第358話 ブレンドハーブティーの割合

 イヌハッカのフレッシュハーブティーを、れてみた。


 透明とうめい黄緑色きみどりのお茶を、まして味見あじみをしてみる。


 レモンみたいなにおいがして、ミントのスッキリとした味わい。


 くせもなくて、さっぱりと飲みやすくて美味おいしい。


 お父さんとお母さんは花粉症かふんしょうじゃないから、このまま飲ませよう。


 グレイさんの分だけ、イチョウ茶をぜてみようと思うけど、どのくらい入れたら良いかな?


 ためしに1対1でぜてみて、もう一度、味見あじみ


 イヌハッカのにおいが強いから、イチョウ茶の枯草かれくさくささがやわらいだ感じがする。


 ミント味でイチョウ茶のくせがごまかされて、飲みやすくなった。


 だいぶマシになったけど、まだイチョウ茶のくせが鼻に付くかな?


 次は、イヌハッカ茶2に対し、イチョウ茶1の割合わりあいにしてみる。


 うん、これなら良さそう。


 お父さんとお母さんには、イヌハッカのフレッシュハーブティー。


 グレイさんだけ、イヌハッカとイチョウのブレンドハーブティー。


 それぞれ、2枚のお皿にぎ分ける。


「お茶が出来たよ」と声を掛けると、3匹とも「待ってました!」とばかりに、飲み始める。


 お父さんとお母さんは、「うみゃいうみゃい」と大喜よろこびで飲んでいる。


 一方のグレイさんは、なんだか微妙びみょうな顔をしている。


 以前、ハーブティーを作った時は、美味おいしそうに飲んでくれたのに。


 やっぱり、イチョウ茶が美味おいしくなかったのかな?


 オオカミの嗅覚きゅうかくは、人間よりも100万倍くらい良いと言われている。


 ところが、味覚みかくは人間の1/5くらいしかないらしい。


 特に、甘味あまみを一番強く感じるそうだ。


 逆に、苦味にがみは感じにくいんだって。


 トマークトゥスのグレイさんは、猫のぼくよりも嗅覚きゅうかくすぐれているから、イチョウのにおいをぎ付けたのかもしれない。


「グレイさん、美味おいしくなかったミャ?」


『いや、美味おいしい美味おいしくない以前の問題だ。鼻づまりで、味がほとんど分からん。せっかく作ってくれたのに、すまない……』


 グレイさんは耳としっぽをらして、しょんぼりとしている。


 そうか、今は花粉症かふんしょうのせいで、嗅覚きゅうかく味覚みかくにぶっているのか。


 だったら、ブレンドティーにしなくても、イチョウ茶だけで良かったのかも。


「とにかく、お薬だから飲んでミャ」


『もちろん、愛するシロちゃんがオレの為に作ってくれたお薬だ。ちゃんと全部飲むよ、ありがとう』


 グレイさんはしょんぼりしながらも、ブレンドティーを飲んでくれた。

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