第355話 イチョウ茶を作ってみよう

 冬が近付いて来ると、落葉樹らくようじゅの葉がってくる。


 落葉樹らくようじゅは文字通り、葉っぱが落ちる木のこと。


 落葉樹らくようじゅがたくさんえている場所は、落葉おちばで地面が見えなくなる。


 だけど今は、イチョウの葉は緑色で落ちそうにない。


 困ったな……落葉おちばがないと、イチョウ茶が作れないぞ。


『イチョウ茶の作り方:①7~8月頃に採取さいしゅした葉を、水洗いする』


『②水気みずけいた葉を細かくきざみ、2~3日ほど日干ひぼしする』


『③茶葉ちゃばを良くみ、小さじ1程度を熱湯ねっとうに入れれば完成』


 そうか、落葉おちばじゃなくて、緑色の葉を使うのか。


 教えてくれてありがとう、『走査そうさ


 でも、なべがないと、お湯なんて出来ないよ。


『熱が伝わりやすく、燃えにくい素材そざいであれば、なべとして代用可能使える


 熱が伝わりやすくて、燃えにくい素材そざいなんて、自然界にあるの?


『竹、木の皮、土器どきなど』 


『水の沸点ふってんは100℃、水が入っていれば100℃以上にはならない』


 イチモツの森で、竹は見たことがない。


 土器どきは、粘土層ねんどそうを掘り出して、粘土ねんどを水でこねて、焼いて作らなきゃいけないから、大変そうだ。


 作っても、重いから持ち運べない。


 一番手軽なのは、木の皮でなべを作る方法だな。


 イチョウの葉がかわくまで、待っている余裕よゆうはない。


 火の熱で乾燥かんそうさせれば、すぐに茶葉ちゃばが出来るはずだ。


 思い付いたら、なんでもやってみよう。


 やってみなくちゃ、分からないからね。


 まずは、イチョウの葉っぱをって、川の水で綺麗きれいに洗う。


 鍋代なべがわりの木の皮って、どんなのが良いんだろう?


 使えそうな木の皮が、全然見つからない。


 熱が伝わりやすくて、燃えにくい素材そざいなら、大きな葉っぱは?


『生の葉は水分が多くふくまれ、燃焼ねんしょうしにくい素材そざいの為、代用可能だいようかのう


 よし、だったら、大きな葉っぱでなべを作ろう。


 葉っぱだったら軽くて使いやすいし、その場で使い捨て出来る。


 緑色の大きな葉っぱを水で洗い、お皿を作って水をむ。


 枯葉かれは枯木かれきを集めて、ゆみぎり式で火を起こす。


 火の周りに石をんで、石のかまどを作る。


 かまどの上に、水を入れた葉っぱのなべを置いて、お湯をかす。


 かまどの外に、イチョウの葉を広げて置き、熱で乾燥かんそうさせる。


 イチョウの葉がかわいたら、手でんで細かくする。


 お湯がいたら、なべをかまどから下ろして、茶葉ちゃばを入れる。


 あとは、お湯がめるまで待てば、イチョウ茶の完成だ。


 味見あじみしてみると、枯葉かれはみたいなにおいがして苦い。


 なんだか漢方薬かんぽうやくみたいな味で、全然美味おいしくない。


 飲んでもらおうと思ったら、かなり水でうすめないと無理だな。


 他の茶葉ちゃばを混ぜて、ブレンドハーブティーにしたら美味おいしくなるかも。


 とりあえず、いろいろためしてみよう。



 ――――――――――――――――


【イチョウ茶は自分で作れるの?】


 作ることは、簡単。


 ただし、手作りのイチョウ茶には、ginkgolicギンコール acidと呼ばれる有害物質ゆうがいぶっしつが多くふくまれる為、とても危険。


 市販しはんのイチョウ茶は、ギンコールさんの量が少ないので安全。


 市販品しはんひんでも、アレルギー体質たいしつの人は、飲まない方が良い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る