第二回きのこたけのこ戦争(←僕&カケルVS柊樹さん

 というわけで! 第二回きのこたけのこ戦争のお時間です。今は柊樹さんの部屋で、柊樹さんがベッド、僕とカケルが床に座ってる。あ、そういえば柊樹さんが僕に「ベッドに座ればいい」と言ってくれたけど辞退した。流石に女の子のベッドには座れないよー。


「それで、妾に用とはなんじゃ?」


 遂に始まる。前回はカケルと仲良くなっただけで戦いにはならなかったけど、柊樹さんとはどうだろう。仲良くなれれば良いけど、もし敵対しちゃっても負けないぞ……!


「伊織、お前はきのこ派か? たけのこ派か?」


 先陣を切ったのはカケル。柊樹さんの返答次第では僕の援護射撃が待ち受けていたんだけど……


「は? 何を言っておるのじゃ。きのことたけのこを比べるとは……全くの別もんじゃろ」


 この時点で僕とカケルは違和感を覚えた。確かにきのこの里とたけのこの山は別物だけど、全くの別物と言えるほどだっけ。似ているけど違うっていう絶妙な感じラインだから戦争になっているんじゃ……


「えーと、お菓子の話だよ? 柊樹さん」


 ──と、僕は念の為に柊樹さんに言ったんだけど。柊樹さんの顔には「?」が浮かんでいる。僕とカケルもどうすればいいのか分からなくて、部屋に沈黙が訪れる。


 やがて、柊樹さんが口を開いた。


「妾が食べる菓子といえばエール・ピエルメのものが大抵じゃぞ?」


 エール・ピエルメ……現在の日本、屈指の高級菓子メーカーだ。も、もしかして柊樹さんはきのこもたけのこも知らない?


「う、む……知らんぞ」

「「金持ちって怖い」」


 僕とカケルがハモった。だって、仕方ないでしょ。あんな答え出されて「へー、そうなんだ」とはならないよ! 何なの。大抵、高級菓子って。金銭感覚バグり過ぎだよぉ。


「そういえばじゃな……」


 と、柊樹さんが別の話をし始めたので第二回きのこたけのこ戦争は幕を閉じたのだった。


 なんか納得いかないなぁ……

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