僕らのスタイル
見渡す限り、木と木としかない。広葉樹だし、日本の森なのかな……なんて、賢いこと言ってみたけど、我ながらどうでもいいね。
「ふむ、仮想空間じゃな。期末試験で使われた結界に更に空間情報を足したものじゃろう」
「遠くに見えるのは……光の壁。アレがこの世界の端なんだろうな」
ぐぅ……二人の会話を聞いていたら日本の森とか言ってた僕が恥ずかしいね。
「ん? ナル、お前そんなの付けてたっけ?」
カケルが僕の腰辺りを指差してくる。見ると見覚えのないウエストポーチが……って、このウエストポーチ、ポケットが外側に沢山ついてるやつだ、高そ〜。
「これって、先生の言ってたやつなのかな……」
ガサゴソガサゴソ。僕はバッグを漁る。と言ってもボタンを開けて中を見ただけだけど♪ あ、なんか紙が……むむ、草がいっぱい書かれてる。
「笑ってるのか?」
最近、カケルがネットに染まってきてるなぁ。
って、そうじゃなくて! 草──食べられる植物が書いてあるのー。やっぱりコレは荒木先生が言ってた支給品みたいだね。
「ふむ。んで、これからどうするのじゃ?」
「四百人くらい倒せばゲームクリアだろ? 俺は離脱して狩りまくってもいいか?」
んー、どうしようかなぁ。いや、カケルは勝手に動き回ってくれてもいいんだけどね。それが効率的だし、ルール的にも問題はないと思う。
「じゃあ、何に悩んでんだ?」
いや、今のカケルならそんなことないだろうけど、万が一、万が一ね。怪我しても僕の側だったら治せるじゃん? だから心配というかそんな感じ。
「あー、まぁそん時はすまんかったってことに──」
「自動回復永続バフってのがあるんだけど、まだ試したことなくてね?」
自動回復永続バフ。身体強化の魔法と回復魔法の合せ技みたいな感じなんだけど、昨日の夜思いついたばかりで試せてもない。そもそも僕は回復魔法は使えても身体強化は使えないんだよね、何故か。まぁ、そういう魔法の原理的な話はプルプラさんとするとして。
でも本当に試してないから効果があるのかわからない……
「最初からそれやりたかっただけだろ……まぁ、やってみればいいじゃねぇか。効果があったらラッキーくらいで」
「そっか、そうだよね! じゃあ、いくよ」
イメージは対象に僕の回復魔法の光が纏わりついている感じ。その光一つ一つに僕の回復魔法の効果が付与されていて、傷ができると自動で回復……
「おぉ、なんか身体が光ってんな」
「うん。それが僕の自動回復永続バフ。多分大丈夫。それじゃ……」
「おう、行ってくるぜ!」
「いや待って?!」
飛び出して行きかけたカケルが立ち止まって僕を見てくる。出鼻を挫かれたことが不満なのかちょっとムスッとしている。むむむ、僕がリーダーなんだから僕のワガママぐらい聞いてほしい!
「なんじゃ? 何でも申してみよ」
イオリとカケルの顔を交互に見て僕は深呼吸……めちゃめちゃ間を空けて僕は言った。
「え〜、作戦を申し上げます。もちろん特にないので全力を尽くして頑張ろー♪」
「「もちろん(じゃ)!」」
調子に乗るなっていう意見は受け付けてませんっ!
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