第14話 女神、崩壊の予感?
装備が整ったので、女神はアンドレーたちと別れて、とりあえず天界に戻った。
自分の仕事場にもどって、デスクの上を見ると、めまいをおこしそうになった。
書類が山と積まれていたのだ。
(やっばぁー。
あいつのせいでこんなに溜まってるー!
しかも帰ってくる途中でプリン買ってくるの忘れたー!)
いつも通りに仕事が進んでいれば、書類系の仕事はとっくに終わっている時刻だった。
彼女は椅子にすわると肩を落とした。
(でも、きっともう大丈夫。たぶんあのパーティーはすぐに全滅するから)
彼女がそう思うのには、それなりの理由があった。
クラスに適さない装備品を装備すると、性能がほとんど発揮されない。
やはり装備品は、クラスに適したものを選んだほうがいい。
アンドレーの意味不明なセレクトのせいで、ウィザードの女の子たちは、適切な防御力を確保できていなのは誰の目に見ても明らかであった。
あれなら、ザコ敵であっても、クリティカルヒットを喰らえば即死レベルだ。
(可哀想に。ダメ男についていった女の末路は悲惨よ)
不謹慎ではあるが、女神にとってはこの事態は好都合でもあった。
このまま全滅してくれれば、アンドレーはまた転生することになる。
そうすれば、アンドレーの担当は別の女神に移るのだ。
彼女は、3人のウィザード少女には申し訳ないけど、無事を祈らないことにした。
(ってか一刻もはやく死んで。じゃないと、わたしが潰れる)
女神はプンプンしながら書類の山を崩していった。
ところで彼女は、アンドレーの異常な振る舞いを観察したことがきっかけで、あるひとつの都市伝説を思い出していた。
天界には「悪魔の組み合わせ」という都市伝説があった。
その都市伝説は、アンドレーを転生させた世界にまつわるものだった。
かの世界は、他の世界と違った特徴があって、転生前に五つのデフォルトスキルを選択するようになっている。
だが、選択の歳に、ある禁断の組み合わせを入力してしまうと、バグが生じて、その世界が崩壊し、さらに、入力した女神の身にも恐ろしいことが起きる。
女神は、その話を聞いたときにはケラケラと笑っていたが、ちょっとわらえなくなってきた。
アンドレーのあの感じは、まさかバグ……?
彼女は、これまであまたの魂を今回の世界に送り込んできたが、アンドレーのような例に出くわしたことがなかった。
それが、彼女をより不安な気持ちにさせた。
(女神の身に起きる恐ろしいことって……)
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