第263話 ハーブティーの専門家

 しばらくすると、アオキ先生は葉っぱのお皿を持って戻って来た。


「さぁ、これを飲みなさいにゃお」


 差し出されたお皿の中を見ると、透明とうめいな水が入っていた。


 水のにおいをいでみると、草っぽいにおいがした。


 薬と言っていたから、薬草を持ってくるかと思っていたんだけど。


「ミャ?」


 これは、なんですか?


「ムラサキツメクサ茶にゃお。これを飲むと、ケガが治るにゃお」


 なるほど、ハーブティーか!


 ぼくも、トケイソウのハーブティーを作って飲んだことがある。


 イヌハッカとムラサキツメクサとシロツメクサのブレンドハーブティーも、作ったんだけど。


 病気の猫たちの治療ちりょうが忙しくて、ブレンドハーブティーの花冠はなかんむりのことを、すっかり忘れちゃったんだ。


 グレイさんに花冠はなかんむりあずけたら、「シロちゃんがくれた宝物だから」と言って、穴をって土にめちゃったんだよ。


 Question.もんだい 花冠はなかんむりを、土にめたらどうなる?


 Answer.答えは 土へ戻る。


 グレイさんは、良かれと思ってやったことだから、仕方がないよね。


 そういう理由で、ブレンドハーブティーは飲めなかったんだ。


 ムラサキツメクサのハーブティーは、初めて飲むから楽しみだ。


 飲む前に、『走査そうさ』してみよう。


対象たいしょう:レッドクローバーティー』


効能こうのう抗酸化作用こうさんかさよう抗菌作用こうきんさよう血流改善作用けつりゅうかいぜんさよう利尿作用りにょうさよう抗炎症作用こうえんしょうさよう関節痛かんせつつう精神安定せいしんあんてい、ガン予防、強壮作用きょうそうさよう(体を活性化かっせいかさせる)』


 すごい! 確かにこれは、ケガが治るハーブティーだっ!


 さっそく飲んでみると、ほんのり甘い花と草の味がした。


 くせはあまりなくて、美味おいしく飲めた。


 ムラサキツメクサ茶を飲み終わると、アオキ先生がよしよしと頭をでてくれた。


「ちゃんと全部飲めて、えらいにゃお。これで、ケガが治るにゃお」


「ミャ?」


 このムラサキツメクサ茶は、アオキお父さんが作ったのですか?


「そうにゃお。ケガや病気にくお茶を、たくさん作っているにゃお」


 アオキ先生は、ニコニコ笑いながら答えた。


 アオキ先生は、ハーブティーにくわしいお医者さんだったのか。


 ぼくにとって「薬」と言ったら、薬草をそのまま使うものだった。


 だけど、ハーブティーで、ケガや病気を治すという方法もあるのか。


 ハーブティーは、ハーブを乾燥させたり、水出ししたりするのに、とても時間が掛かるものなんだけど。


 集落しゅうらくんでいる猫だったら、時間なんていくらでもある。


 アオキ先生が、「腕の良いお医者さん」と、呼ばれる理由が分かった。


 ―――――――――――――――――


【ハーブティーで、ケガや病気が治るの?】


 症状しょうじょうに合わせたハーブティーを飲むと、痛みや苦しみをやわらげたり、治りを早くしたりすることが出来る。


 ドイツでは、ハーブティーで風邪かぜを治すのが一般的と言われている。


 免疫力めんえきりょくを上げるブレンドハーブティーを飲んで、自然治癒力しぜんちゆりょくたかめて、あとは寝て治すらしい。

 

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