【5回の表】罰当たりな?
3月16日(水)
この日、開幕ロースターに残った25人以外の選手は傘下のAAA級球団ダーラム・バレッツとAA級球団モンゴメリー・クッキーズが合同練習するグラウンドに移動。
「マイナー落ちしました」って
このグラウンドには50人以上の選手がいるせいか思った以上にごった返している。ちなみにデズも俺と一緒にマイナー落ち。一方、ヘル吉はメジャーに残留し俺の代わりに先発投手になっていた。ただ、俺たちが落ちると同時にこのグラウンドからさらにシングルA級のグラウンドに押しやられた選手たちがいることを忘れてはいけない。
マイナーリーグチームは対外試合はないので「紅白戦」の練習試合になる。ここでふてくされて手をぬいたらそれこそAAまで落とされかねない。
プロスポーツなのでそのうち調子が悪い選手もケガ人も出て枠が空くこともあるだろう。なのでここは我慢のしどころである。
監督からは日本への救援活動をしても良い、ということだったので試合開始1時間前からの30分間、オープン戦の行われるグラウンド内でサインに応じながらの寄付のお願いをした。
練習が終わるとベンKさんが(俺の金で)用意した物資を、まとめて亜美の魔法空間に送り込む。必要な物資のリクエストはケントとベンKさんの間で行われていて、俺は金を出して物資を送りだせばみんなの役に立てていると実感できる。
俺は野球に集中し、野球で金を稼ぐ。それが皆の役に立つ。そう思えば野球に集中できるというもの。さらには俺からの応援メッセージを添付してもらった。それは亜美のアイデアだった。
一日に一度、亜美が俺の寄付した物資を受け取った皆さんのリアクションを教えてくれる。それがより俺の心を奮い立たせてくれるのだ。
ただどうやって物資を送ったかを追及されないことを願っている。そこらへんはケントがなんとかごまかしてくれることだろうし、そんなことを気にしている場合でもないだろう。
ただポータブル発電機とかポリタンク入り燃料とか灯油ストーブとか、けっこう値が張るものも多い。ただ「金の遣いどころ」は今なのは間違いはない。アメリカでストックしている契約金を原資にして遠慮なくやってもらうしかない。
3月30日(水)
本日で「一軍」のいわゆる「オープン戦」は終了。チームの戦績は15勝14敗だった。明後日の4月1日の開幕戦を皮切りに162試合にわたるレギュラーシーズンが始まるため、開幕ロスター入りを獲得した25人の選手たちはキャンプ地を引き揚げていった。
「健、すぐに戻ってきてね。みんなも待ってるから。」
見事に第5先発の座を獲得したヘル吉が名残惜しそうに俺に言った。
「うん、そいつは
とは言え俺が戻れば誰かが先発ローテーションの枠から外れることになることもあるわけで、ついにヘル吉は俺のライバルになったというわけだ。
「俺は?」
デズがつっこんでくる。ヘル吉はそっけなく
「うん、頑張ってね。」
としか言わない。
「待ってはいないんかい。」
俺たちAAAダーラムバレッツの開幕戦は7日(木)のため、もう少ここに居残りである。
4月1日(金)
メジャーリーグの開幕戦の日。昨季地区優勝だったのでセントピートの本拠地にボルチモア・オーソドックスを迎えての開幕戦だ。ナイトゲームなのだが花火の打ち上げもない。これがドーム球場の残念なところではある。せめて屋根が開閉式だったらね。
そして試合も1対4で敗戦。これがレイザースの不調の始まりだった。
4月3日(日)
レイザースは開幕
とはいえこれで俺の胸には
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます