第357話 フレッシュハーブティー

走査そうさ』の指示しじしたがって、正しいれ方でイチョウ茶をれてみた。


 薄茶色うすちゃいろのお茶が出来たので、さっそく味見あじみしてみる。


 正しくれても、枯草かれくさくさいし、美味おいしくもない。


 失敗作とくらべると、においと味がかなりうすくなった。


 飲みやすくなったくらいで、くせがあって飲みたいと思う味じゃない。


 イチョウ茶はもともと、こんなものなのかもしれない。


 においやあじをごまかせる、香りの良いハーブを混ぜた方がよさそう。


 何か、良いハーブはないかな? 『走査そうさ


対象たいしょう:シソ科イヌハッカ属イヌハッカ』


 イヌハッカは、猫がぐとゴロニャンになっちゃう猫が大好きな草。


「キャットミント」や「西洋マタタビ」とも呼ばれる。


 抗菌作用こうきんさようこうウィルス作用さよう鎮静作用リラックス解熱熱さまし不眠症ふみんしょう風邪かぜなどにも効果がある優秀ゆうしゅうな薬草。


 猫が食べられる草なんだから、もちろん犬も食べられる。


 以前、アオキ先生が作った水出みずだしハーブティーを飲んだことがある。


 いでみると、レモンみたいなさわやかな香りがする。


 お湯でれる時は、どうすればいいの?


『フレッシュハーブティーのれ方:①ハーブを水で洗う』


『②水を100℃まで沸騰ふっとうさせる』


『③湯量ゆりょう200ccに対し、ハーブを9g入れる』


『④ふたをして3分ほどらした後、湯飲ゆのみにそそぐ』


 フレッシュハーブティー?


 ハーブを乾燥かんそうさせないで、そのまま使うってこと?


 ハーブティーは、乾燥かんそうさせないといけないと思っていたんだけど。


 生のまま使うことは、考え付かなかったな。


 れ方は、イチョウ茶とほとんど同じ。


 お湯とハーブの量が、違うくらいか。


 とりあえず、イヌハッカのフレッシュハーブティーをれてみよう。


 教えてもらった通りに、沸騰ふっとうさせたお湯の中にイヌハッカを入れる。


 途端とたんに、イヌハッカの良いにおいが広がった。


 イヌハッカのにおいにられて、お父さんとお母さんがって来てゴロニャンになる。


「ふにゃあ~ん……とっても良いにおいニャー」


「シロちゃん、何を作っているニャ?」


「ミャ」


 イヌハッカのお茶だよ。


 出来たら、お父さんとお母さんにも飲ませてあげるね。


「イヌハッカのお茶ニャー?」


「ぜひとも飲んでみたいニャ」


 ふたりとも興味津々きょうみしんしんで、待ちきれない様子だ。


 そこへ、グレイさんも不思議そうに首をかしげながら近付いて来る。


 花粉症かふんしょうでくしゃみと鼻水と目のかゆみが止まらなくて、物凄ものすごくつらそうな顔をしている。


『シロちゃん、さっきからずっと、何をしているんだ?』 


「グレイさんの病気を治す為に、お薬を作っているミャ。ちょっと待っててミャ」


『何? オレの為に、お薬を作ってくれていたのか! ありがとうっ!』


 グレイさんはうれしそうに笑って、ぼくをギュッと抱き締めた。

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