第168話 骨と角

 ぼくとお父さんとお母さんの3匹は、シンテトケラスを集落しゅうらくへお持ち帰りした。


「みんなー! シンテトケラスを、お土産持って帰って来たニャーッ!」


 お父さんが大きな声で言うと、集落しゅうらくの猫たちが「ニャーニャー」と鳴きながら集まって来た。


 集落しゅうらくの猫たちは、「うみゃいうみゃい」と、大喜びでお肉を食べている。


 さて、問題はここからだ。


 どうやって、骨とつのを回収するか。


 猫は、太い骨を食べない。


 細い鳥の骨くらいなら、くだくことが出来るけど。


 するどとがった骨が、のどや胃などにさってしまうことがあるから、とっても危険。


 だから、骨が付いているエサは、猫に食べさせちゃダメだよ。


 ちなみに、草原サバンナ掃除屋そうじやさんのハイエナは、骨まで食べるらしい。


 ハイエナは、あごの力が人間の約7倍もあって、太い骨もバキバキくだく。


 超強力な胃腸を持っていて、骨も消化して栄養えいようとして吸収することが出来るそうだ。


 ハイエナは、スゴイ。




 そんなことを考えながら、集落しゅうらくのみんながお肉を食べ終わるまで、じっと待った。


 しばらくすると、シンテトケラスの骨とつのだけが残った。


 お肉を食べ終わった猫たちが、食後の顔を洗っている間に、骨とつのを回収する。


 さすがに、全部は持っていけないから、手頃てごろなサイズを選ぼう。


 グレイさんは、どのサイズの骨がかじりやすいのかな?


 ちょっとお肉が残っている骨もあったら、喜んでくれるかな?


 とりあえず、適当てきとうに10本くらい選んで、植物のつるしばってたばねた。

 

 あとは、これを背負せおって、グレイさんの元へ持って行けばいいだけだ。

 

 だけど、グレイさんに会いに行くって言ったら、絶対止められるよね……。


 かといって、まただまって出て行ったら、みんなに心配を掛けちゃう。


 ウソはきたくないし、心配も掛けたくないし……どうしよう。


 あれこれなやんだ結果けっか、お父さんとお母さんに正直に相談することにした。


「ミャ……」


 あのね……お父さん、お母さん。


 この骨とつのなんだけど、グレイさんにプレゼントしたいんだ。


 だから、お出掛けしてきてもいいかな?


「グレイさんっていうのは、シロちゃんとお友達になったトマークトゥスニャー?」


「シロちゃんが、ひとりで集落しゅうらくの外へ行くのは危険だし、とっても心配ニャ」


「だったら、私たちも一緒に行くニャー」


 まさか、お父さんとお母さんも付いて来るのっ?


 グレイさんは喜んでくれると思うけど、お父さんとお母さんは大丈夫かなぁ?

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