柊樹伊織(←何というか、すごいね

「えっと……どういう状況なんだろう」


 僕は学校に来てポツリと呟いた。その言葉に返事してくれる友達がいないことに嘆きながらも僕は目の前の光景に首をひねる。


 朝、それも結構早い時間帯にも関わらず校門のところに人だかりが出来ていた。百人は超えているんじゃないだろうか……一年生が全員ここにいます、って言われてもおかしくない。ちなみに一年生は全体で百人と五十人、くらいだったかな……まぁ、そんくらい!


 っとまぁ、校門に人だかりが出来ているのだが皆ソワソワって何かを待っている感じだ。今日は特に大きな行事は無かったけど……


 まぁいつもの僕ならこんな人だかりなんて無視して教室に向かうだろう。興味がないんじゃなく話せる相手がいないからだけど……

 っと、そんなことは置いといて。今日はそれが出来なかった。人だかりで通路がないのだ。さて、どうしようかな……


「あ、ナル。おはよ」


 人だかりの中から一人のイケメンが出てくる。まぁ僕に話しかけてくれる時点で一人に限られるんだけど。そう、カケルである。珍しく朝だと言うのに不機嫌じゃない。


「おはよ、カケル。ちなみにこの人だかりって何なの?」


 カケルは人だかりから出てきた。何か知っているかなぁ、と思ったんだ。どうやら僕の予想は当たっていたみたいで──


「あー……うん、実は……伊織、なんだよ」

「柊樹さん?」


 カケルは遠慮がちに言ってくるが僕には全く伝わってこない。とりあえず柊樹さんが関わっているのは分かったけど……柊樹さんがこの人だかりにどんな関係があるのだろう。


「伊織が今日、学校に来るから」


 カケルが苦労人のような顔をしている。って、そんなことは置いておくとして……柊樹さんが来るから人だかりができる。え、どういうこと。皆、柊樹さんのファンか何かなの?


 ちょっと困惑していた僕だったけど、すぐにカケルの言っていた意味が分かった。それは、学校の前に一台の黒塗りのリムジンが止まった時のことだ。


「「うぉぉお!」」


 突然そんな声が響いたかと思うと──


「「柊樹様ーー!!」」


 そんな声があちこちから聞こえてきて──


「俺のチームに入ってください」

「いや、私の!」

「絶対に貴方を満足させます!!」


 といった感じの台詞が飛び交い始めた。台詞というか勧誘? あ、告白みたいな奴もいるね。


「伊織は強いからなぁ。それに美人から、学校一の人気者でもあるんだよ。入学してから一週間で不登校になったのは自分がいると毎朝こんな感じの人だかりができて、ホームルームに遅刻するやつとかもいて先生たちが滅入ってたからだな」


 とんでもない新事実! 入学直後は周りに目を向ける暇なかったからなぁ……勉強してたし環境に馴染もうとするので精一杯だった。まぁ、今もクラスでは空気同然だけど……ある意味環境に馴染めている。

 というか「らしい」って、カケルは柊樹さんのこと美人って思ってないんだろうなぁ。


「「柊樹様〜〜!!」」


 声が一段と大きくなった。リムジンから渦中の人物──柊樹さんが降りてきたからだ。この人だかりに対してどんな反応を見せてくれるのでしょうか、って心の中で実況してたら、ツカツカと僕の方に歩み寄ってきた。


「え、え、え? な、何?」


 柊樹さんの行動に僕自身動揺が隠せない。それに人だかりの視線が僕に向いている気がする。もしかしたらカケルかもしれないけど。どちらにせよ、好意的な視線は一切ない。原因は完全に柊樹さんだ。


「妾は此奴こやつ……小紅奈留とチームを組む! 萌葱と共にな。分かったらとっとと散れ!」


 高らかと宣言した柊樹さん。その右手は僕の左腕に絡められていて……まるで恋人のように、ってそうじゃなく。あの柊樹ファンの前でそんなことをしたらどうなるか……やばい、良くない意味で有名になったかもしれないよぉ。


「堂々としていれば良いのじゃ」

「お前なら何とかなるって。ナルだけに!」


 二人は気楽そうで良いですね!! と心の中で強く思ったのは仕方ないと思う。僕は非力ななんだよぉ……あ、女子じゃないよ。間違えたら○すよ?



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ご覧になってくださって、ありがとうございます(_ _)


フォローやお星様、良ければください。

僕が嬉しくなって舞い踊るのと、多分投稿頻度が上がります(書き溜めは40話くらいあるので!


カクコンにも応募していたりしますので、

本当にもし良かったらですけど、

フォロー、お星様ください(´・ω・`)

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