第166話 獣の臭い
イチモツの
ぼくとしては、バレないようにこっそりと、集落へ入ったつもりだったんだけど、バレバレだったらしい。
「シロちゃん、どこに行ってたのニャー!」
「シロちゃんがいなくなって、とってもとっても心配したニャ」
「ミャ……」
ごめんなさい、ちょっと気になることがあって……。
言い訳しながら近付いて行くと、お父さんとお母さんがビクッとして、立ち止まった。
今まで、見たこともない反応。
何か、おかしなことでもあったのかな?
ふたりは、ぼくに近付くと、フンフンと
あれ? ひょっとして、ぼく、
そういえば、グレイさんに
あの後、自分で毛づくろいもしていない。
ってことは……。
「シロちゃんの体から、知らない
「この臭いは、もしかして……。まさか、シロちゃん、あのトマークトゥスに
「トマークトゥスッ? シロちゃん、大丈夫だったニャッ? どこか、ケガはないニャッ?」
お父さんとお母さんは、不安と恐怖が
こうなったら、
ぼくは、正直に話すことにした。
「ミャ」
今日、
だから、気になって、探しに行ったんだよ。
そしたら、そのトマークトゥスは、おなかが
グレイさんっていう名前なんだけど、お話ししてみたら、とっても良いヤツだったよ。
ぼく、グレイさんとお友達になったんだ。
ぼくの話を聞いた
「シロちゃん、トマークトゥスに会いに行くなんて、そんな危ないことしちゃダメニャー!」
「シロちゃんが、トマークトゥスに食べられなくて良かったニャ!」
「いくらシロちゃんでも、トマークトゥスと友達になったなんて、信じられないニャ~……」
う~む……やっぱり、誰も信じてくれないか。
仕方がない、話を変えてみるか。
「ミャ?」
お父さんとお母さん、一緒に狩りへ行かない?
「もちろん、一緒に行くニャー。シロちゃんひとりで、行かせられないニャー」
「シロちゃん、おなかが
ふたりを
とりあえず、これで良し。
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