補修
翌日、終業式は問題なく終わった。一部の者が笑顔で帰る中、僕はイオリとカケルと共に集合場所の体育館に集まっていた。
「昨日は本当に申し訳なかった」
カケルは朝から僕に謝ってばかりだ。というのも月海ちゃんがアレだけ釘を差しておいたのにイオリやそれ以外の人たちと戦い始めて、負傷者が大量に出たんだよね……御世話になってる柊樹ジムの評判が下がるのもアレかと思い僕は回復魔法を使い続け──
「軽い魔力切れでフラフラになり帰りに倒れた、と」
「ぜ、全然大丈夫だったよ! 周りに居た人も優しくてすぐ救急車来たし」
月海ちゃんは特訓してただけ……僕も回復魔法の特訓でジムに怪我してもらったし、月海ちゃんに実験台になってもらったからね。だから、プラマイゼロ!
「そうか……ありがとな」
「いえいえ〜♪」
「お主ら、そろそろ説明が始まるぞ」
イオリの言葉に前を向くと、いつも通り僕の嫌いな熱血教師野郎が……と思ったんだけど、なんと今日ステージの上に立っていたのは鬼教官こと荒木先生だった。珍しいね。
「それでは、補修内容の説明を始める」
荒木先生が声を発した瞬間、ザワザワしていた体育館がシ~ンっと静まり返った。流石の威圧感だ。
「まず、君達にやってもらうのはサドンデスゲームだ。チームごとに得点を獲得し、一定の得点に達するまで戦い続けてもらうぞ」
ふむふむ……ここに集まっているのは一年生百二十チーム前後、二年生百チーム前後、三年生百八十チーム前後だ。その中で得点の奪い合いか。ちょっと厳しいかも……?
「誰かを倒す度に五点、倒される度にマイナス六点。自殺はマイナス三点だ。死ぬと初期地点に戻される」
ふむふむ。要は敵を倒し続ければ良くて、殺されそうな時は自分で死ねば良いんだね。死ぬと初期地点……あれ、リスキル始まらない?
「復活後の初期地点は一定時間、絶対不可侵の領域となっておりチームメンバーしか入ることができない」
あぁ、死に戻ってすぐ殺されてを繰り返すことはないみたい。まぁ、その絶対不可侵の領域とやらがどれくらいの範囲でどのくらいの時間かにもよるけど……それは実際に行けば分かるかな。
「合計得点が二千に達したチームから終了だ。に達するまでは何があろうと会場から出ることは許さん。食料などは現地調達である。後に食べられる植物等を記載した紙を各リーダーに渡しておく」
うげげ、思ったよりも厳しそうだなぁ。今から始まるとしたら、まずはお昼ごはんの調達からかも……
「それでは、健闘を祈る」
荒木先生がそういうと僕の視界は光に呑まれた。
◇ ◇ ◇
「いや、ここ何処……?!」
僕らは恐らく森の中に居た。
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