カケルの過去、其の壱(←どーゆー状況なの?
「グッ──」
また男の子の方が吹っ飛ぶ。しかし老人容赦しない。すぐに歩み寄って木刀を振り上げた。それを男の子は転がることで回避……って、僕は何を見せられているんだ。カケルのトラウマ、だよね。
「じゃあ、アレが……あの男の子がカケル?」
確かにどこかカケルに似ている。キリッとした目とかカケルそっくり……やっぱり、あの子がカケルなのか。だとしたら老人は──
「俺の保護者兼師匠だ」
「うひゃい! びっくりしたぁ……」
いきなり隣に現れたカケルに思わず変な声が出る。悪いのは、カケル。今回は完全にカケル。
「悪かったな」
「なんか、不機嫌だね」
ブスッとしている。朝一のカケルみたいだ。そういえば今日の朝は珍しくいつも通りだったな。さては決勝が楽しみで朝からハイになってたんだな!
「つーか、何なんだよココ。何であのクソジジイが」
「あ、そっか。妖夢の説明がまだだったよね」
僕は柊樹さんに説明したことをカケルに説明する。全て聞き終えるとカケルは「なるほどな」と言って再び木刀を交える二人を見つめた。
「だとしたらこっちだ。問題は」
「何があったの?」
「ついてくれば分かるさ」
カケルはフヨフヨと飛んでいってしまう。あ、ちなみに僕らは幽霊みたいになってる。魂だけの存在、みたいな? とにかく、そんな感じ。って、なんか動きにくいな。カケルみたいに上手く前進してくれない。
「前に意識を集中させるんだ」
「なるほど……集中。むむむむむむ」
僕が必死に前へ前へと意識を向けていると体が真っ直ぐ動きだした……けど、速くない?! 僕は鳥くらいのスピードで前進。そのまま進んでいくかと思ったけど、ビターン! と何かにぶつかった。痛いよ……
「何やってんだ……」
「うぅ、動きにくいよ。歩いて行こうよぉ」
「仕方ないな」
カケルが下に降りていく。よし僕も下へ……むむむむむむ。よし動いた。さっきより意思は弱め弱め。ゆっくり降りるイメージだよー。しっかりー……
「ふぅ、無事着陸」
「ほら、こっちだ」
地面の感触はちゃんとあるみたい。よしよしこれならカケルにもついていけるぞ。
「ねぇねぇ、カケル」
「なんだ?」
「さっきの壁、みたいなのなんだと思う?」
「壁?」
僕はさっきぶつかった何かについて説明する。明らかに空中で何もなかったのに硬い何かにぶつかったんだよね。ゲームにある見えない壁みたいな……
「じゃあ、それが正解だろ。トラウマに向き合えるように関係あるところ以外は行けなくなってるんじゃないか?」
うわぁ、天才だ。流石カケル!
「テンション上げようとしても無駄だからな」
「えへへ、バレてたかぁ……」
やっぱり不機嫌なときのカケルはつまんないなぁ。つまんないけど、それでも格好良く見えるんだから、イケメンって種族は卑怯だよね。
「茶番は止めろ。とりあえず着いたぞ」
「ここは……」
カケルはふすまの前で止まった。多分だけど廊下の丁度半分くらいにある。
まぁ、そもそもさっき歩いてて気づいたけど、カケルの家がもう和風の屋敷みたいな感じで広いんだよね。柊樹さんと比べると全然だけど、庭があって長い廊下はある。カケルについていくのに必死だから全体は見れてないけど……多分めっちゃ広い。
「失礼します」
カケルがふすまの前で一礼する……って、えぇ?!あのカケルが、敬語で、一礼したの?! 僕からは部屋の中は見えないけど一体誰が──
「入りなんし、バカ息子」
女性のカケルよりも殺気のこもった冷たい声に僕もちろん、カケルも震えたような気がした。
──────────────────────
読んでくださりありがとうございます(_ _)
もし良かったらお星様とフォローを……
応援だけでも嬉しいですよ〜。読み返しに行くのはかなり先になってしまいますが(_ _;)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます