その3 めんどくさがり、モンスターを選ぶ

<※修正部分>

・教官のモンスター説明を箇条書きに変更

・ジンが鍵付き掲示板をメモ代わりにしている旨を記載

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        クエストメッセージ

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【ジョブチュートリアル/テイマー編③:

     テイマーの必須項目テイムモンスターを選べ】

 まずは冒険者ギルドに登録すると、テイマーはテイム

 モンスターを1体選ぶことができます。

 下の4つの中から、好きなモンスターを1体選びましょう。

 ・ウルフ

 ・ホース

 ・キャット

 ・スパイダー


 報酬:選択したテイムモンスター

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こういう時の定番モンスターのスライムはラインナップにないのか。他のモンスターも想像していたモンスターの枠から外れたものもいくつかある。


「だがいきなりテイムモンスター選ぶのも難しいだろう。テイムモンスターについて軽く説明をする前に、【鑑定】のスキルで4体のモンスターを見てもらおう」


【鑑定】? そんなの持ってたっけな。


「【鑑定】は君の着ている『始まりの服』に紐づけられているギアスキルだぞ。今回はモンスターの魔防に関わらず全部のステータスが見えるようになっている。」


なるほど、確かにステータスを確認したのはキャラクリの最後だったから、ギアスキルは見てなかったな。

言われた通りに4体のモンスターに対して【鑑定】を使用し、ステータスを見る。



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ネーム:未定

種族 :ウルフ

レベル:1

性別:オス

体力:20

魔力:10

攻撃:10

防御: 5

魔攻: 5

魔防: 5

器用: 5

速度:10


マイスキル:1

【爪撃】

 爪で相手を切り裂く攻撃

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ネーム:未定

種族 :ホース

レベル:1

性別:オス

体力:20

魔力:10

攻撃: 5

防御:10

魔攻: 5

魔防: 5

器用: 5

速度:10


マイスキル:1

【ライドオン】

 ライド状態の間、ライドしている相手のステータスに

 このモンスターのステータスを上乗せする

 デメリット:このモンスターの攻撃不可

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ネーム:未定

種族 :キャット

レベル:1

性別:メス

体力:10

魔力:20

攻撃: 5

防御: 5

魔攻:10

魔防:10

器用: 5

速度: 5


マイスキル:1

【猫魔法】

 プレイヤーの修得している中で最も習熟度の

 高い魔法スキルを1種類選び、それを使うことができる

 (同じ習熟度の魔法が複数ある場合はランダム)

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ネーム:未定

種族 :スパイダー

レベル:1

性別:メス

体力:20

魔力:10

攻撃: 5

防御:10

魔攻: 5

魔防: 5

器用:10

速度: 5


マイスキル:1

【糸撃】

 糸を相手に向けて打ち出す。

 糸が命中した相手は、速度が少し下がる

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結構面白いやつが多いな。


「【鑑定】である程度のステータスが分かった上で、モンスターについて説明しておこう」


ここからまぁまぁ長い話だったので、要点をかいつまんでメモ代わりの鍵付き掲示板に書き込む。LGO内ではメモなんてものはないうえ、外部に書き込むこともできないので、基本的に気になった情報は内部で唯一アクセス可能な掲示板に書くことにしている。情報に関しても鍵付きにしておけば他所にバレることもない。


「......とまぁ説明はこのくらいだな。一応分かりやすく説明はしたつもりだが、何か質問があれば聞くぞ」


質問は少し考えるとして、今の話の内容をまとめると大体こんな感じになる。


■ウルフ

希少価値:低

ここ以外でのテイム難易度:中

役割:物理アタッカー、ライドモンスター


・テイムモンスターの中では比較的メジャーなモンスター

・『ワーン平原』や『ワーンの森』に出てくる

・基本的に群れで活動するモンスターのため、テイム難易度はそこそこ高い

・ライドモンスターとしてだけの運用ならギルドのライドモンスター貸し出しを利用するのも選択肢としてあり


■ホース

希少価値:高

ここ以外でのテイム難易度:高

役割:ライドモンスター


・テイムモンスターの中ではそこそこ。

・テイマーが槍や弓などの武器を使い、【ライドオン】のスキルの効果で上昇したステータスで戦うのが基本的な戦い方

・ホースは王都の騎士団がライドモンスターとして使うため、外からワーンに流れてきてもほとんどが王都の管轄になる

・ここでテイムしないなら稀に『ワーン平原』に現れる野生のホースを捕まえるか、ホースの進化前の『ベビーポニー』からコツコツ育てていくしかない


■キャット

希少価値:中

ここ以外でのテイム難易度:低

役割:魔法アタッカー


・テイムモンスターよりもメイジの使い魔としての方がメジャー

・どちらかというとペット向け

・ここに並んでいるのは遣い人需要でメイジ部門から分けてもらった

・進化すれば強いかも?

・うまく使うにはテイマー自身も魔法を覚える必要があるからそこそこの技量が必要

・偶に街中に現れるから、見かけたらテイムに挑戦するのもよし

※使い魔とテイムモンスターの違い=進化するかしないか


■スパイダー

希少価値:中

ここ以外でのテイム難易度:高

役割:ライドモンスター、タンク


・テイムモンスターの中では虫系のモンスターということで好き嫌いが分かれる。

・ライドモンスターにもできるし、タンクもこなせる。

・森の中では糸を使ったトリッキーな戦法も使用可能

・『ワーンの森』で偶に現れるが、その個体はかなりレベルが高いからテイムするにはかなりの実力が必要。



まとめてみると若干知らない用語がちょくちょく出てるので、その辺りちょっと確認したいので聞いてみる。


「今の話にでたライドモンスターっていうのは?」

「読んで字のごとく、乗ることのできるモンスターだ。訓練されたモンスターなら、何のスキルを持っていなくても乗ることができる。訓練されたモンスターでなくとも、【騎乗】のスキルさえ持っていれば同じように乗れるぞ」


なるほど、てことはこれからのプレイには必須のスキルになるってことだな。たとえ行ったことのある街と街の間をワープできるようになったとしても、初めて行く街や地域のためにも損になることはない。


「ちょうどいい、特別に【騎乗】スキルを取らせてやる。これに触れろ」


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        クエストメッセージ

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 【サブクエスト:【騎乗スキル】を手に入れよう】

 ライドモンスターについての説明を聞いたあなたは、

教官から【騎乗】スキルを教えてもらうことになった。


 スキルオーブに触れて【騎乗】スキルを手に入れよう。


 報酬:スキル【騎乗】

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どうやら『ライドモンスターについて聞くこと』あたりがフラグだったようで、サブクエストが生えてきた。


LGOではプレイヤーの行動によって、クエスト中に新しいクエストが割り込みで入ってくることがある。これを『サブクエスト』と呼ぶ。

正直もう少し先で受けるか、めんどくさがりな性格上、

効率重視で要点だけ話しまくるようなコミュニケーション拒否でフラグを踏むことはないと思っていたんだが......

内容的にも触れるだけで終わりそうだし、これは思わぬ幸運だ。


「これに触れればいいんですね」

「そうだ。触れれば【騎乗】のスキルを獲得できる」


差し出されたのはスキルオーブ。基本は所有者自身が使用可能なアイテム。許可を得れば他人でも使用可能になる。説明的にはこの中には【騎乗】スキルを修得できるまでののスキル経験値が内包されており、使用することでそのスキルを得ることができるらしい。


俺が言われた通りにスキルオーブに触れるとスキルオーブは消え、俺のマイスキルに【騎乗】が追加される。初スキル獲得RTAとかがあれば結構いいタイムを出せたんじゃないだろうか? いや、そんなことはないか。


スキルオーブの件で話が逸れたが、一番聞けてないことはまだ聞けてないので話をライドモンスターについてのことに戻す。


「あとライドモンスターって街中で乗りっぱなしってできるんですか?」

「他の街では禁止されている可能性もあるが、ワーンでは許可されているぞ。混雑中でもない限り注意されることはない」


なるほど、新しい街に着く度に聞く必要はあるが、ここではOKなんだな。しばらくはワーンで活動することになるし、頭の隅にでも置いておけばいい。


「時間的にはあと1つくらいなら答えられるが、何かあるか?」

「じゃあスライムについてなんですけど、なんでこの中にはいないんです?」

「スライムか、あれはなぁ......」

「スライムに何か?」

「いや、スライムってテイムは楽なんだが、あまり強くないんだ。

スライムが持つ【溶解液】というスキルは相手の防御を無視して体力を減らせる上、少しの間当たった部分の防御を減らすことができるんだがな。」

「それだけ強いスキルを持ってるならテイムモンスターとして人気になりそうですけど」

「問題なのはスライム自体の速度がかなり低いことだ。進化するレベルまで上げても速度は10以下。他のステータスも特筆して強いものがない。さらにテイマーがテイムできる枠にも上限があるから、そんなモンスターよりも別のモンスターをテイムした方がマシ。ってことで誰もテイムしていないんだ」


なるほどなぁ......確かにそれなら誰もテイムしないのも分かる。別のモンスターと組み合わせれば強くなるかもしれないが、テイム枠という上限がある以上そんなのに割くよりも1体で仕事のできるモンスターに割く方が効率的だ。


「というのがスライムがここにいない理由だな。何も知らない遣い人からすれば疑問を抱くのも当然だが、テイマーの常識としてこれは知っておいてほしい。

だが何をテイムするかはテイマーの自由だ。我々はスライムをテイムしているからといって差別するようなことはない」


何をテイムするも自由か。いい言葉だ。

何度もリメイクが出た、テイマーゲーの元祖とも言われるとあるレトロゲームのキャラクターのセリフを思い出しつつ、俺は自分がテイムするモンスターを選ぶことにした。



_________________________


あとがきスキル解説

【テイム】

【テイマー】のジョブスキル

スキルの対象にしたモンスターを自身のテイムモンスターにできる。

テイムの成功率は魔攻に依存するが、モンスターごとに設定された条件を満たせばテイム成功率は100%となる。

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