第208話 なかよしにゃんこ

 イヌノフグリの集落しゅうらくの猫たちが、お引っ越ししてきてから、約1ヶ月後。


 新入り猫たちは、環境かんきょうれてきたようで、くつろいでいる様子ようすが見られる。


 ヒアエノドンに負わされた傷もふさがって、だいぶ元気になったみたいだ。


 先住猫せんじゅうねこたちも、新入り猫たちと仲良くなってきた。


 先住猫せんじゅうねこも新入り猫もり混じって、身を寄せ合って日向ひなたぼっこしている。


 特に問題も起きずに、みんな仲良くなってくれて良かった。


 もし、性格が合わない猫がいて、ケンカになったらどうしようって、心配していたんだよね。


 これで、イヌノフグリの集落しゅうらくの猫たちをお引っ越しさせた責任せきにんは、きちんとたせたと思う。


 ねんため、茶トラ先生と相談して、確認を取ってから旅へ出よう。


 集落しゅうらくの猫たちを一番よく知っているのは、おさの茶トラ先生だからね。




 ぼくは、ヨモギの薬を作っている茶トラ先生にった。


 茶トラ先生はぼくを見ると、手を止めてニッコリと優しく笑う。


「おや、シロちゃん、いつも集落しゅうらくの見回り、お疲れ様ニャ~」


「ミャ」


 茶トラ先生も、お疲れ様です。


 最近、猫たちの具合ぐあいは、いかがですか?


「そうだニャ~。ここ最近は、傷も病気も治ってきたみたいで、どの猫たちも元気そうニャ~」


 それは、良かったです。


 お薬作るの、お手伝いしましょうか?


「ありがとうニャ~、助かるニャ~」


 ぼくも、茶トラ先生の横に座って、ヨモギを叩いてつぶしていく。


 作業しながら、話を続ける。


「ミャ」


 あの……そろそろ、また旅へ出たいと思っているのですが。


 行って来ても、いいですか?


「もちろん良いニャ~。シロちゃんが、イヌノフグリの集落しゅうらくおとずれなかったら、きっとあの猫たちはみんな、くなっていたニャ~」


 茶トラ先生は、出来た薬を大きな葉っぱのお皿にうつして、新しい薬を作り始める。


「きっと、シロちゃんの助けを必要としている猫たちが、たくさんいるニャ~。困っている猫がいたら、また助けてあげて欲しいニャ~。イチモツの集落しゅうらくは私に任せて、シロちゃんは行ってらっしゃいニャ~」


「ミャ」


 ありがとうございます、茶トラ先生。


 ぼく、これからも旅をしながら、たくさんの猫を助けて、いろんなことをいっぱい学びたいと思っています。


 茶トラ先生も、どうかお元気で。 


「シロちゃんは、とってもえらいニャ~。だけど、くれぐれもムリはしないようにニャ~。ケガや病気に気を付けて、元気で帰って来てニャ~」



 

 茶トラ先生にわかれをげた後、お父さんとお母さんに、もうすぐ旅へ出ることを伝えた。


 グレイさんも、旅をめちゃくちゃ楽しみにしているから、早く教えてあげなきゃね。

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