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 俺はスマホに届いたメッセージを見て熟考する。初めて聞く「観測不能」という単語。ここは小紅に聞き返すべきなのだろうか……だが、もし有名な単語だった場合俺がこの世界の住民じゃないとバレてしまうんだよなぁ。


「もしかして、特異魔力のことじゃないんですかぁ」


 そういったのは後ろから覗き込むようにしてスマホを見ていた●●●。特異魔力、確かにその可能性はあるけど……


「特異魔力持ちがいると思うか?」

「それは……確かに稀ですけど、いないこともないと思いますよぉ」


 ちなみに、●●●以外の奴らは各々好きなことをしている。その光景が数年前まではあり得ないものだったと考えると少し込み上げるものがある。


「皆さん、魔法にはあんまり興味ありませんからね」  


 もう一人、魔法マニアがいるんだが今は買い出しに行ってる。最近の社会は街中に外国人がいても不思議じゃないから良いよな。一応、角は隠させたけど。


「でも、特異魔力ならその黒100%ってのも納得しますよ。というか、その通りですしぃ」


 じゃあ、観測不能と特異魔力はイコールって考えるとして……なんか、小紅は世紀の大発見をしている気がするけど、本人にその自覚はあるんだろうか。向こうでも特異魔力の性質が発見されたの、最近なんだが……小紅は自覚ない天才か。


「お母様は気づいてましたけどね」

「止めてくれ、あのクソババアは思い出したくない」


 ふぇふぇふぇ、と相変わらず気持ち悪い笑い声をする●●●は放っておくとして、とりあえず返信返信。


『恐らく、その認識で間違いないと思うぜ』


 よし、後は返信返ってくるのを待つだけ。その間は遊ぶか〜。最近は小紅とやり取りするか遊ぶかっていう怠惰な生活だが、もう少ししたら外出する予定だ。


「遊ぶ……って、あの●●様とのやつですか? 地上でやったら地震とかが半端ないからって宇宙に行ってるやつですよね? 怠惰とは……」


 アリナが驚いているが、仕方ないだろ。●●ちゃんが全く手加減してくれないんだから。お前と魔法合戦するときみたいにお互いに結界を張る余裕なんてないし。そもそも●●ちゃん、魔法は使えないし。


「そうですけど……」


 と、●●●が不満そうな顔をした時、スマホが振動する。小紅からだな。


『やっぱり〜?』

『あぁ。それより、観測不能なんて奴が近くにいるのか?』


 返信の早さに何気にびっくりしながらも、とりあえず気になっていたことを聞く。特異魔力、もとい観測不能なんてのは本当に稀にしか生まれないんだがな。


『うん。同級生で一緒にチーム組んでるんだ』

『そうなのか。それは、すごいな』


 一緒にチーム……この前、妖夢を小紅たちが倒したときに魔力干渉をした奴か。相当、攻撃魔力に長けてないと出来ないのに初めてで出来たは疑問だったんだよな。あれは、観測不能だったからなのか。


『あ、プルプラさん。回復魔法、僕出来たよ!』

『お、良かったじゃねぇか。再生は?』

『再生はまだ……ジムのコーチが何か待ってろって。あ、そろそろ帰ってくるかも』

『そうか、じゃあまた後で』

『うん!』


 やっぱり、魔力適正ってのは攻撃魔法への適正で間違いないみたいだな。多分この世界は回復魔法の研究が進んでないんだろうが、小紅が再生を成功させたらどうなるんだろうな……


「とりあえず、暇だし体動かすか。●●ちゃん、ちょっと宇宙行こうぜ」

「だから、そのちょっとで宇宙に行くのが異常なんですよぉ?」


 ●●●にジト目で見られるが関係ない。俺は●●ちゃんと宇宙へ向けて跳躍するのだった。ふぅ。さて、いつか小紅と会うのが楽しみだな。

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