作用こうさんかさよう整腸作用せいちょうさよう不眠症ふみんしょう、 生活習慣病予防せいかつしゅうかんびょうよぼう風邪予防かぜよぼうなどの薬効やっこうがある。


 毎日ハーブティーを飲んでいるからか、集落しゅうらくの猫たちはみんな元気そうだ。


 これはたぶん、茶トラ先生とキャリコが作ってくれたものだろう。


 きっとふたりが毎日、ハーブティーを作り続けてくれたに違いない。


 茶トラ先生とキャリコに、お礼を言わないといけないな。


 だけどそろそろ、水出みずだしハーブティーだと、冷たすぎるかもしれない。


 熱湯ねっとうが使えるようになったから、あったかいお茶を飲める。


 それに、ぼくが集落しゅうらくにいる間は、あったかいキノコ汁も作れる。


 本格的ほんかくてきに冬をむかえる前に、ハーブやキノコをたくさん集めておかないと。


 茶葉ちゃばを作ったり、干しキノコを作ったりと、やることはいっぱいある。


 今のうちに、やるべきことを全部やらなきゃ。


 早いうちに冬支度ふゆじたくを終えておけば、あとが楽になる。


 それにぼくたち猫は、寒くなったら動けなくなっちゃうからね。


 ぼくたちは長い間、旅に出ていたから、イチモツの集落しゅうらくで何があったのか何も知らない。


 集落しゅうらくで何があったのか、茶トラ先生に話を聞いてみよう。


 ぼくはさっそく、茶トラ先生の元へ向かった。


 茶トラ先生は、いつものように石でヨモギの葉をつぶして薬を作っていた。

 

「おや、シロちゃん、お話しは終わったのかニャ~?」


「ミャ」


 はい、終わりました。


 茶トラ先生、ぼくがいない間もハーブティーを作り続けてくれて、ありがとうございました。


「いやいや、お礼を言うのはこちらの方ニャ~。シロちゃんから教えてもらったハーブティーを飲むようになってから、病気になる猫が少なくなったニャ~。おかげで、とっても助かっているニャ~。本当にありがとうニャ~」


 そう言って、茶トラ先生はうれしそうに笑った。


 そうか、ハーブティーの薬効成分やっこうせいぶんで、病気で苦しむ猫がったのか……良かった。

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