5月、オールスターゲーム進出への挑戦が始まる

【9回の裏】「王の帰還」。

4月30日(土)【マシュー・ダルトン】


 アンカーズとの3連戦の2戦目。沢村は4番指名打者。

相手先発の右腕ピエリオが今季非常に好調で今日の投球も出来がよかった。シンカーの切れがよく、沢村も1巡目の打席はファールチップによる三振。


 ただ2巡目からは4シームとチェンジアップを軸の配球に変更。これが沢村に吉と出て8号ソロ本塁打で先制に成功。ただピエリオの失点はこれだけ。7回1失点でブルペン陣に試合を託す。そこで登場したのは高梁久徳投手。


 残念ながら沢村との日本人対決はなかったが1回2/3を無失点できっちりと自分の役割を果たす。9回表、レイザースは土壇場でアンカーズに同点に追いつかれる。そして10回裏、先頭打者の沢村。かつて抑えの切り札だったロドリーと対する。


 沢村は初球の外角へのチェンジアップをたたく。レフト方向へとふらふらっと上がった打球は切れると思われたがポール際にスタンドイン。9号ソロ本塁打は今季2度目のサヨナラ弾に。


 「あまりに試合が長引くのも困りますからね。」

 NPBとは違い「引き分け」がないのがメジャーリーグの特色だ。彼の「早く帰りたい」という一念が通じたか。


 レイザースは1勝8敗のどん底から見事に這い上がり、4月を15勝12敗とア・リーグ東地区2位で終えた。すべてが沢村のおかげとは言わないが、主砲のドンゴリアを故障ケガで欠き、そのままズルズルと滑り落ちなかったチームの救世主は誰だったのか、ベンチは知っているがフロントも重々思い知るべきだ。


 (ちなみに妻の由香は亜美の取材で日本へ行ってます。)


5月1日(日)


 今日のレイザースの先発はダーラムから上がってきた新人、アレックス・コバーンのデビュー戦。一方、アンカーズの先発も先月メジャーデビューしたばかりのキャッツウッド。沢村と同級生(日本では一級上)の同じ年度のドラフトでアンカーズの2位指名された逸材である。


 彼が沢村に挨拶に来たのだ。もちろんアンカーズの放映局の企画である。沢村もドラフト同期、しかも同じ高卒組ということもあり嬉しそうだった。日本人は自分と同じ歳の人間の活躍が物凄く気になる人種なのである。


 ただ両名とも結果はぴりっとせず。キャッツウッドは5回にレイザース打線につかまり4失点。コバーンは初回にいきなりつかまって5失点。その後はなんとか立て直したもの両名とも5回もたず。


 試合は5対6でレイザースが星を落とす。沢村も2安打を放ったが彼の前に走者ランナーをためられなかったのではしょうがない。

「若者よ、これがメジャーの洗礼だ。」

と沢村が試合後に冗談交じりに語っていたが「二人とも健ちゃんより年上だから」と日本人記者に即座にツッコミを受けていた。日本人は自分と同じ歳の人間の活躍が物凄く気になる人種なのである。(2回目)


5月2日(月)


 本拠地にトロント・ブルージーンズを迎えるための休養日(移動日)である。健と彼のマネージャーのベンと男3人でランチに。


5月3日(火)


 試合前、ちょっとしたセレモニーがあった。腹斜筋の肉離れで戦線を離脱したいた主砲ドンゴリアが故障者リストを離れ試合ゲームに復帰するためだ。


待ちに待った主砲の復帰、「王の帰還」である。


 ドンゴリアは調整のため傘下のAA球団モンゴメリ・クッキーズで4試合出場して3本塁打を放っていた。準備ができたとベンチも認めての復帰である。試合前に彼の名がスタメンとして読み上げられると観客から喝采が上がった。


 対トロント戦の名物と言えば「やはり」バチスカーフと沢村の本塁打王争いだ。

ただバチスカーフは「肘の張り」で休養の模様。沢村は打順を下げて6番指名打者。ドンゴリア復帰というよりは右打席での沢村は今一つベンチから信頼されていない気がするのは私だけだろうか。


 ということで先発投手が左腕になるとガラリと打順を入れ替えるのがマディソン(監督)流だ。


 確かに試合はレイザースが勝ったものの沢村は右打席で内野安打一本にとどまる。


5月4日(水)


 沢村の4戦めの先発登板(右投げ)。バチスカーフが今日も不在なことを聞かれると「少し気が楽になります……とか言うと変な『フラグ』が立ちそうですね。」と応えていた。


 その「気のぬけ」が如実に出たのか、初回から4番のリンドバーグ(左打ち)に外に逃げるフロントドアの2シームを本塁打されて2点を失う展開。やはりそれなりに研究はされているのだ。ただ152km/hの高速で曲がる2シームを打つのだから投げる方も投げる方だが、それを打つ方も打つ方だ。


 ただ相変わらず淡々と投げ続ける沢村。そして4回には先月末にメジャーデビューを果たしたデビッド・クーガー(左打ち)初球に内角低めに落とすチェンジアップを右翼線に運ばれメジャー初二塁打と初打点を献上。彼は塁上で喜びを爆発させていた。ちなみにクーガーは沢村とドラフト同期でトロントの1巡目指名の選手。


 7回3失点で四球無しのまずまずの投球内容だったが味方が相手右腕モンローを攻略できず2対3での敗戦投手に。これで今季2勝2敗。ただ先発の役割クオリティ・スタートは十分に果たしている。勝敗と防御率は運の要素も強いのであまり気にし過ぎることはない。QSとWHIP(被安打+与四球率)の値が良ければ十分だ。



 沢村健の今季の成績。


打撃

(左)打席42 打数33 安打16 単打5 二塁打3 三塁打1 本塁打7 打点13 四球8(敬遠2)

(右)打席18 打数15 安打7 単打3 二塁打1 三塁打1 本塁打2 打点7 四球3(死球1)


合計 打席60 打数48 安打23 単打8 二塁打4 三塁打2 本塁打9 打点20

四球11(死球1敬遠2)盗塁3

打率.479 出塁率.571 長打率1.205 OPS1.777


投手

(左)試合2(先発2)16回 失点1 防御率0.56 2勝0敗 QS2 被安打7 四球5 三振14 WHIP 0.812(とても良い)

(右)試合2(先発2)13回 失点6 防御率4.15 0勝2敗 QS2 被安打11 四球2

三振10 WHIP1.083(良い)


合計 試合4(先発4)29回 失点7 防御率2.17 2勝2敗 QS4 被安打18 四球7

三振24 WHIP0.8621(とても良い)



(読者の皆さまへ:今年の投稿はこれにて終了いたします。再開は1/4を予定しております。皆さま、良いお年を!)








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