【19回の表】オールスターとスイートルーム。

7月9日(土)


 今日はMLBのインタビューが入った。TV用のCM動画も見せてもらったけど俺の本塁打シーンも入っていた。ベンKさんにCMとか録画してもらってるんだが(俺の「沢村健記念館」用だが)何気にうれしい。


 ヤーナーズからもロビンソン・カノンがホームランダービーに参加するとのことで意気込みを語ったのだが尺的に使われるのは10秒くらいかな。日本語で一言いってくれとリクエストされたので震災復興の合言葉スローガンにかけて「頑張ります」、と言ったのだがCMで使われたのはやっぱりここだった。


 今日は6番左翼手での先発出場。AJバーキットとの最初の対戦は2回表、右翼席への30号ソロ本塁打。ただ俺の活躍はあっという間に忘れ去られる。


 ジーカーが3回に3号本塁打を放ち、これがなんと自身の3000本安打だったのだ。ヤーナーズ一筋で3000本安打というのは歴史が長いヤーナーズでも初めての快挙だそう。彼の背負う背番号2は彼の引退後に永久欠番に指定されることがほぼ決まっている。これでヤーナーズの一桁背番号は全て永久欠番になるのが確実と言われている。球場に集う満員のファンは大喜び。歴史的な瞬間に立ち会えたのはファン冥利に尽きるだろう。


 試合も5対4でヤーナーズが競り勝ち記録に花を添えた。まぁ今日のところは偉大な選手に免じてこれくらいにしてやる、と主人公らしからぬ反応しかできん。


 ちなみに他試合ではバチスカーフが30、31号本塁打を放ちついに逆転される。


7月10日(日)


 今日は球宴前の最終戦。両チームの「先発投手」に目を疑う。フィールズとサバティア。二人とも球宴に出場決定していたのに今日投げたら「辞退」確定じゃん。日本ならきっと「球宴優先」みたいな気遣いが発生すると思うが。二人ともあくまでも「チーム優先」なのを球団も選手も納得してるところがすごい、というか信じられない。サバティアに至っては前半戦だけで12勝(4敗)を挙げているのだから。


 それに人材ひとがいないわけでもない。俺が監督ならシーズン後半戦を見据えた新戦力を試してでも彼らを球宴に送り出すだろう。彼らが球宴そこで結果を残せばチームにもそれなりに恩恵キックバックがあると思うからだ。ただトレードやFA制度が日本NPBよりもはるかに流動性があるMLBでは問題にならないのだろう。選手を「育てて使う」ではなく「育った選手を使う」のが正解なのだから。


 ただ俺的には「球宴を犠牲にしてもローテを守る」という極めて「日本人的な思考」のせいで身体が縮こまったのか(ただの言い訳)、サバティアに対して3打数1安打(二塁打)で終わる。試合も1対0で負けてしまった。


 これにて前半戦が終了。ア・リーグ東地区ははボストンが首位、2位はヤーナーズ、レイザースは2位と4ゲーム差の3位でターン。プレーオフに進むためには後半戦はかなり厳しい状況が待ち構えている。


 個人としての成績は申し分ない。本塁打、打点ともにトップクラスを維持している。ゆえに幸か不幸なのか名投手たちが俺を舐めなくなってきたのも確か。投票による球宴選出は俺が「一流選手」という証しとも言える。


 フィールズは今日の登板で「自動的に」球宴辞退となり、昨日先発したブライスもつま先のけがということで「辞退」確定。チームで「一人きり」の球宴が決定した。


 飛行機代は機構が出してくれるので遠慮なくファーストクラスへ。さすがにファンの方々との接触を最小限にとどめるためには仕方がないともいえる。


 日本人には「いき」という概念があって有名人を見かけても「がっつかねぇ俺かっけー」という美意識があって、あえて騒がない方々の方が多数派なのだが、日本人以外にはそれがない。


 いずれにしても飛行機内では6時間近い時間を過ごすのでストレスが小さい方が良いのだ。しかも時差があるので6時間乗っても3時間しか経っていないことになるため軽い時差ボケにも注意が必要だ。


 開催地に近いフェニックス空港でベンKさんと合流し、球場近くにある機構側が指定したホテルにチェックインする。プロ生活初の「スイートルーム」※だった。


 (※ちなみに「スイート」とは「SUIT(一揃えの)」であって「SWEET(甘い)」ではない。リビングからキッチンから複数のベッドルームという「一揃え」の設備があるという意味なのだ。新婚カップルが泊まる「甘い」部屋ではないのですよ。貧乏な作者が驚いた話)


もちろん宿泊代も機構持ちだ。(ただしルームサービス等飲食代は自腹。)家族同伴の選手も多いのでこっちの方が安く済むかもしれない。


 とりあえず翌日の「本塁打競争ホームランダービー」に備えて休むことにした。


今季の沢村健の成績(7月10日現在)


打撃

(左)打席177 打数145 安打56 単打14 二塁打14 三塁打4 本塁打24 

打点58 四球29(敬遠8死球2)犠打1(犠飛1)敵失1

(右)打席59 打数51 安打20 単打9 二塁打5 三塁打1 本塁打6 打点23 四球8(敬遠2死球1)


合計 打席236 打数196 安打77 単打23 二塁打19 三塁打5 本塁打30 

打点81 四球35(死球3敬遠10)犠打1(犠飛1)盗塁8 敵失1

打率.39

出塁率.478 長打率.995 OPS1.473


投手

(左)試合7(先発7)53回 自責点8 防御率1.36 5勝0敗 QS7 被安打30 四球11 三振42 WHIP 0.7736(とても良い)

(右)試合7(先発7)47回 自責点17 防御率3.26 3勝3敗 QS5 被安打43 四球9 三振39 WHIP1.106(良い) 


 

 



 


 


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