その4 めんどくさがり、スパイダーをテイムする



「スパイダーをテイムしようと思います」


各モンスターの特徴や入手難易度を見るに、ウルフは後でもなんとかなりそうだ。ホースに関しては自分で攻撃する必要があるから除外。キャットもプレイスタイルに合うかといえば疑問が残る。となればスパイダーだ。

ライドモンスターとしても使えるようだし、体型も現実で言うならタランチュラに近い。マットみたいで乗り心地も良さそうだ。


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        クエストメッセージ

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【ジョブチュートリアル/テイマー編④:

           【テイム】のスキルを使おう】

 選んだモンスターを仲間にするため、【テイム】の

 スキルを使おう。


 報酬:ジョブ経験値5P

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スパイダーを選ぶと、クエストが進んだようで【テイム】のスキルを使うように指示が出る。


「そうか、では【テイム】のスキルを使うといい。普通ならテイムしたいモンスターに認められるため、体力をある程度まで減らしたり、特殊な条件を達成したりしなければならないが、これらのモンスターは遣い人にテイムされることを了承してくれたモンスターたちだ。条件に関係なく成功できるようになっている」


なるほど、そんな感じになってるのか。無条件とは言わなくても、もうちょっとテイム条件は難しいと思っていたが、テイムするモンスター側が認めればテイムは成功するのか。いいことを聞いたな。

早速言われたとおりに【テイム】のスキルを使うこととしよう。


「【テイム】」


スキルを使うと自分の手から放たれた光がスパイダーを包み、その光はスパイダーに浸透するように消えていく。


「さて、テイムは無事に成功したようだな。今のようにテイムに成功すると光はテイムモンスターに吸い込まれる。逆に失敗すると光は弾かれるからテイムの成否の目安にするといい。

最後にテイムが成功したら名前を付けてやれ。種族名で呼ぶのはテイマーとしてあまりよろしくない。自分の背中を預ける仲間なんだ、いい名前を付けるんだぞ」

「名前なぁ......『クモ蔵』とか『クモ助』あたりが妥当か?」

「それでもいいが、スパイダー系にはアラクネという進化先もある。それにそいつはメスだから流石にその名前はどうかと思うぞ......」

「だったら『クイダー』。いや、長いから『クイ』でいいか。よし、お前の名前は今日から『クイ』だ。よろしく頼むぞ」


明らかに男な名前をメスのこいつに付けるのはあれなので、十数秒悩んだ結果、名前は『クイ』に決定した。これからはこいつに乗って悠々自適にプレイしよう。


「今回の話に出てきた中でキャットやスライム、あとベビーポニーはテイム難易度が比較的低い。あとこの近くでよく見るモンスターなら、平原や森にいるラビットもだな。

警戒心が比較的低く、好奇心旺盛。何もしていない状態でも【テイム】の成功確率が高い。テイムモンスターに加えたいなら覚えておいて損はない」


これは結構いい感じの情報だな。初心者テイマーはここで選んだモンスター以外はそれで埋めれば何とかなるか。キャットは出現率的に難しいかもしれないが、ラビットあたりなら戦力になりそうだ。


「それと、今のお前が連れていけるテイムモンスターの上限は3体までだ。それ以上の数のモンスターをテイムしようとすると、テイムモンスターを預かる場所が必要になる。そういった場所を用意できないんだったらテイムモンスターは慎重に選ぶことだ。いいな?」


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        クエストメッセージ

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【ジョブチュートリアル/テイマー編:クリア】

 以上でジョブチュートリアルは終了です。

 以降は基本ジョブのチュートリアルをスキップ可能とな

ります。


報酬:スキルポイント3・ステータスポイント3

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その言葉を最後に、俺の目の前にはジョブチュートリアルが終了したというクエストメッセージと、報酬でスキルポイントとステータスポイントを1ポイントずつ獲得したことが表示され、俺は教えの部屋を出た。


そのあとはワーン平原で狩れそうなモンスター(スライムやラビットなど)に関する依頼をいくつか受け、ギルドを出ることにした。なお、受けた依頼はこんな感じ。


・『スライムの核』  の納品( 1個):50G

・『スライムジェル』 の納品(10個):40G

・『ラビットの毛皮』 の納品( 3個):90G

・『ラビット肉』   の納品( 5個):100G


説明ではこれより多くとれた場合も上乗せで報酬を出してくれるそうで、特に劣化の速いスライムジェルや、生もののラビット肉はありがたいくらいらしい。


「さて、とりあえず道が混んでなければ街でテイムモンスターにライドしても大丈夫とは言われたからそれで移動してみるか」


となりにいたクイに指示を出して乗り、ワーン平原へ移動を開始する。

クイの体毛は硬くも柔らかくもないちょうどいいかんじで、いい感じの毛布のような触り心地になっている。なので触り心地をもっと実感しようと、移動しているうちにだんだん上半身が下に向いていき、最終的にはうつぶせに寝そべった状態でクイに乗る形になった。はたから見れば完全におかしな構図である。


そんな楽々移動の傍ら、俺は攻撃用にスキルを取得することにした。

今回、クイを手に入れたことでテイマーの足の遅さはある程度はカバーできるようにはなった。そして移動をクイに任せられるということは、移動に割く頭を攻撃に割くこともできるようになったということだ。


なので攻撃用に取るスキルは魔法系、その中でも【水魔法】を取ろうと思っている。

なぜ【水魔法】なのかについてはいろいろ理由があるが、【水魔法】がすべての魔法の中で唯一「精気魔法」と「実体魔法」の2つを使えるようになる。そして応用性が高いのが大きな理由だ。


というわけでジョブチュートリアルの報酬分の3ポイントをつぎ込み、【水魔法】のスキルを手に入れた。ステータスポイントについてもレベルアップ分の2ポイントだけをつぎ込んで魔攻のステータスを上げておく。これで残りのポイントはステータスが3、スキルが2だ。

というわけで今の俺のステータスはこんな感じ。


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ネーム:ジン

ジョブ:テイマー

レベル:2(↑1)

性別:男

体力:33(↑3)

魔力:33(↑3)

攻撃: 7

防御:11(↑1)

魔攻:14(↑3)

魔防:11(↑1)

器用:11(↑1)

速度: 7


ジョブスキル:2

【テイム】【コール】


マイスキル:2

【騎乗】【水魔法】


ギアスキル:2

【鑑定】【解体】


ステータスポイント:3

スキルポイント  :2


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ジョブ、マイ、ギアの3つともスキル2つの綺麗な並び。ステータスは体力・魔力が3伸びているので、どうやらステータスの上昇はステータスランクの上昇以外にも、レベルアップでも伸びるようだ。しかし、見た感じは基礎部分の値が上がっているだけのようなので、ステータスポイントあたりで各々の色を出していくのだろう。


次に所持している各スキルをタップすれば、その内容が見れる。例えばクイに使った【テイム】はこんな感じ。


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【テイム】

【テイマー】のジョブスキル

スキルの対象にしたモンスターを自身のテイムモンスターにできる。

テイムの成功率は魔攻に依存するが、モンスターごとに設定された条件を満たせばテイム成功率は100%となる。


習熟度:2/10

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これを見るとどうやら【テイム】の成功には魔攻が関係しているようで、レベル上昇で手に入るステータスポイントは魔攻に振る方がよさそうだ。いちいち考えるのもいろいろめんどくさいので、ステータスポイントは魔攻に極振りするのもいいかもしれない。伸び率に体力魔力は豊富にあるから移動はクイに任せよう。

あとはギアスキルの【鑑定】を確認する。


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【鑑定】

ギアスキル:始まりの服

スキル対象の詳細を見ることができる。

ただし魔力を持つものに対して使用した場合、内容が上手く表示されないことがある。


習熟度:8/10

(マイスキル昇格まで あと2)

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説明を見る限り、あのテイムモンスター4体のステータスが見れたのは何か特別な処置が行われた結果のようだ。あの時と同じようにステータス全体を見るにはおそらく何度も使って習熟度を溜め、スキルレベルを上げる必要があるんだろう。

とりあえずギアスキルは一定の習熟度を溜めればマイスキルに同じスキルが追加されるので、余程のことがなければ熟練度を上げるためにギアスキルは積極的に使っていく方針にしよう。


最後に掲示板を開き、自分しか書き込めないように設定して今回聞いた情報を箇条書きで入力する。忘れたときに聞き直しに行くのもめんどくさいからな。もしかすれば後々別で作って整理するかもしれないが、今はやらなくていいだろう。本当は電子メモを使えればいいんだが、LGO内では公式の掲示板以外で別媒体に書き込めることができないのでこれで我慢しておく。


そんなこんなやって、俺とクイはワーン平原へとつながる街の門に着いた。


_________________________


あとがきスキル解説

【コール】

【テイマー】のジョブスキル

テイムモンスターに声が届かない状況でもテイムモンスターに指示を出すことができるほか、言葉を発することのできないテイムモンスターとも軽い意志疎通ができるようになる。

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