第238話 痒みに苦しめられない夜

 狩りが得意な若い猫たちが、「助けてくれたお礼に」と言って、Paramysパラミス(体長約30~60cmのネズミ)をたくさん狩って来てくれた。


 ありがたく、パラミスをおなかいっぱい食べさせてもらった。


 あわただしく時間が過ぎ、お日様ひさまが沈んで、あたりは真っ暗。


 みんな、「今日は、良く眠れそうニャー」と、うれしそうに巣穴すあなへ戻っていく。


 このところ、はげしいかゆみで、あまり眠れなかったそうだ。


 あのさ、『走査そうさ』教えて欲しいんだけど。


 寝る時にかぎって、体がかゆくなるのは、どうして?


就寝時しゅうしんじ副交感神経ふくこうかんしんけい優位ゆういとなり、ヒスタミンの分泌ぶんぴつ亢進こうしんする為』


 いや、むずかしすぎて、全然分からないんだけど……。


 もっと分かりやすく、教えてくれる?


『脳がリラックスすると、体を休める為に体温が上がる。体が温まると、かゆみを伝える物質ぶっしつが多く出るから』


『また、アレルギー物質ぶっしつが、寝床ねどこひそんでいる可能性がある』


 なるほど、やっと分かったよ。


 分かりやすく説明してくれて、ありがとう、『走査そうさ


 そういうことなら、もう一回、寝る前にアロエの汁をり直させよう。


 あと、巣穴すあなにもノミ取り粉をいて、ニガヨモギの葉っぱをめてもらおう。


 ニガヨモギは、飲めば虫下むしくだしになるけど、においには虫を寄せ付けない防虫効果ぼうちゅうこうかもあるんだよ。


 葉っぱも柔らかいから、ふかふかして、良く眠れると思う。


 猫たちに説明すると、みんなぼくが言った通りにしてくれた。


 集落しゅうらくには、ニガヨモギの青いにおいがただよった。


 これで、みんなぐっすり眠れることだろう。


 寝る準備をしている、お父さんとお母さんに声を掛ける。


「ミャ」


 お父さんとお母さん、ぼくはグレイさんのところへ行って来るね。


 ふたりとも、おやすみなさい。


「分かったニャー、グレイさんによろしく伝えてニャー」


「今日は、グレイさんと寝るのニャ? それじゃあ、おやすみなさいニャ」


「ミャ」


 ぼくは集落しゅうらくを飛び出すと、『走査そうさ』でグレイさんを探して、走っていく。


 グレイさんを見つけると、お互いに体をすり寄せて、顔をめ合う。


見張みはり、お疲れ様ミャ!」


『シロちゃんも、お疲れ様。オレは、ずっと見ていたぞ。今日も、大活躍だいかつやくだったな。さぞかし疲れただろう』


「うん。たくさん治療ちりょうして、疲れたミャ。でも、みんなよろこんでくれて、良かったミャ」


『じゃあ、ゆっくり休んでくれ。おやすみ、シロちゃん』


「おやすみなさいミャ、グレイさん」


 ぼくたちは、身を寄せ合ってねむりにいた。


 今日は、いっぱい頑張がんばったから、良くねむれそうだ。

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