/// 25.スカッと一発!
サフィさん以外の女性陣5人は今、『王都総合魔道センター・南出moreー瑠』に来ていた。
もちろん真理の装備を整えるためである。
今日は一日いっぱい女性陣の楽しいショッピングタイムの予定であった。まあ購入するのは物騒な装備品。これも異世界で生き残るためなので仕方ない。本人たちは楽しそうに装備品を試着したりしながら時間を過ごしているので、それはそれで良いのだろう。
◆◇◆◇◆
時間は少しさかのぼり本日早朝、僕が起きた時には寝室の床にきっちり綺麗な土下座で待機してこちらを見ていた真っ赤な顔をした真理と目が合った。もちろん服は着ている。
「さ、昨晩は・・・どうも、すみませんでした!」
そして床にこすりつけられるおでこ。いや可愛い顔に傷が!そんなことを考えていたら他の4人ももう一つのベットで体を起こしていた。サフィさん以外ちゃんと服はきていた。そして僕は全裸だ・・・
「い、いやいいから!大丈夫だから!一人で頑張ってくれたんだよね。嬉しかったんだよ。だから大丈夫!」
「は、はい!ありがとうございます!タケル様!一生お仕えいたします!」
「いやなんで仕える前提なの?それともそれもプレーなの?忍者のお仕えロールプレーとか?それに様とかやめて!普通に呼んでほしいんだけど・・・」
「は、はい!じゃあ、タケルくん、改めてよろしくね・・・でいいのかな?」
朝から少し血圧が上がったような気がした僕は、コクリと何度か頭を動かす人形になっていた。サフィさんは笑いながら堂々と服を着こんでいった。ああ、僕も服着たいな・・・その潤んだ目でじっと見るのそろそろやめない?恥ずかしくてベットから出れない。
「じゃ、じゃあ朝食にしようか・・・僕もすぐ起きるから準備とかみんなでお願いできる?」
「うん!まかせて!」
「じゃあ行きますか」
「「はーい」」
「おう!」
やっと全員が出ていったのでこそこそと隅の方で服を着る僕。なんか朝から疲れた気がする。
その後、朝食を食べ終えた僕は、サフィさんとダンジョンに一日篭ることを伝え、佳苗に10億ほどのお金を渡して真理の装備と、希望があれば他の子も何か買っていいよと伝えた。
朝の話の中で、残ったメンバーが養殖されて、すでに自分のレベルを超えていたことにショックを受けていたため、装備を整えたら少しで良いから養殖してほしいとお願いされた。もちろん了承したよ。なんか切ないよね一人頑張ってたのにあっさりと・・・
そして僕はやっとサフィさんと約束を果たすべくダンジョン到着した。
最初の目的地は100階層のボス!何がでるかなっ、何がでるかなって歌いたくなるよね。
取り急ぎ90階層にポータルでたどり着き、さらに下へ進める。一回進んだ道だ。道すがら襲い来る魔物を粉砕していくサフィさん。これもまた資産が溜まっていく。と思いながら足を進める。
そしてすぐに100階層のボスへや前にやってきた。
「本当に俺がひとりでやってもいいんだな!」
「そうだね、一応ないとは思うけど何かあったら助けるからね!」
「ふふ。助けるか。なんかいいなそれ」
「いやいや念のため油断しないでよ。心配だから・・・」
「おい・・・ちょっとなんかそんな目で見るなよ。うずうずしちゃうからな、やめろよ・・・」
「えっあ、はい」
何やらサフィさんがもじもじし出したので気を取り直して扉を開ける。
そして薄暗い中へ入るとゴツゴツとした岩壁の一室に入る。なんか50階層のボスと変わらないな。そう思いながら入ってきた扉が閉じると、中央に魔方陣が光り輝いた。
『ブヲォォォォォ!!!!』
光の中から現れたのは一体の鬼。2本の黒くて長い角を持ち、5mほどの大きな体躯をもった赤黒い肌の鬼。天井に頭ぶつけそうだなと見ていた。『業火の鬼人』鑑定結果に初見殺しはなさそうだと思った僕は、そのまま戦いを見守った。
先制はサフィさんが拳を鬼人の左肩に振りぬいた。ああ、またスキル使ってないや。使ってたら多分一撃で終わっちゃうだろうしね。鬼人は殴られた肩を押さえつつ、左足をサフィさんに向かって蹴り込む動作を行った。
そしてその足から炎の渦が飛来するのだが、すでにサフィさんはそこにはおらず、鬼人の右肩へ強烈なパンチを振りぬいていた。サフィさんの煌めく笑顔が、存分に楽しんでいることを物語っていた。
それからはドンドン動きが悪くなってくる鬼人を、殴っては距離をとりという遊びのようなことをしていたサフィさん。そして遂には動かなくなったその鬼人に背を向け、サフィさんはこちらに戻ってきた。
「よし!だいぶスッキリした!あとはタケルに任せる!素材丸ごと頂いてうまいもん食おーぜ!」
「えっ?頭バーンとかしなくていいの?第一もうお金とか有り余ってるし・・・」
「いや、絶対これ丸ごと出したときのエルフィンの様子見る方が面白そうだ!」
悪だくみをしているサフィさんは「くふふ」と笑っていた。
「サフィさん・・・あまり彼女をいじめないでよ・・・」
「おっあれも群れに入れるのか?いいな!またにぎやかになる!」
「そんなことしないよ!」
なんでもそこに結び付けようとするサフィさんには困ったものである。
◆◇◆◇◆
その後、次の階層に降り立った僕たちはどんどんと先へと進んでいった。
少し100階層で終わりかも?と思っていたけどそんなことはないようだ。それなりに強くなった魔物たちは、スキルで殴るサフィさんに敵うはずもなく、さらに素材を増やしていく結果となった。
サフィさんがスキル使ったらもう何が出てきても一撃な気がしてきた。願わくばサフィさんが全力で戦える魔物が存在することを願った。
途中で『サウンドウルフ』という魔物の群れが出た時は、【音速】というスキルで強者であるサフィさんから逃げまくっていたが、僕を発見するとすぐにかぶりついてきた。
なんか既視感を感じながらも、サウンドウルフの脳を停止させていく。
相変わらず便利なスキルであった。結局121階層まで進んだところで良い時間になったので帰ることになる。
昼食は一応ダンジョン内で食べたのだが、運動の後はがっつり大量においしいものが食べたくなる。
一旦ギルドまで戻ると素材を倉庫に素材を吐き出すと、予想通りエルフィンさんが気絶して後ろに倒れたので、僕が抱きかかえるとそのまま【超回復】で癒していった。
目を覚ましたエルフィンさんは、倒れたのが恥ずかしかったのか顔を真っ赤にして謝罪をしてきた。その後は暫くボーっとしてこちらを見ていたので、すり減った精神までは回復しないんだなと【超回復】も万能ではないことを理解した。
サフィさんは「群れに誘わないのか?」と聞いてきたが何で今のタイミング?と首をひねってしまう。報酬は後日ということになり、そのまま『王都総合魔道センター・南出moreー瑠』へ向かうと、4階で他の4人と合流した。
もちろん返り血などは、サフィさんの魔法で洗い流して乾かしたので匂いなどは残っていない・・・と思う。女性陣は、もう夕方過ぎなのだが直前まで買い物を楽しんでいたという。女性の買い物に付き合うのは絶対無理かな?そんなことを考えていた。
そしてお腹を満たした後、孤児院に帰ると、真理のファッションショーをしながら夜のお勤めへとなだれ込んだ。
毎日忙しくて困っちゃおうよね。
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