第272話 感動の再会

 ぼくとグレイさんは抱き合いながら、気がむまで泣いた。


 グレイさんの後ろから、お父さんとお母さんもけ寄って来た。


 どうやら、ぼくがいない間も、3匹で一緒に行動していたようだ。


 お父さんとお母さんは泣きながら、ぼくを抱き締めてくれた。


「シロちゃんっ、やっと見つけたニャー! 会いたかったニャーッ!」


「シロちゃんなら、絶対生きていると信じていたニャッ!」


「ミャッ!」



 ぼくもずっと、お父さんとお母さんに会いたかったよっ!


 久し振りに、お父さんとお母さんにサンドウィッチされた。


 ふたりのなつかしいにおいとあたたかさに、また涙があふれ出した。


 アオキ先生とハチミケも、良く抱っこしてくれたけど。


 ふたりは、本当のお父さんとお母さんじゃないから、全然違う。


 アオキ先生もハチミケも、とってもやさしくて良い猫なんだけどね。


 やっぱりぼくは、お父さんとお母さんが大好きなんだ。



 感動の再会をたした後、グレイさんがここまでのことを話し始めた。


『シロちゃんが、大きな鳥にさらわれた時は、めちゃくちゃビックリしたぞ。急いで追いけたのだが、見失みうしなってしまってな。今まで、ずっとシロちゃんを探していたんだ。無事で、本当に良かった』


 ぼくも3匹に、今までのことを話した。


 Argentavisアルゲンタヴィス(巨大なたか)から、逃げ延びたこと。


 空中くうちゅうで放り出されたせいで、落ちて重傷じゅうしょうを負ったこと。


 この集落しゅうらくの猫たちに、ひろわれたこと。


 元通り動けるようになるまで、1ヶ月半も掛かったこと。


 ぼくの話を聞いて、お父さんとお母さんは笑顔で、ぼくの頭をでる。


「シロちゃんが、アルゲンタヴィスに食べられなくて良かったニャー」


やさしい猫たちに助けてもらえて、良かったニャ。シロちゃんがお世話せわになった集落しゅうらくの猫たちに、お礼を言わないとニャ」


「ミャ」


 この集落しゅうらくには、ぼくよりも腕の良いお医者さんがいるんだ。


 お父さんとお母さんにも、ぜひ会って欲しいな。


「シロちゃんより、腕の良いお医者さんがいるのニャー?」


「私たちも、シロちゃんを治してくれたお医者さんにご挨拶あいさつしなきゃニャ」


 ふたりもアオキ先生に会いたいと言うので、集落しゅうらくへ案内することにした。


「悪いんだけど、グレイさんはいつものように見張みはりをお願いするミャ」


『オレもシロちゃんを助けてくれた猫たちに、お礼が言えたら良かったんだがな。ここで待っているから、行ってらっしゃい』


「行ってきますミャ、またあとでミャ」


 グレイさんをその場に残し、ぼくとお父さんとお母さんの3匹は、アオキ先生がいる集落しゅうらくへ戻ることにした。

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