嫌いなチーム
「はぁ……」
思わず嘆息してしまう。それ程までに目の前の奴らは愚かでバカだった。ほんと、ナルたちが恋しくなるわね……
「おいおい、三島さんよぉ。溜息なんてついてどうしたんだぁ?」
うるさい──
「ダンジョンをクリアしたっていう嘘がバレたのがそんなに悔しい?」
うるさい──
「ギャハハハ。優等生ちゃんでも嘘付くんだよなぁ」
うるさい──
本当ならこんな奴ら微塵切りにしてやりたい。私が得意とする風魔法をぶっ放したい。でも、一応まだチームだから……
ナルたちまで迷惑をかけるわけにはいかないし。ナルたちは気にしないでしょうけど、私のプライドが許さないわ。
「つーかさ、態度悪くなぁい?」
「……」
「なんか言えよ、おい」
「……」
「テメェ、俺らを怒らせたらどうなるのか分かってんのか、あぁん?」
「……」
脅しているつもりなのかしら……萌葱君や伊織、何なら怒った時のナルに比べたらミジンコが怒っている程度の威圧感ね。はぁ、本当に面倒だわ。
「チッ、このやろ──」
リーダーの言葉が最後まで紡がれることは無かった。だって、彼は首と身体が既に別れているのだから。彼だけじゃない、他の二人もだ。
「やっぱり視えていなかったのね、この馬鹿共は」
「置き風なんて卑怯だろ……」
私はゆっくりと振り返る。そこには萌葱君がいる。リーダー達を斬ったのも萌葱君。私は気配で気づいていたから風の刃を体の周りに置いておいた……切った感覚はしたはずなのに萌葱君は無傷だ。刀に触れただけかしら。
「本気で行くわよ」
「良いぜ、そうこなくっちゃな!」
特に何かを話す訳でもなく、私達はお互いに構える……と見せかけて私は萌葱君の背後から風の刃を飛ばす。完全に不意打ち、勝った!
「グッ……!」
と、流石に受け流されたようね。でも、致命傷。動きは鈍くなるはず……依然私の方が有利よ。
「流石、菜奈。痛かったぜ。ただ、やっぱコレがチート過ぎるよな」
萌葱君は苦笑しながらそう言って立ち上がった。立ち上が、れた? 手応えはあったのに。そんなに受け流されたかしら……
「俺や伊織より、ナルの方がすげーよな」
次の瞬間、私の意識は途絶えていた。
◇ ◇ ◇
「ねぇ、イオリ。今、開始から何分だっけ?」
「体感じゃが、三十分も経っておらん」
「僕達、誰も倒してないよね」
「うむ。長期戦を見越して食料集めに専念しようと言
い出したのはナルじゃろう?」
「だよね……あの、コレ支給品の一つで」
「スマホ……いや、何かをカウントしておるのか」
「うん。多分、現在の合計得点なんだけどね」
「ふむ。どのくらいなのじゃ?」
「もう1200越えて、1265点。人数に直すと253人」
「…………すまん。今、開始から何分じゃ?」
「それ、もう聞いたよ……アハ、アハハ」
嬉々として飛び出していったけど、やってることは殺人鬼だよ──とカケルに少し、いやかなりドン引きする僕とイオリだった。
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