第213話 やっぱりネズミが好き

 感染症かんせんしょうで苦しんでいる猫たちに、手分けしてお水を運んだり、薬を作って飲ませたり、大忙おおいそがしだ。


 ぼくたち3匹だけでは、全然手が足りない。


 そうだ! グレイさんにも、お手伝いしてもらおうっ!


 と言っても、グレイさんが集落しゅうらくに入ってきたら、猫たちがビックリしちゃうよね。


 それに、グレイさんは薬草を見分みわけることが出来ない。


 だったら、グレイさんに出来ることをお願いしよう。


 集落の前まで戻り、おすわりをして見張みはりをしているグレイさんに、声を掛ける。


「グレイさん、お願いがあるミャ」


『なんだ? シロちゃんのお願いなら、なんでも聞くぞ』


「猫たちが、腹ぺこさんなのミャ。だから、猫が食べられそうな獲物えものを狩ってきて欲しいミャ」


『可愛い猫たちが、おなかを空かせているのか……可哀想かわいそうにな。じゃあ、何を狩ってくればいいのか教えてくれ。猫は、何が好きなんだ?』


「そうだミャ……」


 トマークトゥスが食べられても、猫には食べられないものがたくさんある。


 ぼくはグレイさんに、イチモツの森の中で狩ったことがある動物を、ひと通り教える。


 Phoberomysフォベロミス・ pattersoniパッテルソニ(体長約3m、体重約700㎏の超巨大ネズミ)


 Paramysパラミス(体長約30~60cmのネズミ)


 Adelobasileusアデロバシレウス(体長約10~15cmくらいのネズミ)


 Hyracotheriumヒラコテリウム(体長約50cmの小さいウマ)


 Gastornisガストルニス(体長約2.5m、体重約500kgの激重ダチョウ)


 Sivatheriumシヴァテリウム(体長約3m、体重約1250kgの超重量級キリン)


 こうして思い出してみると、意外と種類が少ないな。


 そういえば、ネズミを良く食べている気がする。 


 やっぱり、猫だからネズミが好きなのかな。


『よし、分かった。猫は、ネズミが好きなんだな? 猫たちが喜んで食べてくれるように、頑張がんばっていっぱい狩ってくるよ。お土産を、楽しみにしていてくれ。じゃあ、行ってくる』


「は~い、行ってらっしゃいミャ」


 グレイさんは、すごり切って、出掛けて行った。


 狩りをするって、とても危険だし、体力も気力もすごく使うんだよね。


 だから、グレイさんがぼくたちの代わりに狩りをしてくれると、めちゃくちゃ助かる。


 ぼくはグレイさんを見送ると、猫たちの看病かんびょうをするため集落しゅうらくの中へ戻った。

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