第207話 先住猫と新入り猫

 イヌノフグリの集落しゅうらくの猫たちがお引っ越ししてきてから、やることがいっぱいあった。


 穴掘あなほりが得意な猫たちにお願いして、新入り猫たちの為に、新しい巣穴すあなってもらった。


 ぼくと茶トラ先生で協力きょうりょくして、毎日、ケガをした猫たちにヨモギの薬をったり、飲ませたりしている。


 お父さんとお母さんとグレイさんと一緒に狩りへ行き、みんなにお肉をたくさん食べさせた。


 お肉を食べないと、傷も治らないし、体力も回復しない。


 ケガをした猫たちは、食事や治療ちりょう以外は1日中、巣穴すあなで眠っている。


 ケガを治すには、たっぷり寝るのが一番だからね。




 イヌノフグリの集落しゅうらくの新入り猫たちがお引っ越ししてきてから、数日後。


 体力が回復した猫たちは、巣穴すあなから出てきて、毛づくろいや日向ぼっこをするようになった。


 猫は、毎日欠かさずに毛づくろいをしないと、毛がボサボサになっちゃうんだよ。


 ヒアエノドンにおそわれてからずっと、体が痛くて毛づくろいが出来なかったみたい。


 毛づくろいをすると、ストレス解消かいしょうにもなる。


 毛づくろいと日向ぼっこをすることで、毛のつや健康けんこうたもたれる。


 猫にとって毛づくろいは、とっても大切なことなんだよ。




 しばらくすると、猫たちは猫会議ねこかいぎをするようになった。


 イチモツの集落しゅうらく先住猫せんじゅうねこたちと、イヌノフグリの集落しゅうらくの新入り猫たちは、それぞれはなれたところで、猫会議ねこかいぎをしている。


 まぁ、これは予想出来たよね。


 猫会議ねこかいぎは、仲良しの猫同士で集まるとされている。


 ほとんどの猫は、警戒心けいかいしんが強いから、人見知ひとみしりをする。


 猫だから、猫見知ねこみしりって言うのかな?


 人間だって、初対面しょたいめんの相手はどんな人か分からないから、緊張きんちょうするよね。


 どんな動物も、初めて会う相手や新しい環境かんきょうれるには、それなりに時間が掛かる。


 それが、当たり前なんだ。


 無理に仲良くさせようとか、れさせようとしても、出来ない。


 猫にも、コミュニケーション能力が高いようキャな猫と、臆病おくびょういんキャの猫がいる。


 あわてずあせらず無理をせず、先住猫せんじゅうねこと新入り猫が、仲良くなってくれるまで待つしかない。


 今のところ、ケンカしたり、威嚇いかくしたりする様子ようすは見られないから、大丈夫かな。


 先住猫せんじゅうねこと新入り猫が、同じ場所で過ごしているうちに、おたがい少しずつ警戒けいかいけて、だんだんと仲良くなっていくと思う。


 ぼくに出来ることと言ったら、みんなの健康けんこうたもちつつ、仲良くなってくれるまで温かく見守ることくらいだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る