/// 41.無双する中二病
ふわふわとした気分の中、目を開ける。
「ここは……森?」
この感覚に既視感を感じながら、開けた僕の目の前には、見慣れない木々が茂った森の風景が広がっていた。
「『我の声にこたえその力を魅せよ!
その声と共に黒い炎がこちらに向かってきたと思ったら周りの木々を消滅させていく。
僕も一緒に消滅したが、いつも通りすぐに戻通り。
「あーびっくりしたな……しかしあの詠唱はない……聞いてるこっちが恥ずかしい……死ねるよあれは……」
「『闇の死者よ……俺の怒りの波動に応えその姿を示せ!
恥ずかしさに黄昏ていた僕は、また新たな羞恥ワードを聞きながら、周りの木々が全て切り刻まれるのをぼんやり見ていた。
もちろん切り刻まれた僕の体は全て元通りに戻っていく。
「これはひどい……威力もすごいがあの詠唱はもっとすごい……」
もう僕は耳まで真っ赤になっているだろう。どうやら見たことのない世界。この世界では詠唱がディフォなのか?しかもあんな恥ずかしい詠唱が……
そう思いながら、膝をついてこちらを眺めている少年を【完全鑑定】で覗き見る。
--- 氏名 シャドー・テンペスト・ドラゴン
--- 職業(ジョブ) 中二病
ダメだ……これは見ちゃだめなやつだ……
なんだこの恥ずかしさ満点な名前。そしてジョブ……これはきっと僕のダメだった場合のアナザーワールド……いやないな。
こんな世界になったとしたら間違いなく死を選ぶ。
そんな気がした僕はゆっくりと目を開けた。
そうか。やっぱりではあったが夢だった。二日連続のおかしな夢……疲れているのかな?
そう思って開いたステータスで、寝る前と比べてレベルが3つ上がっていることを確認する。
そしてその要因を確認すべく室内を見渡すと、いつものように愛しい女性たちが寝息を立てている。全裸で。
その光景に温かいものを感じながら、再び布団をかぶり、眠りにつくのであった。
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