万年補欠の下克上！（第4期）はずれスキル「支援魔法（対単体）」しか持たない低辺勇者は野球少年に転生してメジャーリーグで無双する。

7月、夢の球宴へ！

【18回の表】球宴出場決定！

6月30日（木）

　「移動日」のため休養。正確には亜美と夜中におしゃべりして午前中はゆっくり眠る。ゴルフのお誘いは断った。休日を家族サービスに費やすベテラン選手もいるので遠征先での休養日とは一味違いまだ断る余地があるのだ。

　午後に疲れ抜きのための軽いトレーニングのあとベンKさんの施術を受ける。

　チームは今月は16勝11敗で通算45勝36敗で地区3位（首位と4ゲーム差）。今日仕合があったNYYのテシェイラが26号本塁打を放ち俺と1本差。

7月1日（金）

　ナ・リーグとの交流戦（インターリーグ）が続く。ナ・リーグ中地区首位のセントルイス・クルセイダースを迎えての3連戦。

　セントルイスと言えばアルバート・ブホルスが有名なのだが先月19日に左前腕の橈骨（とうこつ）骨折で戦線離脱していて残念。彼は昨シーズンまで10年連続3割30本塁打100打点を達成している。恐らくは俺にとっての現時点でのお手本（ロールモデル）だろうから。

　4番指名打者での先発出場。右腕のウエストブックのぬるぬる曲がる2シームにてこずる。初対戦の投手の場合、見えるんだけど打てないってことはたまにある。

　8回5点ビハインドの4巡目、ドンゴの適時二塁打で1点返して俺。一塁が空いているから敬遠かと思いきや勝負。セットアッパーの投手はやはり速球を武器にする投手が多いのでやはり相手にしやすい。2B2Sからの高めの4シームを弾き返す。28号2ラン本塁打。ただ、この3点で反撃は終了。初戦を落とす。バチスカーフが25号。

7月2日（土）

　今日は左投げでの先発。今日の球審は中堅の40代。年を取ればとるほど誤審が増えるのでありがたい。おかげでストライクゾーンを目いっぱい使えた。ただそれでもクリーンアップに関してはゾーンが狭くなる。

　今日は変化球のかかりがよくゾーンも通常の広さなら打たれて大けがする確率は下がる。4番のバーグマンにソロ本塁打を浴びた以外は8回散発5安打1失点。2四球5三振と上々の出来。7勝目（4敗）をマーク。

「健、うまくいけば二刀流で球宴（オールスターゲーム）も行けるんじゃないか？」

投手コーチのジムも上機嫌だった。投手の球宴出場はファンではなく選手や監督コーチの投票によって決まるのでちょっと難しいかも。とはいえ、結果発表は明日だ。

バチスカーフが連日の26号本塁打。

7月3日（日）

　今日は移動のためのデーゲーム。

　3番指名打者での先発。今日はどちらかと言えば「つなぎ役」。3打数1安打

2四球（申告敬遠１）。チームも8対3で勝ち、次の遠征先のミネアポリスに向かう。

ヘル吉が8勝目。まじで新人王狙える位置。バチスカーフ27号。さすが昨年のキング。チャージがハンパない。

　そして飛行機内で俺の球宴出場「当確」が知らされた。指名打者部門でおよそ５００万票で１位。（２位はボストンのオルドスが３５０万票）。

　レイザース内でも最高得票だった。（２位はドンゴの２８０万票［三塁手５位]）

投手ではブライスとフィールズが選出された。ただ投手は出番があるかどうかわからないし、先発ローテの方が優先されるので日程によっては辞退しなければならない。

　今年はアリゾナ・ダイアモンズの本拠地、クールス・フィールドで開催される。アリゾナは霊場セドナがあるところだから、ベンKさんが詳しいだろう。同伴を依頼しよう。

　ホテルについてから亜美から通信があった。

「球宴決定おめでとう。さすがにオールスターはすごいね。今年はヰチローさんも落選したんでしょ？これってもうあんたが『日本代表』じゃん。頑張るしかないよね。」

「なぜのっけからプレッシャーかけてくるかな？」

「いや、あんたもついに私の域に達したかなーと思ったからね。」

ただ亜美はその「日本代表」の「顔」としての立場を18歳の時から背負っているのだ。だからこそ否定はできない。

7月４日（月）

　今日はアメリカで最も重要な祝日である「独立記念日（インディペンデンス・デイ）」である。俺はと言えば監督から「モーニング・コール」で呼び出されての会見を強いられる。いや、予想はしていたが朝一はねーわ。アメリカは朝型社か……（以下略）。

　選出に対して「たいへんうれしいです、投票してくださったすべてのファンの皆様。とりわけ日本からも投票してくださったファンの皆様に感謝申し上げたいです」。活躍に対しては「先発出場なので本塁打を狙いたいです。（本塁打が出やすい）クールス・フィールドなので」と応える。

　日本人選手唯一の出場については「まだ2年目なので知り合いは多くはないですけど、せっかくすごいメンバーがそろう場面なので、話を聞けたらいいなと思ってます。」

　「現在本塁打ランキングではトップだけどホームランダービーには出場しますか？」

　これも誰もが聞きたいトピックだろう。ただ、このホームランダービーはオールスターゲームそのものよりも人気で（視聴人数が多い）優勝賞金も破格だ。

「はい、あまりよくないジンクスもあるようですけど基本的にはお誘いがあれば前向きに考えています。」

　いつからかは知らないがホームランダービーに参加すると後半戦に調子を落とすというジンクスがある。

ア・リーグ本塁打（7月3日現在）

沢村（TB)　28

バチスカーフ（TOR）　26

テシェイラ（NYY）　25

グレンダーソン（NYY）　21

今季の沢村健の成績（7月3日現在）

打撃

（左）打席170　打数138　安打55　単打14　二塁打14　三塁打4　本塁打23　

打点57　四球29（敬遠8死球2）犠打1（犠飛1）敵失1

（右）打席50　打数44　安打18　単打9　二塁打4　三塁打1　本塁打5　打点20　四球6（敬遠1死球1）

合計　打席220　打数182　安打73　単打23　二塁打18　三塁打5　本塁打28　

打点77　四球35（死球3敬遠9）犠打1（犠飛1）盗塁8　敵失1

打率.407 出塁率.500　長打率1.022　OPS1.522

投手

（左）試合7（先発7）53回　自責点8　防御率1.36　5勝0敗　QS7　被安打30　四球11　三振42　WHIP 0.7736（とても良い）

(右）試合6（先発6）39回　自責点16　防御率3.69　2勝3敗　QS4　被安打37　四球6 三振31　WHIP1.103(良い）