第193話 オオカミの天敵

 グレイさんが、イチモツの集落しゅうらくを守るようになってから、集落しゅうらくは平和そのもの。


 あの夜以降、ヒアエノドン(ハイエナに似た動物)がおそって来ることもなくなった。


 グレイさんのにおいがするおかげで、トマークトゥスを天敵てんてきとする動物たちは、警戒けいかいして近付いて来ない。


 オオカミは、イヌぞくの中で、もっとも狩りに特化とっかした動物らしい。


 大きな獲物えものいどむ身体能力、高度な表現行動などで、れの仲間たちと協力して狩りをする。


 最高速度の時速約70km/hなら、約20分。


 時速30km/h前後なら7時間以上、獲物えものを追い回すことが出来るといわれている。


 大型哺乳類おおがたほにゅうるい小動物しょうどうぶつ草食動物そうしょくどうぶつや魚など、肉だったらなんでも食べる。


 この為、オオカミを天敵てんてきとする動物は多い。


 逆に、オオカミの天敵てんてきは、この世界にはいない。


 たぶん、この世界では、トマークトゥスが最強なんだ。


 トマークトゥスより大きくて強いクマもいるけど、お互いをおそうことはほとんどない。


 他に狩りやすい獲物えものがいるのに、強敵きょうてきと戦う理由がないからだ。


 ヘタに、強い相手にいどんでケガをしたら、死んじゃうからね。


 野生動物は、生きることが何よりも大事。


 戦闘民族せんとうみんぞくじゃないんだから、強い相手を見てワクワクしたりはしないんだよ。

 

 あえて、言うなら、オオカミの天敵てんてきは人間かな。


 日本のオオカミは、人間によって絶滅ぜつめつしている。


 ちなみにイヌは、オオカミの亜種あしゅが、人間によってらされたものなんだよ。

 

 そういえば、この世界に転生てんせいしてから、人間を一度も見たことがない。


 それどころか、霊長目れいちょうもく(サルの仲間)すら見たことがない。


 どうやら、霊長目れいちょうもくが存在しない世界らしい。


 なんで存在しないかは、分からないけれど。


 


―――――――――――――――――――


【何故、この世界には霊長目れいちょうもくが存在しないのか?】


 メタい話をすると、「読者に優しい世界」だからです。


 霊長目れいちょうもくが、おそわれる描写びょうしゃは、読者に優しくありません。


 狩りをする場面やケガの描写びょうしゃも、出来る限り残虐描写ざんぎゃくびょうしゃけるように心掛こころがけています。

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