其の3<魔法について>

※作中では特に言及されない事をこの項で説明します。前日談で解説したものも

含みます。その他、付録として作者の裏話的なのも添えたり。




・「魔術と魔法の区別」


まずは魔術の起こりから。

大昔、二人の人間に神が天啓てんけいを授けて手解てほどきしたのが始まりです。


二人の名はエーテルとマナ。

二人の男女は「」の伝道師となって、それぞれ弟子を何人か育てました。

その弟子たちが後世の魔術師の始祖にあたります。


それから時代は流れ──


魔術師が魔術師を育て、数々の一門集が世界に認知された頃。

一人のが誕生し、魔術をさらに発展させようと野望に燃えました。


存命中には「魔王」と呼ばれることになったその女は当時の魔術ほぼ全てを網羅もうらして体系化。それを「魔法」と称して制限なく公開するという暴挙に出ました。


──しかも一言、解法ルールを付け加えて。


は想念と意志の力──」から、始まる文言。


一子いっし相伝そうでん口伝くでんによる神秘をあばき、その真実メカニズムを白日の下にさらけ出す。

後世には「魔法のアンロック・合言葉キーワード」と伝えられ、歴史に残ります。


彼女の存在は死後、歴史から完全に抹消されましたが「魔法のアンロック・合言葉キーワード」だけは現在も顕在けんざいです。




*****


「(まず初めに神の「奇跡」があり、次に「魔術」があって、「魔法」とは魔術が編纂へんさんされたもので中身に違いはありません。魔術と魔法に差異はあれど優劣はないです。ただし、「奇跡」に関してはちょっと差があります)」


「(エーテルとマナ。片方は外伝のラストホープに出てましたね。ええ、です。とっくに転生?しており、本編の方でも魔孔の底で不貞寝中です)」


*****




・「魔術の種類」

想念と意志の力、すなわち「魔力」によって顕現けんげんする奇跡は本来カテゴライズする必要はないのですが(建前)、便宜上、種別化されたものを一部紹介します。




・精霊魔術(魔法)※表記ゆれ有り

精霊を呼び出して魔術です。低位のものは己の想像力から作り出した偽物※(名も無き不定の精霊群)で、高位の精霊は大自然を霊媒れいばいとして異世界の扉を開き、呼び出されたです。




・神聖魔法

神の奇跡を模倣もほうし、再現したものが神聖魔法です。おもに神官が使用し、魔法ではなく奇跡と呼ばれますが本質的には同じです。極少数のが昔と変わらず天啓てんけいによって覚醒しており、その御蔭もあって解像度は高く、出力も強力──術者次第では蘇生そせいすらも可能。魔法と同じく奇跡にも目録リストがあり、ある程度は修行で修得することが可能です。


目録リストに登録されている奇跡は(主神)+(信仰する従属神)のものとなります。宗派を問わず共通する奇跡は主神の、従属神は個別で独自色を発揮しています。




・錬金術

魔術と学問が融合したような現在最新の魔術です。発祥は西の大陸で過去の戦争中、大陸に伝来しました。「我欲」こそが原動力であり、いずれはか、それに相当するものを生み出すかもしれません。




・呪術

呪いです。十全に機能させるには事前に仕込みが必要となります。発動までは術者の魔力を使用しますが、一旦、発動してしまえば呪術は対象者の魔力によって保持されます※(術が成功した場合)


その性質上、どんな魔法よりも拘束期間は長く、解呪かいじゅされない限り半永久的に有効なものも存在します※(石化や眠り等)



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・「魔法の覚え方」


極一部の例外──を除いて独学で魔術に目覚めたり、魔法を修得する事は不可能です。


かといって、書物だけでも無理です。最低でも一度は体験しなければどんな傑物けつぶつでも魔術に目覚める事はないでしょう。逆に言えば、洗礼を受ければ誰でも魔術を使える可能性はある──という事でもあります。




*****


「(生まれながらの怪物……それは神々の手によって気まぐれに創造デザインされています。狭義には先天的な存在のみですが、後天的に天啓によって作り上げられた英雄なども含めればバリエーションは多岐にわたります。日の目を見ずに歴史の闇に埋もれた者もいれば、戦争で活躍し名を挙げた者の中にも紛れているかもしれません。何の為に生み出されたのか、その目的は果たされたのか……残念ながら、それは人のよしもないですね)」


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・「魔力管理について」


この世界にいて魔法とは、自らの魔力を変換して行う奇跡である。魔力とは想念と意志の力、術者の心から生ずるものであり、容量という概念は存在しない。


しかし、魔力切れという概念、現象は存在してしまっている。これは奇跡から魔術、そして、魔法と変遷へんせんするうちにせられてしまった縛り、呪いのようなものだ。


始まりは術の威力や効果を限界以上に引き上げる研究していたら、当然の帰結として反動が出てしまっただけなのだが……それに目を付けた人間達の様々な思惑や陰謀が絡み合い、今のかたちとなってしまった。


現在、使。高位のものほど負担は大きい。術者の限界が近くなると疲労感が増していく。精神の疲労が肉体にも悪影響をおよぼし、軽度から中度では肉体疲労時と同様の──重度から極度になると意識障害や失神を引き起こす。特に失神した場合は重篤じゅうとくで、回復には神官の奇跡が必要となる場合もある。




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※「英雄の星の下で 後半・第一話」より欄外追加


・「魔道士について」

「(魔法使いは普通名詞ですが魔法学院においては学生や初級者、見習いを意味しています。一人前と認められたら無事に魔法使いを卒業、以後は魔道士を名乗れます。魔道士の座ソーサラーギルドは存在しますが、加盟するかは任意です。ギルドで働きが認められると導師に昇格し、最高導師が魔道士の頂点です)」


「(メタ的な話ですが、カタカナ語も設定してたり。魔法使いはマジックユーザー、魔道士はソーサラー(ソーサレス)、導師はメイジ、そして、最高導師はアークメイジです。もっとも作中で使うかは分かりませんが)」


「(ちなみに魔術師はマジシャンでこれも男女区別なしです。外伝で出た大魔道士はウォーロック(ウィッチ)ですね。魔王はメイガスです。そして、〝魔術師の頂点〟はウィザードとなります)」




・「魔道と魔導」

「(表記ゆれの範疇はんちゅうですが魔導の方は手引きする、手引きされる──という教導的な意味合いで使用しています。魔道の方は常用ですね)」



・「魔道衣と魔道服」

「(どちらもローブ、と読みます。魔道衣の方はワンピース、魔道服はツーピース。その上で学士用の外衣ガウンを羽織るのが魔道士の一般的な礼装です。魔法学院では制服の扱い。また、魔法学院の外衣ガウンは留学生と一般生徒ではデザインがちょっと違います。女性は魔道衣、男性は魔道服を着用する事が多いですがあくまで傾向の話で絶対ではないです。ただ、学生はともかく卒業生は普段、外衣ガウンを羽織らないかな……そもそも研究に精を出して外出しないような気もするし)」





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