第194話 春の訪れと別れ
森のあちこちで、色とりどりの花が
グレイさんがタンポポの花を見つけて、
『シロちゃん、黄色くてふわふわした花を見つけたぞ。これが、タンポポか?』
「そうミャ、これがタンポポミャ」
『シロちゃんは、この花が
グレイさんは、「今すぐ旅立ちたい!」と言いたげな、ワクワクした顔をしている。
ぼくだって、行けるなら今すぐ行きたい。
でも、ぼくには、
このところずっと、ミケさんが寝たきりなんだ。
毎日、大きな葉っぱで作った皿に水を入れて、ミケさんの口元へ持って行くんだけど、あまり飲んでくれない。
『
だからぼくは、ミケさんの
でも、ずっと付きっきりだと、体力的にも精神的にも疲れてしまう。
だから、
今は、お医者さんの茶トラ先生が、ミケさんに付き
ぼくは
「ごめんミャ。もうすぐ、ミケさんがお
『そうか……オレに出来ることがあれば、なんでも言ってくれ』
「気持ちは
『じゃあ、シロちゃんは、早く
「グレイさん、ありがとミャ。じゃあ、またミャ」
『ああ、またな。オレも、ミケさんを
グレイさんは
それから1週間ほど、ぼくはグレイさんに会いに行くことなく、ずっとミケさんの側にいた。
ミケさんは、ほとんど1日中、
ぼくは、ただ側にいるだけで、何もしてあげられなかった。
そして
「シロちゃん……ワシは
そう言い残して、ミケさんは息を引き取った。
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